支援運ニュース No.181

浴田由紀子さんの便り


・お元気ですか?
 今年の夏は、暑かったのか涼しかったのか、良くわからないままに終わってしまいそうです。私が寒暖にニブくなったのか、けじめのはっきりしない季候になったのか?
 将司君が180号で東拘の立て替えに反対を呼びかけていますが、法務省案がこのまま進められると今以上に季節も昼夜も関係のない、外気と自然から全く隔絶された実験室のモルモットのような、壁に閉じこめられた生活になるのです。ペルーのカヤオ刑務所の地下牢はきわめて非人間的で時代遅れだとびっくりしますが、今法務省が作ろうとしているのは、非人間的・非生物的・非自然ということにおいてペルーの地下牢と何ら変わらない空間なのです。何としてでも21世紀の人権水準に見合う建て物を作らせるべく、各界の人々の協力と介入を呼びかけたいと思います。
 東拘はこの春から、「お知らせ」と称して「節水をしないと水道料がかさんで…他の処遇をけずらざるをえなくなる」という恫喝をくり返しています。6月末から女区では副食の量が1/2〜1/3に減らされたのですが、「水道料がかさんだ結果なのかしら?」と理由を知らされないので不安になっています。節約するのみならまず下らない「願箋(いちいち「おねがいします」と書かせる)」の数をへらして、余計な検閲をやめたらどうだ?!世情と、世界の流れに抗して強行されている、年数人への死刑執行といい、情報の公開と再編・改革を今もっとも必要としているのは法務省なのではないかという気がします。
 シャコの報告で「仮釈をもらって出てすぐにまた返って来た人」のことが書いてあるけど、私の文通している数人の「務所帰り」の人達もみんなひじように苦労をしている様子です。シャコは所内での職業訓練の希望を却下されたようだけど、日本の行刑は「教育刑」と言いながら職業訓練もさせない、一般社会とはおよそかけはなれた価値観と生活習慣を強制して、ひたすら主体性、自主性の剥奪と白痴化をおしすすめて=「更生させて(教育して)」放り出しているのですから…社会に復帰出来ない質と再犯の条件を「教育」しているようにしか思えません。
 死刑廃止運動の中でも代替刑の問題を問うていこうとしています。この国の行刑制度、刑法そのものが根本から問い直されなければ、犯罪も、兇悪犯罪もなくならないと思います。明治時代の刑法がそのまま温存されていること自体がおどろきですが…それ以上に、今の行刑の現場は、その中味において明治時代よりも後退した人権処遇がまかり通っている。かつて以上に1人1人の獄中者の人間としての尊厳は軽視されていることが問い直されなければなりません。その典型が確定死刑囚処遇です。
 「犯罪」は法務省当局(「犯罪者」がいなくなったら職を失う人々によって)、あえて再生産されているのではないかという気がします。刑務所・拘置所が塀の中であるが故に、よりいっそう情報の公開を求め、行政改革を求めていく必要があります。
☆支援連ニュース 180号、ひぐらしざとだより。「三菱重工は世界の軍需企業の16位」という話がのっていますが、あらためてこれが戦争を放棄し、武器輸出を禁じた国のトッブ企業の実態(なりわいの10.5%が軍需生産)…。「日本企業については“自衛隊からの防衛契約が中心”」という解説に示された“二重の危険”に注目したい(デイフェンスニューズは日本の憲法違反を指摘している)。
 今やこの国は、“世界に冠たる”軍需企業群をかかえて、秋には「日米ガイドライン改定」・有事法制化・組織犯罪対策法etcetcと次々に平和憲法を実質的に放棄して、集団的自衛権の行使と歯止めのない海外派兵を再開し、臨戦体制の確立、「国土」と「国民」の戦争への総動員体制の確立を目論んでいます。これが21世紀に向かうこの「国」の方向なのか? 断じて「否!」です。
 74.8.30 三菱重工前で2つの爆弾が爆発した時、多くの人々は、三菱が戦犯企業であること、未だに海外侵略を続けていること以上に、兵器製造と、それによるヴェトナム侵略戦争への加担によって、「とうとうやられたか」「三菱は軍需産業だから」と、その根拠をストレートに納得しました。当初私も又そうでした。あの時代、誰もが「軍需生産の犯罪性」をしっかりと認識していたように思います。
 他国を抑圧し、人々に戦争を強いる同じ誤りをくり返してはなりません。私達に歴史とは何かを気付かせてくれた家永博士の長い闘いを、共に担い続けていく者達でありたいと思います。米日反動と一部独占の軍事大国化策動を許さない闘いを共に!
☆東ア反日武闘の総括を進めるために、80年代〜最近の資料を読み続けているのですが、3ヶ月集中(?)しているけど未だに終わらない! まあ“終わる”ときというのはない作業だけど…つづけます。
 将司君は 180号で「〜かってゴリゴリの主張をしていた人までが反反日になり、あるいは非反日になる風潮の中で最後まで反日であり続けるっもりです」と書いてある。彼にはぜひ“四半世紀を経た反日”“21世紀に向かう反日のススメ”を書いてほしい。
“腹腹時計”を読むたびに未だにドキドキする人もいることだし。。。。
☆息子Tは、この夏休み私の両親の家を訪問して、マキワリと草刈りにくたびれて。「あなたが昔お世話になった人にいっぱいあったよ。いっぱいの人にお世話になったんだねえ」とびっくりして、帰って来ました。ハハハ…その位の「世話になった人に」おどろいてちゃあダメダ! 人間生きていくということは、人々のお世話になるってことなんだから……。あなたも私もまだまだこれからもいっぱいいろんな人々とからみ合いながらお世話になって生きていこう!
みんなお元気で! 再見! ゆき子


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