支援運ニュース No.198

とにかく会えます

1998.2.1  浴田由紀子

 お元気ですか、気温はそんなに寒くないのに、カゼが大流行のようです。みんながカゼでブッ倒れていないか、心配です。私の方は、房に陽が入るので昼間の数十分「背中ひなたぼっこ」をしています(恋人達には見せられませんが)カゼ対策にはいいようですよ、条件のある人はやってみて下さい。しかし、獄中で陽の差さない房の仲間は、それさえもできない。病気にならない方がおかしい東拘建て替え案は、ちゃんと修正されているのだろうか、心配です。少しでも工夫して、元気でいてほしいです。
 支援連ニュースが発行される10日には、将司同志の第1回証人尋問が始まります。東拘で、非公開で行われることは、くやしいですが、とにかく会えます。
 12月24日の公判で弁護団は、「裁判公開原則を出来るかぎり損ねないために」裁判所に対して所在尋問は、傍聴を禁じていないので(1)一般傍聴の許可(2)報道機関の傍聴(3)尋問のTV中継(4)尋問の録画・録音と公開期日での再生(5)証人テストのため、開廷前の証人・弁護団・被告人のうち合わせの保障(6)証人の疲労に配慮し、休廷・のみ水・マイクの設置等を行うこと、を要請・提案しました。
 その後検察官は、またもや「所在地尋問を実施する理由は、死刑確定者である両被告人の身柄の確保、外部交通の遮断・心情の安定等のためであること。云々」等々として(1)〜(4)を「受け容れるべきではない」と反対し、三者うち合わせについては、連赤裁判で許可されていたのは証人が受刑者であったからであり「本件では(2人は)受刑者ではなく死刑確定者であって証人の立場に厳然たる差異が有する〜」と反対。証人の疲労対策については「裁判所にまかせる」。  というとんでもない意見書を提出しました。公開をめぐる検察意見書もそうだったけど、検察官のもっている「六法全書」には「裁判公開の原則」とか「公平な裁判所の公開裁判を受ける被告人の権利」とか「何人もその思想・信条・立場・身分によって差別されてはならない……」とかいう条文はのつていないみたいだな。一貫しているのは、証人が死刑囚だから被告の権利や裁判の公平やその原則は破られてあたりまえ、死刑制度は全てに優先するという論理だ。裁判所はこういうのを見て「私らコケにされているな」とか思わないのかな?
 今日は証人が死刑囚だから、明日は過激派だから……左翼だから、右翼だから、反体制だから、外国人だから……ビラまいたから、集会に行ったから……。証人の性格と身分によって法廷、裁判がその基本原則を放棄するというあってはならないことが求められている。
 その上で出された裁判所の決定とは、基本的にぜ〜んぶ検察の言いまんま! 加えて、「東拘に問い合わせた結果、東拘は証人テストとしての趣旨であれば接見時間の制限(30分)をうるさくいうつもりはない」だ、と…。結局、始めから終わりまで、裁判所(長)独自の判断や意見は何もない。拘置所への「要請」もない。ぜーんぶ、検察・拘置所のいいまんま!
 何か、検察や拘置所の主張に裁判所は「決定」という表題をつけ直して出しているだけなのかしら、という淋しい気持になってくる。
 官僚支配といわれて久しい、安田弁護士への逮捕弾圧・寺西判事補の処分決定をみてもそうだけど、すでに政治家(国会)がその機能をうしなつているように裁判所も官僚の指示なしには生きていけない、独立とか尊厳とか、遠い昔に失って自分の頭では何もなしえない時代になってしまっているのだろうか。何か戦争中の憲兵というのが、政治家だろうと弁護士だろうと裁判官だろうと好き勝手に逮捕して、自分達の息のかかった者と入れかえた、あの姿と今の検察庁が重なって見えるのは私だけかな。
 公平な裁判所の公平な裁判を受けるという被告人の権利はぜーんぶないがしろにされて、国が東ア反日闘争と日赤の同志奪還闘争へのミセシメ報復の儀式をやるのにセリフなしの「不可欠のエクストラ」としてつき合わされているのかなという気にはなってくる。「それにこのまま加担していいのか!」とか「裁判なんてー」とか……いろいろあるが、ここでふんばるっきゃあないのだよね、どうやりかえすか、知恵をしぼって〜。とにかく会える!
 再会に向けた準備の一環としてこのところ毎日顔を300回ずつたたいている。他ではない、シワをのばすためなのだ。N子さんに会った時その話をしたら「エーのびないでしょう」みたいなことを言われてさんざん笑われてしまった。ハガキでは「もし彼らがジワのことを言ったらブッ飛ばしてやればいい」と言ってはげまして下さった。もちろん、ブッ飛ばしますが、その前に私としては、最後に会ったあの「花の26才」のイメージは持ちたいのだ。それにこういう場合将司同志は「ヤサシイ」から口に出して「オッ、シワが増えたねえ」なんては絶対に言わない。ニャッとして腹の中で1人うなづく、そういう奴なんだ。これはブッ飛ばせない分くやしいじゃあないか。利明同志の方は、とりあえず口に出して言ってしまって、ブッ飛ばされるか、もう二度と口をきいてもらえなくなって後悔する。そういう2人の反応が見えてるのに、このまま登場というわけにはやつぱいかんでしょう。というわけでここ数日たたきつづけて、「リンゴのホッペ」になっているのにいっこうにシワはへらない、なんか「シナビタリンゴ」みたいになったきた(?) たしか永田洋子さんの本のどこかに書いてあったと思うのに、ローカを通る彼女にひとこと「要領」と「効果」を聞いてみることも出来ない。じゃあ彼女の顔を〜とジーッとみつめたところで、格子をへだてて、度の弱った近眼メガネで……第一今も彼女がたたきつづけているのかどうかもわからない……クソーッ洗濯物はまちがいなくたたけばのびるのになあ、何故だ?!……ああ、その日は刻一刻と近づいている。私も「これは女のクンショウだ!」といい切る根性ないところがコモノかなあ。あと10日努力して、いよいよダメだったら開き直ろう、ウン、ソーヤむこうかて……。
 会えたら報告します。2人は、私の100倍くやしい非公開だろうけど……ちょっとでも補えるようにがんばります。
 みんなカゼに気をつけてお元気で!
 再見!                            ゆき子



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