支援連ニュース No.220

三年後に元気で再会しよう!

2000.12.15 浴田由紀子

 お元気ですか。今年は、世間が寒くなりそうだね。
 もうすぐ21世紀というやつが始まるのですが、何となく準備不足で、やり残しだの、ふしまつだのがあっちこっちにあって、手放しでは喜べないのは、私だけでしょうか。毎日カレンダーをながめて、ウーン、とうなってばかりです。
 それでも、11月29日に花岡裁判が全被害者救済で和解成立したニュースはうれしかったですね。今世紀の大きな宿題の一つがうまくやれて、何だか他のやりのこしにも見通しが立ったような気がします。ことに、私達が上手にできなかった仕事を、花岡で痛められた人々自身と直接出会い、共に生き、闘おうとした人々の国境をこえた共同と連帯の力が勝利を実現したのだという思いがつよくあります。私達の不十分や誤りをジンテーゼとしてのりこえた取組みとして、受けとめようと思っています。戦争責任をとることなしに生きのびることはできないことを、鹿島が理解し、勇気をもって、決断させたことを、これからのこの国の企業の海外侵出の教訓にしていけるように、しっかりとフォローしつづけたいものです。
 もうひとつのビック・グッドニュースは、もちろんシャコとの対面! ヤッタゼ公判3回にわたる証人尋問の勝利的実現です!
 12月7日の尋問最終日のあと丸1日、私が右手を洗わなかったんだと言ったら、将司君と利明君はどんな顔をしてうらやましがるのだろうか。フッフッフッ…。こんなことは、30数年前の初恋の日(!!あったのだヨ私にも)以来だぜ。シャコはさすがに元地下ゲリラ兵士だ。獄中18年、うすれたりと言えどもその資質はちっともおとろえていない。あのニコニコ顔の奥に秘められた判断力と行動力に、いつも又ボーッとして立ち遅れる私は、最大級の敬意を表したい。加えて、私の喜びは「ヨーシ、これで3年後のデイトの約束をとりつけたぜ。」という確信にあります。こうなったらもう、効果があろうとなかろうと300たたきを止めるわけにはいかない。
 「2003年6月10日早朝に、出獄します」というシャコは、出獄後の予定として、「母といっしょにいてあげて」「福祉と貿易の仕事をしたい。貿易は“夢”ですが」そのために今、「エスペラント語を勉強している」とも言っていた。続いてシャコは、獄中での行刑処遇獄中労働について、自分の例をあげながら、犯罪者の更正を助けるものになっていないこと、「施設によっては、いいこともやっているのでそれをもっと一般化して、他の施設に広げてほしい」等々と、現役の懲役囚としての現状を報告してくれた。
 被告人もドキドキしながら、2、3まじめに質問したのだが、シャコを見つめることにせいいっぱいで、メモをとらなかったので、報告は別の機会にしたい。ただ、「将司君や利明君ほど“困りきった顔”じゃあなかったと思う」とだけ伝えておこう。
 続いて検事の質問に対してシャコはとっても強かった!
 検事が、「武装闘争のみではまちがいと言っていたが、今も武装闘争が必要という考えですか。」と聞いてシャコは「今現在日本の場合、武闘は必要ないと思います」と答えた。続いて検事が「どうして」ときりこんできたのだが、シャコは「(今の日本は)武闘以外の手段で十分社会を変えていくことが出来る、状況ですよね。武装闘争は、一定の政治運動があってその中で武力的におさえつけられて、やむにやまれない状況においこまれた時に必要なことはあるかもしれませんが、今日本にはそういう状況はないでしょう。ありますか?」と大胆にも検事に逆尋問してしまったのだ。一瞬タジッ!と身をひいた検事は、しばらくの“間”の後に「当時はどうだったのでしょう?」とメモをみながらつぶやいた。
 シャコ「状況がありました。ただ高い視野にたてば、わかるのですけれど、周囲が熱い状況の中で(誤って)そうとらえてしまうことがあるでしょう。(そういうことはあなた)ありませんか?!」とまたも追撃に出た。これじゃあどっちが尋問官かわかりゃあしない。検事もこりない。「当時はそう理解してやったということなのでしょうか。当時はそういう状況じゃあなかったけど時代が熱かったということなのでしょうか……」結局、検事の質問は、当時の武闘を今の価値基準で善悪判断すべきではないということを、第三者に示してくれたもののようだが……。シャコは、対検事と対弁護士では人間が変わるのかあ――。
 最後に裁判長が、「黒川君とあなたの関係は、……言われたら、唯々諾々と従う関係だったのか、それは反対、と反対できる状況だったのか」などというひっかけクイズみたいな質問をして、法廷中にゴクンとツバをのませた。シャコは、本当に思案顔で質問をやり直させて、……全ての尋問が終了した。
 シャコごくろうさ様。傍聴席からのファン達の声援に、シャコはふりむこうともせずに(?)ニヤニヤだけしている。裁判長は「あんまりお行儀がわるいと次回から警備を入れますよ」なんか言って、傍聴席のシャコファンを制している。そのスキに、話は冒頭に戻る。
 さて、シャコ証人尋問は終わった。東拘の独房でフクロハリをさせられたシャコには申し訳なかったけれど、私達は、とっても力強いうらづけ証人をかちとった。そして傍聴席の仲間達と共にシャコとの再会や、初対面を楽しむことができた。私はまずシャコ公判出廷記をしっかり書いて、会いにはこれなかった仲間達に、シャコの今をまちがいなく伝えよう。ありがとう、そして三年後に元気で再会しよう!

