支援運ニュース No.190

「浴田を潰せば女区は完璧」だア?!


'98.5.31  浴田由紀子


 お久しぶりです。お元気ですか。
 先月は、お休みしてご心配をかけました。はげましをありがとう。私は元気になっています。

☆懲罰にはまいっちゃありません。「時にゃあ懲罰もやって、自分がどこにいて、どれだけの敵に囲まれているものなのか、自分の位置を客観的にとらえ直すいい機会だ」位にかまえていますが、ついに「ぢ主」になってしまったのにはまいりました。職制でも官僚でも、社長でも、何とかがまんできる、しかし「ぢ主」にだけはなりたくなかったのに……。元々出かけたがり屋ではあっても、出しゃばりではないはずなのに、ついに出しゃばりぢ主になってしまいました。トホトホ……。
 手術をしてこれは退治します。「自己変革能力に依拠し、内部革命で転覆する」といいたいのですが、主体準備不足から、外力にたよって、手術でやっつけることにしました。これまでつちかってきた戦略・戦術からは一見後退のようですが、当面の敵を打倒して長期戦闘体制を整えるためには、一定の戦術的譲歩もやむをえないのではないでしょうか。完治します。
 そして、諸悪の根源の懲罰です。原因は、訴訟資料・図書の房内所持制限に関する一連のイヤガラセ、イジメに抗議を続けていることです。差し入れの書類やパンフが来るたびに「7mm入ったから、7mm出せ」と言い、本が来ると差し入れ伝票だけ持って来て「先に中にある本を出さなければ(何が入ったのかも)見せられない、指印だけ押して」と言い……。とにかく日替わりのイジメ(弾圧というにはあまりにも個人的でなさけない)をやっていたわけです(当時私は体調不良で医者から「精神的ストレスです」と言われるほどでした)。
 4月13日差し入れ本の交付中に看守は突然(記録を机の上で書こうとしていた私に)「机の上でやっちゃダメ、この上(配食台)でやって!」とさけびました(ウン? ドアの影に区長が近づいているのです)。で私は、「いいかげんしなさいよ」と配食台をバンバンとたたいて抗議し、区長に「イジメはやめろ。どういうことか説明しなさいよ」等呼びかけました。このバンバンが「ソボー行為」というわけです。大きめの声で説明を求め、抗議をしたことではありません。ドアのかげから出て来た区長は、私の質問に答えるのではなくスタコラスタコラ、今来た方向に帰ってしまって……。しばらくして他人の名をかたって私を呼び出し、誰にも聞き取れない早口(かつボソボソ)で「〜〜で取り調べる」と言い捨てて、再びスタコラスタコラ、誰もいない事務所の奥深くに逃げ込んでしまいました。
 30日になって懲罰審査会なる儀式が行われましたが、もちろん「ソボー行為」に到る根拠、ソボーの程度等は問われることはありません。あくまで形式的な秘密「裁判」なのですから。翌1日、私は病気であったのに、「7日間の軽屏禁・文書図画閲覧禁止」を執行。3日目には座っていられない大ぢ主に出世。それでも「懲罰中なので横臥は許さない(昼間はずっと座ブトンなしで座っていなければいけません)というので、6日の執行停止までひたすら「所有地」を増やしました。
 懲罰を2日も残し執行停止にしてしまったので、その後当局は3日にあげず医者をよこして「懲罰をやれるかどうか見るための診察」を強行していました。医者が、「あと少し横になっていれば、手術をしなくてすむかもしれない」などと言おうものなら、横から主任と看護婦が「それでは(懲罰が)できない(ので横臥にしないで)」とクギをさす……という攻防が続いています。この間の経験で、「ぜったいに完治はさせない」という東拘医療の特質に接することが出来たように思います。永田さんに対処療法しかしないのも、丸岡君が2年たってもまだ後遺症やってるのもみんな「完治させてはならない」東拘の管理支配の道具でしかない医療の結果です(医務が治すと、横から保安がブッつぶす)。私は必ず完治します。心配とご迷惑をあっちこっちにかけてしまってごめんなさい。支援連ニュース読者にまで被害を拡大してしまって…。支援連ニュース「編集長」にも、しっかり……。この次から、「ハガキ一行でも」送るようにします。

