二十二日お手紙ありがとう、コピー同封ありがとう。現在まだ受取っていないけど後
日くるでしょう。楽しみにしてまっています。びっくりする位体の調子良好ですから安
心乞う。大食家の我乍ら自分の内臓の丈夫さにおどろいている次第です。まりちゃんの
手紙一枚目三行ヌリッブシあり 「奴らは私の闘いを南三舎におしとどめようとするこ
とが出来ないばかりか? むしろ闘いを全国に拡大してしまっているのです。」以下三
行ヌリッブシしている……「奴らはただ墓穴堀りをしているだけです。」ヌリツブされ
ている内容文字は俺には推察することができるよ。奴らが便箋全部ヌリツブシても俺た
ちには全部読みとることが出来る。拘の汚たないヌリツブシがヒドケレバ、ヒドイだけ
俺の闘志がカッカと燃えるだけです。奴らの為に人民広場のギロチン台が忙しくなるだ
けです。いつも拘のクソブタが書信に対してまで汚ない手段・不当弾圧することに哀れ
みさえ覚えていたが、こうバンタビ消されるとヤハリ怒りの闘志が燃え上るばかりです。
まりちゃん一人のために拘がキリキリ舞いしていることは確かです。看視の人数ふり分
けるのに苦心して他の女収容者を近づけまいとして分断カクリして虚をついたまりちゃ
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んのすばらしい攻撃にオロオロして返事さえまともに出来ないで(納得のいく理由を説
明しろ。)暴力暴行をくり返し、まりちゃんへのにくしみを露骨に表わしニクイ、ニク
イと思う口を思い切りサルグツワで痛めつけることで充分奴らの汚ない愚かさを見るこ
とができる。完全に虚をつかれた奴らは返事も出来ずに逆にまりちやんのペースにいつ
もはまっていることも集団暴行で明白である。クソブタの心理を逆分析するとコッケイ
と哀れさの笑止千万の暴力団である。奴らの暴行の真理、心理、原理、原因、結果哀れ
むべし。
弾圧を肥やしに! 鉄鎖を武器に! 共にガンバロー!
俺のハンスト抗議要求主張は、まりちゃんの女区への奪還解放ばかりでなく、「逆の
逆も又真なり」この戦いにもつながるのです。俺のハンスト要求位で女区に帰してくれ
る筈はない、そうであるならとっくに今までの戦いで返していることです。今更俺がゲ
ッソリと痩せて苦しいハンストなどする意味ないと思う人もあるでしよう。現に若い看
守など、イミないと云うのが居るけど。この看守らの何気ないこの心にこそ重大な意味
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があるんです。(この心にこそ「逆の逆も又真なり」まりちゃん自身の手紙でも、現在
南三舎に、他の受刑者もいるのですから全くの孤独でもないから、元気だから云々との
ことですが、この文字は俺に対する心情心意気などのハンストの苦しみを思っての、上
ツラの言葉であることだと……ヌリツブシの文字から推察するのです。まりちゃんの真
実ある戦いに奴らは苦慮して暴行暴力に四苦八苦していることもミエミエです)
共に共にガンバリ抜こう! 拘の生活に馴れて知らぬ内に身も心も隷従隷属することの
ないように常に自己枇判を忘れず、一人男区で戦い抜いているまりちゃんを思うとき、
奴隷的拘束生活に馴れ切って知らぬ内に隷従する自分を発見するとき、思わずくやしさ
にふるえるのです。人間は愚かなものです。いかに苦しみの独房でも毎日の生活に馴れ
てしまえば「ノドモトスギレバ熱さを忘れ」いろはカルタの文句に落ち込んで、ヌクヌ
クと重ね着などして、権力のあたえられたエサの上げ膳下げ膳に己れが身のマンゾクを
おぼえてしまうのだ。この奴隷化の原理に警鐘を打ち鳴らしていく為に、俺は身心を叩
きつけてこのハンストを斗い抜く。被抑圧人民が眠らされているドレイゲンリを広く深
く知らせる為にもガンバリます。この俺のハンストを、拘は屁とも思っていないように
表面をつくろっているが、心深く恐怖している。更に俺はハンスト中今日までに三枚三
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回のハンスト宣言抗議要求書を出して絶えず挑戦して居るので、三枚目のケンカ状を同
封する。(だがこれは同文であり獄中者組合に俺から別に送るからこれだけはまりちゃ
んが送らなくてもいい。以上の次第にて一枚日の便箋まりちゃんへの思いやりに対する、
俺の答えとします。)寒さで寝つかれず、不具足の痛みで一番電車も全く走らない内か
ら毎日目覚めて居る。完全ハンストに睡眠不足ですが、昼間はウツラ、ウツラと少しで
も目をつぶることが出来るので全然眠っていないわけでもないから絶対大丈夫だ! 俺
は俺の体の限界を知っているからです。水さえ飲めば二十日、三十日位なら充分耐え得
る確信を持ったことは大きな収カクでした。このハンストで得た原理、真理はすばらし
いプレゼントになりました。(自分自身へも)そして俺の真心がまりちゃんに通じたこ
とは何より何より嬉れしく二十才の青春に返りつつあります。元元、二十才ですけど、
ウッフフフ。
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