新里さんへの手紙   七八年七月一日

 元気ですか? 私の方は相変わらずです。新里さんから諸作業を犠牲にしても体力づ
くりを十分に行なうようにと言われるまでもなく、あまり諸作業を犠牲にしすぎている
のではないかとうしろめたい(?)思いをするぐらいです。芳正同志がゼンソクの発作に苦
しんでいることは“緊急アピール”でご存知と思いますが、私自身芳正同志に対して今
は絶対に仕事は犠牲にしてもいいから体力回復に専念するように、一旦悪くした体を元
に戻すのは、この拘置所においては至難のことであり、今、無理をして作業をしても、
その後々まで病気のために寝こむようになったら何にもならないのだからと、時間経済
的観念を強調して(そうでないと彼はなかなか聞き入れず、無理を重ねてしまうからで
もある)いますが、獄中において健康を闘いとることの重要さを痛切に感じます。
芳正同志が安心して健康回復に専念できるように、彼の分もガンバルということしか私
にはできないのですが、もう一ヶ月以上もゼンソクの発作で苦しみ続け夜も眠れず、失
神してしまったことすらあったのに、なおも自殺房にぶちこみ続け、さらにチョーバツ

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にまでかけているということに対し、怒りで煮えくりかえっています。例によって抗議
要求に対しては、「他の収容者のことは関孫ない」とか奴らはホザいていますが、斗う
獄中者に対する獄死攻撃をなんとしてでもやめさせなければならないと思います.
 南三舎カクリもそうなのですが、奴らのこのような弾圧を阻止しえないでいる我々の
力量の弱さを克服していくことがまず問われていると思います。ゼンソクの原因となっ
ている室内のホコリを除去せずに、健康な人でさえ呼吸器を悪くさせる自殺房にぶちこ
みつづけていながら、発作がおきれば薬だけ投与するということは、病気をどんどん悪
くさせ、従って必然的に薬を多量投与し、薬づけにすることを意味します。ゼンソク発
作を止めるために現在使用している薬は、強力な心臓薬や催眠薬でもあり、副作用がひ
どく連用すると効果がなくなり、それも効かなくなるとさらにもっと強力な薬に頼らざ
るをえなくなるということです。今より、さらに強力な薬となると恐ろしい副作用(人
間の生体にそなわっている自然治癒力、抵抗力そのものを失わせてしまい、薬を止める
ことが困難となるだけでなく、生命にかかわる副作用がでる)のある薬しかないわけで
そのようになることを絶対に阻止しなければなりません。しかしただ単にバク然と「〜
ねばならない。」「〜抗議する!」と口先で言っていても、阻止しえないこともまた明

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白です。奴らはこのことについては緊急アピールのスミヌリをみてもわかるように非常
に神経をとがらせており、この前の春斗の時は、芳正同志を保安房へぶちこむのも日和
ったほどでした。
 新里さんの方で、具体的組織的な方針を考えていただきたいと思っています。私は、
芳正同志を除くすべての獄組の仲間たちで、三日ぐらいやるのと平行して臨時統一斗争
を組むというぐらいしか、今思いうかばないのですが。あとは十二・二三共同告発と同
様に特別公務員職権濫用や、暴行凌虐で告発するというのもひとつの手ではないかと思
いますが、どう思いますか?
 話かわって、新里さんは「リッカー島拘置所の叛乱」やスペインのCOPEL(斗う
獄中者組織委員会)の斗いについてご存知ですか? ご存知なければ、「資料」を送り
ます。 現在の日帝内監獄における獄斗とは根底的に違うところのそれは、失うものの
なにもない人間の強さというものであると思います。今の私たちは、「鉄鎖以外に失う
ものはない」といい切れるには、あまりにも多くのものを持ちすぎている、とくに「政
治犯」は、自分自身をふり返ってみて自己批判的に思うことですが、「勉強」をしたい
とか、手紙を書かねばならないとか、○○までには××をやらねばならぬとか、“時間”

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が欲しいために徹底して斗わないということがいっぱいあったように思うのです。この
頃奴らは、チョーバツの執停を“してやっている”ということを口実にして、私が何か
いえば「そんなことをしているヒマがあるなら、チョーバツをかける」ということによ
って“斗い”をつぶそうとしています。そして、二言めには「おまえは長いことこんな
とこに入っていて頭がおかしくなったのだ」「そうやってかみついていてつっかかって
ないと、もたないのだろう」とかさかんに言っています。奴らは獄中者に対して侮蔑的
なことを言っては楽しんでいるようす。「おまえのパンツを見せてみろ」とか「何だそ
の顔は、そのまゆげはなんだ。」「みっともない。」とか、人の服装のこと、顔・体の
こと、家族のこと、何から何まで支配し、介入し、干渉し、頭のテッペンから足の先ま
で、ゴチャゴチャといいがかりをつけては、ヘラヘラと楽しそうにあざけり笑っている
のです。このように明らかに獄中者を愚ろうしては楽しむという傾向(これは奴らの本
質でありますが)を見せ始めたのは、やはり私が一人になって奴らの方に“余裕”が出
てきたためですが(三人でいた時は、弾圧するのに必死で、奴らは“余裕”がなかった。
一ぺんに三方向から抗議が集中するため)奴らは、暴力的に弾圧する必要がない(ある
いはそれはあまり効果がないし、まずい)とみて、精神的にまいらせようとしているよ

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うです。奴らのコンタンはミエミエですから、そんなものは“へ”とも思いませんが、
私の心の中で着実に奴らに対する憎悪は急成長しています。「政治犯」とされている獄
中者が、「刑事犯」の仲間たちと真の団結をかちとるには、自らが実力で斗いぬく中で、
その特権を投げうち全ての獄中被抑圧人民の解放のためにというのを、身体でもって示
さなければ絶対にダメだとつくづく思います。そうでないと、本当の監獄の姿さえ見え
なくなってしまうのだと思います。そして、今痛切に思うのは、獄中者組合は獄外に依
存することなく斗いぬけるだけのものをもたねばならないということです。決してオシ
ヤベリ機関としてではなく、斗う組織としての戦斗的団結を形成し、主体の変革(斗う
獄中者としての主体形成)をかちとっていくためにも、獄中事務局の設置は急がれなけ
ればならないと思います。
 獄中生活資金プールの問題については「通信」での公開財政をまずやるということを
獄外と確認しました。私の方としては接触のある外の人に、積極的にカンパを要請する
ようにしていくつもりです。
 健康手帖の返送の六〇〇円切手がいまだに気にかかっています。五〇〇gをちょっと
だけこえたら、五〇〇g+〇gと分けて出すと、三〇〇円+〇円という形で、六〇〇円

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よりは安くなるはずです。もし、私の送ったものが料金不足で金をぶんどられるような
ことがあったら、遠慮せずに指摘して下さいね。私はいっぱい新里さんから批判や指摘
をうけて自分のケイソツさを直していきたいと思っています。では、今日はこの辺で。
 ともに斗いぬきましょう!
七八、七、一
荒井まり子

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