支援運ニュース No.193

自分をはなれて本当に勝つ方法は何なのか


1998/8/30  浴田由紀子


 お元気ですか。8・30にこれを書いています。台風4号とかのせいで、大雨の、暗い日ですが、あの焼けるような真夏日だった8・30から24回目なのですね。あの日を忘れる事の出来ない全ての人々が、前を向いて生きていてくれる事を願っています。
 8月は「再会」に向けて、山のような「供述調書」をかかえてすごしました。再審研の仲間達が進めている調書分析にのっかって、もいちど、客観的に調書(と闘争)を裁判闘争の視点から見直そうとしたのです。その間、昼も夜もそれしかやらなかったせいもあって、頭は完全に74〜75年にタイムスリップしていました。
 疑問は、いっぱい出て来ます。同時に、検事の作る供述調書というのがいかに彼らが裁判を有利に進めるための戦略戦術に沿った「道具」であるのか、「真実の究明」とか「事件の解決」とかとは全く無縁な、視点に貫かれているものなのかを再認識しました。「供述」そのものが屈服と後退の証でしかないのですが、供述のある裁判をどう勝ちぬくか、と考える時、検察調書のストーリーを粉砕するだけだはなく、真実をゆがめることによって敵が勝ちとろうとした物、そのものをバクロしていく攻撃性が問われているのでしょうね。
 調書に表現されたあの日々の部分から、自分自身も又そこにいたはずの日々をとらえ返そうとする時、様々な疑問がわいてきます。そのひとつ、「彼らは、調査のために大企業の本社ビルに目立たないように入っていく紺のサラリーマンスーツを持っていたのだろうか、どの服着て行ったんだ? そんことが闘争の戦術を変えることはなかったのだろうか」ということがあります。将司君にしても、私に会う時はいつもブレザースーツでした。(ので私は、ああ会社員と言っても企業じゃないな、と思っていました。)調書を読むと芳正君は「ここ一番」の時はいつも黒のスーツを着て活躍したようですが、目立っただろうなあ、やっぱり。
 間の時、工事現場攻撃にこだわるさそりグループに対して、「何故本社をねらわないのだ」という話が交わされます。一方に本社は入りずらいのじゃないかという意見があります。武器(服装)に規定されて、発想が違うものになっていたのではないかとふと思いました。大成の時、本社等のビル内は、1,2回しか見ないで(私自身は1回も見ないまま)「中はむつかしい」と結論しました。今になって、ゆっくり調査する余裕もないほどに入りづらい理由があったのかもしれないという気がして来ました。
 私達の判断や行動を左右する要因にしばしば、「今の自分そのままで〜」ということがあると思うのです。役所まわりをするよりは、街頭でビラをまく方が〜と戦術を決める時、自分に合わせて立てているようにです。再会に向けた私の戦術もそうです。方針は「単ゲバ」です。客観的にはアリバイ作り、やったという自己満足にしかならないのじゃあないの? と思いつつ……自分をはなれて本当に勝つ方法は何なのか、と問い返し、それに向けて自己組織することがなかなかむつかしい。今私は、「身の大から出発して〜」でないと闘いはむつかしいと考えていますが、調査にどの服を着て行ったのだろうかと思うことから、大成の闘争は、主体力量をこえて無理をしたところに敗因の一つがあったのではないかとようやくに気付いています。主要な問題ではなかったかもしれないけど……。やっぱくやしいです。
 8月もうひとつの大仕事は、「和君へのラブレター」です。これが出来なくってうつうつとしてしまっている。他の人も読むからと考えてかっこつけようとしているのが、一番の敗因なのだとわかっているのだけれどやっぱりこだわる。
 だいたい和君にラブレターなぞ書いた事は一度もない。(彼に住所がなかったから、だけじゃあなく、私は男の人にラブレターを書いたことがないのだ。?「もらったこともないのじゃあないか」って? それがどーした!) 高円寺にいた頃、一度だけ福岡か下関あたりから「お元気ですか。○○日頃そちらへ着きます。また会いましょう K」という三行か五行かのハガキをもらったことがあるが、それだけだ。本を届ける時もパンフを置いていく時も、汚いメモ用紙に「読んでみて下さい K」とあるだけだった。そんなことは、今ラブレターを書けない事の言い訳にはならないのだがなあ――、やっぱ一回位はラブレターをもらってみたかったと思うのは、あまりに欲ばり、自分勝手だろうか。
 そんなこんなで、それでなくても多忙な編集長を泣かせ、イライラさせて…あっちこっちにメーワクをかけまくっているみたいでスンマセン。11月14日は彼の誕生日です。それまでに何とかしたいものだと……ペンをくわえてホワーッとしているのですが、さらにさらに「和君のこと」を編集長の方に届けて下さい。私も、一生一代の大ラブレターをはりきって書きましょう。誰も焼きもちやくんじゃないよ!
 ロシアとアジアの経済危機というのは、興味深いですね。アジアのそれは、はっきりと日本の「危機」と連動しているのだと思いますがIMF型とかODA型とでもいうべき国家建設が構造矛盾を起こしている? 日本も、自活できない(食料さえも自給できない)構造の故に今のムダを切りすてる以外に再生の道はないように見えます。食料自給を軸に保護政策をとって来たところが延命できていくのじゃあないかという気がします。自治と自給は通じるものがありますよね? 誰かこのしくみを教えて下さい。
 先日の新聞に岐阜刑で集団食中毒という記事がのっていたけど、岐阜刑の同志達はだいじょうぶだろうか? 面会に来てくれた友人が「オイアンタの同志は、生きてるか?」と心配してくれていた。「新聞に『病状は軽い』とあったからだいじょうぶでしょう」と答えたけど、当局はちゃんと謝罪したり補償したりしているのだろうか。聞いた話では、刑務所の進級制度というのは、病気になっても減点されるそうだから、こんなことで二人の「進級」がおくれることのないように願っています。自分で食事を選べない中で「気をつけろ」といってもむつかしいけど、元気でいて下さい。
 今年の秋は、忙しくなりますが、元気に闘いすすめます。体の方は、おかげで元気になっています。もう安心して下さい。再会に向けて、戦闘態勢・開始。
 みんなお元気で?   再見                    ゆき子


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