 ペルー人民をしこたま弾圧し、多くの生命を奪い富を搾取したフジモリ元大統領は、ひきょうにも日本に逃げて来て辞任を表明し、あろうことか日本国籍を主張し、日本法務省は「フジモリは日本国籍を有する」なぞとフザケタ発言をしている。とんでもない話だ。
 いつからこの国は、人の二重国籍をみとめるようになったのだ!! かって藤森が大統領になった時、彼が真のペルー国籍者であるか否かが問題になったことがある。その時彼は、何やら、「確たる証拠」を示して「自分は正真正銘の日系ペルー人である。日本国籍者ではない。」と証明してみせた。あの話はどうなったのだ。ペルーは、他国籍者に大統領をやってもらうような国なのか?
 今フジモリに日本国籍を出せる位なら、その前に日本の国の都合によって日本につれてこられた在日の人々にまず二重国籍を認めて日本の公民権を与えるべきだ。さらに、オーバーステイだの不法滞在だのという、拘束されたり、職を奪われたり、強制退去にしている全ての日系人に国籍を与えろ。先頃改革された入管法では、はっきりと効力を失ったパスポート(藤森は大統領パスで入国して、止めて民間人になったので、当初のパスはつかえない。パスなし人間)で在日し、それをかくまう曽野あやこ氏もろとも「犯罪」なはずだ。
 冗談じゃない。藤森がペルー大統領になることで、膨大な利権を得た政治家や資本が、今利権の見返りにペルーの主権を否定し、ペルー人民の敵を擁護しようとしている。(この国の法をいつわってまでだ)日本資本にとって藤森とはそれほどにおいしい大統領だったということなのだろうが、今、藤森の日本国籍を認め、ペルー当局の訴追からの逃亡を許すことは、再び、我々自身がまさに帝国主義本国人として、第三世界、貧しい南の国々からの直接的搾取や主権の侵害に荷担することに他ならない。藤森にまずしっかりとペルーにおける自らの犯罪の責任をとらせる運動をおし進めよう。ダブルスタンダードなんてもんじゃない法律もクソもない法務省と外務省のデタラメを許してはならない。

 足下の重信同志被逮捕、それに続く弾圧の拡大も、頭の痛いハラの立つ話だ。私達は、何をやっていたのだ!! というくやしさもある。が、この現実から、人々に学びながら謙虚に力を合わせて、やり直したいと思う。総括してもまたまちがう、それでも自分達を変えて何とか初志をつらぬこうと思う。どうか、知恵も力もかして下さい。批判も教育もして下さい。共に進みたいです。
 次回12月22日裁判の証人は、荒井まり子さんです。久々にまりちゃんの話を、どうか聞きにきて下さい。みんなお元気で。
 今年もいっぱいありがとう、来年は結審です。新世紀です。がんばります。共に!

ゆき子 

YUKICO
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