支援連ニュース No.216

今、弁護側立証冒陳の準備中です

2000.08.12 浴田由紀子

 お元気ですか。
 今年はあついね。たいていのあつさ、さむさには、ビクともしない(?)私だけど、今年はちょっとたまらん。といっても誰かさんみたいに食欲がなくなったり、夜ねむれないということは、いっさいないので心配いりません。問題は、あつさを口実にして、書くべきものを書かない、読むべ資料を読まないというなまけ虫が大いばりになることです。ホント、困ったあつさです。サボりに口実を与え、まじめな人々の体力を奪う、このアツサがニクイ!! みんな弱っていませんか。
 沖縄サミットというのは、ハジのウワヌリで終わったのでしょうか。人間の鎖は感動的だったと報告してくれた人がいましたが、一方でイギリスや、ドイツやフランスの報道が大浪費を批判していて、日本の報道はそれを話題にもしないということに、ホント、帝国主義本国人の中のきわまりになったのだな、と実感しました。沖縄振興策とかいうふれこみでしたが、重債務貧困国五ヶ国を帳消しにしたり、貧困と飢餓に苦しむ子供達を救うことのできる金は、全て警備警察とゼネコンに費やされたようなものですから、そんなもんか、誰かの役に立つわけがありません。何故ありあわせの施設でやれないのか、何故沖縄にもっていく必要があったのか、未だに納得のいく理由は見えてこない。
 サミット報道で、「世界はむこうを向いている」と思ったのは、各国首脳のご婦人がやってこなかったことです。これだけのぜいたく、宴会サミットにです。来れば彼女達は、観光や産業施設を見学して歩くことになるので、沖縄でされをしようとするとイヤでも戦跡をめぐり米軍基地にぶつかり、基地産業を目にし……沖縄の放っておけない現実を見ざるをえないが故に、それを回避したのでしょう。マスコミも同様に、見てしまうと真実を伝えざるをえないけど、見さえしなきゃあ口をつぐんでいられるから、シカトしたのでしょうね。
 読売新聞は、クリントンが平和の礎にわざわざ出向いて、「沖縄の米軍基地は大事だ、沖縄の人々の苦悩に感謝する」みたいなことを言ったと、ありがたがって書いていました。とんでもない話で、二度と戦争はいりませんという沖縄の人々の叫びと誓いの前で、「私達が戦争をするための軍隊を受け入れてくれてごくろうさん」なんて話は、平和の礎と沖縄の人々の心を冒涜することでしかない。何でこんな演説を許したんだ。何故「クリントンと戦争志向者の立ち入りを禁ず」という看板位かけとかないんだ、とくやしい。これを書いていてもまだくやしい。サミットの内容は、彼にも病(イ)ている、ボロボロ、ズタズタのままに、浪費だけの社交会にしようとしたのが日本政府で。……彼らの崩壊を加速すべく、そして、人々の平和の輪を確実に広げていくべく、沖縄サミットのことを忘れないでいようと思う。それにしても、全国から動員された警察官の人数と、人間の鎖に集まった人々の人数が似たような数だつうのは、くやしい。この次は、警備警察を人間の鎖で封じこめるというのはどうだ?!
 ハラの立つ、納得のいかないことが多い昨今だが、もうひとつ、ネパール人のマイナリさんに対する拘置を最高裁が認めるというのはムチャクチャな話だ。この国の司法は、はっきりと中立性も公平性も、法の尊厳もすてて、「相手によって適用基準を変える」という司法自ら、法の価値を否定することになったようだ。マイナリさんがアメリカ人やイギリス人だったら、有罪でもないのに拘置されるなんて絶対にありえない。在日ネパール大使館とネパール国外務省は、どうしているのだろうか。国際問題として国際問題として解決されるべき問題だし、私達にとっては、司法の公平性を犯す重大問題だ。
 こんなことが通用するとしてら、石原の「第三国人は犯罪者」なんてことが、そのまま通ってしまうのみならず、そのうち、左ヨクも貧乏人も犯罪者の可能性があるといって、予防拘禁されたりパクられたら最後、判決とか刑期とか関係なく、終生塀の中なんてことになりかねない。おそろしい時代になりつつある。
 そんな中で、心がふるえるほどあったかいこともあった。
 先月、高校で同期だったという学校の先生から手紙をもらった。お習字のお手本みたいにきれいな字の手紙には、(裁判に役に立ちそうな資料を)「……何とかしたいという気持で立ち上がり、近隣に勤務している婿さんの協力もいただき捜したのですが、(見つかりません)……悔しく思っている次第です。」「……またいつかふるさとに集う日がありますことを、心より祈っております。」と書いてあった。申し訳ないことに、私は彼女の事を思い出せない。学友の一人一人の顔を思い浮かべて、あの人だろうか、この人だろうか……と考えながら、ふと、いっしょに「青春」をやった彼らが、今社会の中堅としてがんばっているのだということに思い至った。その一方に、いつまでも青年の日のままに、相変わらずのかけ出し根性で、シッチャカメッチャカ(な字で、文で、行動で…)いっかな責任も歴史も、あつみも何もない自分がいる。
 今、彼女達の思いは身に余る。高校時代私は、途中から、トントントボケタ3枚目なハメハズシだった。学校へは、友達に会うために行っていた。彼らにとって今も私は「オトボケチンペー」のままなのだろうな。取り調べのデカは、「オマエの同級生は、片っ端から皆取り調べる」と言っていた。「……共にした日々を、どれだけ大切に生かせているかわからない……。逮捕の時は、みんなにも迷惑をかけ、不愉快な思いをさせたことと思います。ごめんなさいと、そして今、みんなの気持にありがとう。」と返事を書いた。いつか再開できる日がくるなら、彼らと共に育てたはずのものを、はずかしくない宝として報告したいものだと思う。今はまだ、これしか言えない。
 さて、その裁判ですが、7月11日第76回公判で、証拠の認否確認をやって、検事側立証を終了しました。
 フフフ、「アンタラそれだけでええんか?!あとで泣いてもしらんで。」という思いと同時に、「さて、どうする!?」というあせった気持が同居していて、熱い、汗ダラダラの夏になっています。今、弁護側立証冒陳の準備中ですが、大上段にバーン!東ア反日武装戦線の正当性!世界共産主義革命の必然! というわけにはいかないようなので、堅実に、堅実に、ていねいに「事実」に即した審理を進めていくつもりです。再審の種さがし、余計な刑はうたせない目標はしっかり貫徹しますよ。どうか、介入だろうが、おせっかいだろうが、知恵でも力でも、批判でも、ヤジウマでも……声をかけて下さい。証人には、シャコやまりちゃんや和君の友人や……を予定しています。
 沖縄サミットも、世界に向けて「日本のハジ」をさらしたようなものになってしまって、ますます、状況を変えることが急務になっていますが、一人から二人へ、人間の鎖をつなぎつづけよう。
 あつさ、あと少しです。ガンバロウ 共に!

ゆき子 


YUKICO
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