支援運ニュース No.180

浴田由紀子さんからの手紙


☆せみがワンワン鳴いています。殺された人々の叫びのようです。「法がある以上執行する」と言いはって、松浦法相は、又も4人以上もの人々に「死刑」を執行するという暴挙を行なった。国の名による、法を楯にした殺人を断固糾弾する。
 神戸では、たった14歳の少年が「つかまれば吊るされるでしょう」と声明文を書きながら幾人もの子供達を死に追いやったのだと言われている。その直後に! 「理由をつければ人を殺してもいいのだ」。これが少年達がこの国の死刑制度から学んだことだ。
 神戸の事件の特異性を声高に叫ぶ人々がいる。少年法の改正(悪)を、この機会にねらう人々がいる。『フォーカス』は、事件の特異性という理由をつければ、少年法も人権も侵されて当然なのだと居直っている。神戸地裁は、同じ理由でたった14歳の少年を1ヵ月近くも代用監獄にとじこめ、弁護人も保護者もいない密室でとり調べることを許した。同じ特異な事件である野村、第一勧銀の容疑者は皆、いきなり東拘で保護されている…特異性とは何か?
「理由をつければ」何をしたっていいのだ…法をはみ出したって、人を殺したって、戦争を放棄してても国中に臨戦体制をしいたって…この国の無原則の最先端に死刑制度がある。
 朝日新聞は、法務省幹部の言葉として「国会の質疑で取り上げられる可能性が高いので、そうした時期には執行しないのが不文律のようになっている」と書いている。質疑で取り上げられて困るような事を何故するのだ? 「法がある以上」と言いつつ、何故困るのだ?
 私達は何度も何度も「もうこれ以上殺させてはならない」と叫んで来た。神戸の事件は、子供達にたいしてさえ死刑制度は、国・法務省の主張する「犯罪の抑止力」なんかではないことを、「人を殺してもいいのだ」という論理でしかなかったことを示している。国会閉会中だから責任をのがれられると考えているとしたら、それこそがこの国の政治のフハイと空洞化に居すわった利権政治家と官僚支配の姿でしかない。私達は今、しっかりと、その責任を追及し、真に、誰が、何故に毎年毎年自らの都合に合わせて6人も7人もの生命を奪うことを望んでいるのかを明らかにしよう。そして、死刑制度廃止を願う人々の想いを正しく実現しよう!

☆レバノンの同志達に「禁固3年、罰金」という実刑判決が出されました。同志達は、あくまでも無罪と政治難民としての処遇を要求して闘い続けます。
 日本警察、外務省は、コソクな身柄引渡し交渉(レバノンへのアメとムチの圧力)を続けています。
 2月の被拘束以来、レバノン・アラブの人民と進歩勢力の送還阻止・アラブの英雄岡本を守れ! 日本赤軍を守れ! という支持と支援の力は、日本当局の早期送還の目論見を粉砕して、現地での裁判開始を実現しました。そして今、おそらくこれはレバノン当局が米日・両帝国主義の圧力の下でなしうる最大の抵抗なのだと思います。レバノン・アラブの人々の声に応え、同志達を守りぬくのは、アラブレベル、そして、日本と、世界からのレバノン当局への人民連帯の圧力であり、人民連帯の強化です。
 もし岡本同志が日本に強制送還された場合、日帝は国際法にも憲法にも違反して、彼に対してすでにイスラエルで刑に服した「リッダ闘争」での再逮捕、再裁判を行なおうとしており、死刑の可能性もある事を訴え続けたいと思います。アラブやヨーロッパの人々は、「日本には死刑制度があって我々の同志も死刑判決を受けている」というと、一様に「エッ?」「平和憲法でしょう?!」と言っておどろきます。
 そのたびに私達は、「平和憲法の下で、軍事大国化が進み、人権は無視され、重要な戦犯は生きながらえて、市民と反体制派は殺され続けている現実」を説明しなければなりませんでした。実情を伝えていく、そうした討議の中で、私達はしばしば共通の敵を見出し、共に担う闘いの方向を確認し合えます。
 アムネスティインターナショナルは、丸岡同志への手紙の中で「もし岡本氏の引き渡しが決定されれば、アムネスティインターナショナルは、日本政府がレバノン政府に対して岡本氏に対する死刑の宣告、又は処刑をしないという保障を与えないかぎりは岡本氏の日本への帰国に反対するでありましょう…」と応えてくれています。
 死刑制度廃止、人権擁護は世界中の人々の願いです。
 共に闘い進めましょう。

☆浴田公判
 出廷記に、「筆跡鑑定は、結果を明確にしていなくてけしからん」みたいなことを書きましたが、私の早とちり(誤解)でしたので、誤報を流したことをあやまります。結論は、「入国カード記載の署名筆跡と被告人の署名筆跡の筆者の同一性は判断できない」というものです。はっきり「ちがう」と言ってはいないけど、「同一と考えていない」というところでしょうか。
 つめていく中で、さらに明らかに出来るかもしれません。当面はこのまま採用します。
 浴田裁判は、秋から間組に入ります。現在今後の裁判戦略について検討中です。浴田裁判への意見、批判、知恵(力も)etcetcをどうぞ当人か、ゆきQ、支援連の方へ提供してください。
 しっかりととりくんでいこうとしています。

 あつさがつづきます。敵の攻勢も歯止めのないものになりつつあります。よりいっそう、力を合わせて、今ここから未来を作る闘い、を進めましょう。 共に! お元気で!
再見! ゆき子
97.8.4


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