☆訴訟資料(書類・図書)の房内所持制限については、明確に未決被告人と再審を目指す人々の裁判を受ける権利と防禦権行使、さらに弁護人の活動を制限し、妨害する違法・違憲な制限としてあります。
 私達は今、この不当な制限に対し、その撤回を求める闘いを進めていますが、問題は、この制限によって当面支障をきたす(被害を受ける)者がきわめて少数の限られた人々であり、全体として危機感が薄いということです。圧倒的多数の未決被告人は訴訟書類を2mなんか使うことはありません。数カ月後、数回の公判で下獄させられてしまうのですから。弁護人も大部分の弁護人は、被告に公判記録や証拠調書をコピーして渡したりはしません。何回か面会に来て「いいですね」と言って裁判を進めてしまうのが大部分です。一方この制限に抵触し、被害を受けるのは、「重大事件」で長期裁判を問われている者(必然的に死刑や無期の重刑を争うことになります)、冤罪被告人、上級審・再審という「裁判を争う人々」です。自らの生命と人権を守ろうとすることそのことが、制限され妨害されるのですから、もはや彼らにとって「公平な裁判」は拘置所によって、踏みにじられ、否定されているというわけです。
 圧倒的大部分の人にとって何の不利益でもない、しかし他の少数の人々にとっては、きわめて重大な、しばしばとり返しのつかない人権侵害が発生する可能性がある。これが訴訟資料制限の性格です。
 有事法制も沖縄の海上基地も、自衛隊の海外派遣も、当面の大多数の人々の生活には何のさしさわりもありません。しかし、それが適用される時には「全てが奪われる」ことになるのだということには、なかなか思い到れないものです。が故に、今あえて反対し、阻止する闘いに結集しえない……そうしてなしくずし、戦争を支え、戦争を担う側に身をおいてしまう…、同じ誤りをくり返すわけにはいきません。
 旧来、東拘は、図書については「10冊制限」の枠を設けながら、必要に応じて「公判資料」という形での10冊外所持を認めたり「担当あずかり」にする仕方でその違法性を補って来ました。しかしこの4月から女区においてはそれさえも止めてしまっていることを問題にしています(東拘の他の1部では行われている)。区長は3月中旬、「女区で大量の資料を持っているのは浴田だけだから、浴田をつぶせば女区は完璧になる」由の発言をし、以後前記したような、弾圧を続けているわけです。「女区を完璧にする」と出世出来るのかもしれませんが、女区区長自ら、毎日一人の在監者のパンフや本の出入りを「○○mm入った、××mm出た」と出納帳をチェックし、コンピュータに記録する…ことが本当に「出世の道」なのかどうか「公共の利益」なのかどうかは疑問です。
 訴訟資料制限については、撤廃、少なくとも公平な裁判を受ける権利の保障・防禦権の保障・弁護活動の侵害を止めることを求めて闘いを続けます。知恵があったら下さい。力も貸して下さい。提訴を準備中です。

☆浴田裁判は、5/29から、ガサデカ尋問に入りました。約15人位でしょうか。次が将司・利明両同志証人になります。公開に向けて攻防の焦点は8、9月ということになって、再会は10月と予測されます。SAiKAiの署名、よろしくお願いします。同時に、実現へのあらゆるレベルのあらゆる戦略・戦術、知恵と力を弁護団とゆきQ又は支援連に寄せて下さい。皆の力で必ず実現しましょう。何のために浴田裁判をやっているのかわからなくならないように!

 23回目の5・19を、ダランと腹這いになって迎えてしまった。カズ君の本の原稿は、トコトン担当者泣かせに徹してしまっている。今年の5月も雨の多い暗い5月だったな。しかし、あの日々のあと私達は立ち直れたんだ。バリバリ…やります。そして、同志達、元気に再会しましょう。みんな体をこわさないで、ジワジワのこの国の変質にも、負けないで、持ち場からの21C創りに、力をつくしましょう。共に!
ゆき子


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