支援運ニュース No.187

朴慶植氏のこと


'98.3.3  浴田由紀子

 お元気ですか。2月27日にイヌフグリ第一号とその他大勢を見つけました。春がもうすぐですよ。
 雪が降ったり、空が青かったり、イヌフグリを見つけたり、モグラがのぞいたりするたびに、将司君達北舎の仲間達は、これさえも知ることも見ることも出来ないんだとくやしく思っています。季節も、お天気さえも知る事の出来ない世界に人間を閉じ込める事は絶対止めさせなければなりません。
 アメリカがヤリタクテ・ヤリタクテ・ジタバタしていたイラクへの武力攻撃は、何とか当面は回避になりましたが、今回も又、日本政府の「アメリカの茶坊主ぶり」はしっかりと世界に示されました。「常任理事国になりたい」とか「相応の責任」とか言う以上は、「独立国としての相応の思想と立場」をもってほしいものだと思っています。
 韓国では、金大中氏が新大統領に就任しましたね。彼は就任演説の中で「この地で初めて民主的な政権交代が実現する〜この政府は国民の力によって出来た真の「国民政府」だ」と述べています。長い間、民主化運動のリーダーであった金大中氏の大統領就任で、韓国人民の真の民主化・主権回復が進展することを願っています。経済的には、ムチャクチャにして、ひきつぐ、という困難な出発です、が逆にだからこそ国内の統一と再建への共働が可能になるのかもしれないと期待しています。
★朴慶植氏のこと
 2月13日に「朝鮮人強制連行の記録」の朴慶植氏が交通事故で他界されましたね。朴さんは最近、在日資料館を作ろうとされていたそうですが、仕事なかばで、とても残念だったと思います。朴さんのご冥福をお祈りします。
 私が「朝鮮人強制連行の記録」を始めて読んだのは72年頃、斎藤君にかしてもらったのだと思います。「〜この帝国主義支配の罪悪行為を具体的に知らない場合には、帝国主義が再びそのような罪悪行為を繰返しても気がつかず、無関心となり、結局は許してしまうことになる。」「支配者によって毒された帝国主義的思想の残滓は根深いものがある。これは、一朝一夕にはぬぐいさることのできないものであろう。これを正面きってとりあげげ、帝国主義と植民地支配の問題・民族問題に正しくとりくまなければ、それはいつまでものこるであろう。『他民族を抑圧する民族は自由ではありえない。』日本の歴史研究の中で、民族問題をどのようにとりあけるかということに問題点がある。日本帝国主義の植民地支配の問題をぬきにしては、アジア・アフリカ・ラテンアメリカのことがとりあげられても、問題を本質的に把握できない。」(「朝鮮人強制連行の記録」1965年)
 そして今、日帝敗戦から50年をへて、この国の教育者達は、自由主義史観という、「自分本位史観」(内田雅敏「憲法第9条の復権」)で、いつわりの歴史、あった事に蓋をし、誤りを忘れ去る「歴史」を子供達に伝えようとしています。今年98%近い公立学校で入学・卒業式に日の丸・君が代を使うという。歴史と人類の教訓に目かくしをされた子供達がどっちを向いて歩かされようとしているのか! 私達の闘いはまだまだです。
 私は「朝鮮人強制連行の記録」を読んで歴史を正視し、歴史に学び、誤りに立ち向かう事なしに責任のある時代は切り開けない事を学んだように思います。
 斎藤君はいつか、「朴先生は私にとって、学問上の父親のような存在です」と言ったことがあります。彼は74年秋からパクられるまで調布のシノという駅前喫茶店で働いていましたが、時々「今日朴さんが来た」とか「今日前を通った」とニコニコしながら言っていました。私達が同居を始めた1つの理由、私が勤め先を変えた理由に、通勤に1日3時間も使ってしまう時間のムダをなくして……ということがありました。しかし、彼は結局亀戸から調布まで、「どこでやっても変わらない仕事」のためにパクられるまで通い続けました。何度「約束不履行」を確認しても本気で職場を変えようとしなかった。私は、「朴さんを見たいんだな、恋人みたいだな」と思っていました。そんなこともあって朴慶植氏には、いつかぜひお会いしたいと思っていました。もう会えないのですね。サッサと便りしなかった自分の勇気のなさと怠慢をくいています。そして、学んだことを、生かせる人でありたいと思っています。
★浴田裁判
 敵は「証人の所在がつかめないので、オリエンタルメタル、間大宮の事実調べをとばして、先に家宅捜索等をやる」と言い出しました。加えて「斎藤・浴田のアパートだけじゃなくて、大道寺・片岡(益永)等もやる」というのですから、なかなかです。たいへんだぜ、と思う一方で、完全に第一次統一公判のやり直しの条件がととのうことになります。種捜しには好都合、というわけです。はりきっています。同志達も仲間達もいっぱいの知恵と種のありそうなところについての助言を寄せて下さい。そんなわけでSAIKAIは秋になるかもです。しかし、公判はますます深みにはいっていく、しっかり準備して、確実に再会しましょう!
★岐阜刑は私の問い合わせに対して「先般のお尋ねのあった件に関しましては、諸般の事情から回答いたしかねます。」と言って来ました。私は「交付しないのなら返送してほしい、必要なら郵送料も送ります」とまで書いたのにですよ。だいたい照会もしないで、どうして「シャコの更生上良からぬ奴」かどうかわかるのですか?! たちえそうだとしたってです……職権濫用不当押奪行為です。どうしたろうか……。
★息子Tは、受験した公立高校に合格し、元気に報告に来てくれました。どうしてこの学校に行くのか、何故他にしなかったのか、卒業までに何を獲得するのか、テストの成績をどう評価しているのか、順序立てて、説明してくれました。「僕の一生で一番いっしょうけんめい勉強したもん、合格になんなかったらたまらないよ。」と自信のほども見せてくれました。自分で考えて、選んで、みんなの応援を実感して、努力して合格した。という受験を通して学べることをしっかりと学習してまた大きくなったのだと親バカ母ちゃんは喜んでいます。経験を自信と誇りにして高校生活に生かしてくれる事でしょう。
 吉村同志は、テストの日のお弁当に「カツ」を作ってくれたそうです。当人は「Tの好きなものを作っただけ」というのですが、この効果のバツグンだったようで「ウン、おいしかった!」  「みんなに応援ありがとう!」を伝えます。これからも一歩一歩…ですが、ひき続き応援してやって下さい。元気に、はりきっています。
★そして、ノンキ母ちゃんは、「和君の本」の原稿が進まなくて弱っています。トコトン編集担当者泣かせです。完全に「読者」になりきって、「フーン」「エーッソーナノオ?!」と連載を楽しみにしている間に〜もう3月! 私が知ってることって、ホンの少しだったんだ、とか、私は何も見えていなかったんじゃないか、とか……いじけたりもしながら、何とか、進めようとしています。ガンバレ、ガンバレ!
 もうすぐ春です。SAIKAIを射程にいれて、迎える春です。
みんなお元気で!   再見!              ゆき子


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