支援連ニュース No.229

この秋が大締めです。気をひきしめてがんばります

2001.09.14 浴田由紀子

 お元気ですか。
 今年は、秋が早目に来ているように思えます。おかげで、獄中は、8月がすごしやすかったのですが、私はいけませんでした。ここに来て、チョー寒がりになってしまって、毛糸のハラマキ、冬用ソックス、パッチを着用の8月でした(上半身は元気で、ノースリーブで平気)。
 自分でも「オカシイ」のですが、きっとこれは、「大人の女」になる前兆です。ただ心細いのは、この先2,3ヶ月にはやってくる「冬」という奴です。その前に治るようにひたすら、新陳代謝を活発にして体内時計の回転速度をはやめています。ホレ、やなことって、さっさと終わってしまいたいじゃないですか。みんなも元気にしていて下さいね。
 浴田裁判は、7月に検事君病気でキャンセルになったあと、8月公判をやって9月11日には「華の求刑」の予定だったのですが、8月27日直前になって検事は「検事質問をあと3回やりたい」と言い出しました。ナンナンダア!
 7月の病気は、あまりの重責におしつぶされてなのか、それとも時間かせぎだったのか……とにかく大反撃に出るのだと、私もそれなりに緊張して、とりかかっています。
 ところが、8/27,9/11と2回やった検事質問。検事君は病み上がりのわりには、元気そうで、まあそれは良かったのですが、2回とも、短時間で、質問を「今日はここまでしか用意しておりませんので」なぞといって切り上げてしまって、……「全面戦争体制」の被告人をガッカリさせたりしています(と今は言えるのだヨ!)。「こんなだったら1回か1回半で終わったら良かったんちゃうの、裁判ひきのばしかあ?!」という疑問もなくはありませんが、まあ……「何でもこい!!」と大ようにかまえて、つき合うことにしましょう。
 検事尋問のねらい(立証主軸)がどこにあるのか、まだもうひとつ読めていないのですが、1つは「共犯した」とされる人々の存在は実はなかった話なのではないか、という形で、法廷供述の矛盾をつき、検事調書を生かそうとしていること。もうひとつは、「殺意」をやっぱりもって一連の闘争をやっていたのだろう、と言わせたいということなのでしょう。
 前者については、今私が「立証」できることに限界はありますし、立証することが目的ではないので、あくまで、自分が担ったことの真実を明確にすることを心がけています。2点目については、この2回の反省として、検事の質問にていねいに当時の思いや、私達のなしたことについて答えてきたけど、もっと目的意識的に、今の総括地平を主張することが必要だったのかもしれないと気付きました。あと1回ですが、この点は次回はあらためようと思っています。検事尋問ということでどうしても発想が防衛的になっていたなと反省しています。私の理想は、「検事尋問になったら、人格が変って、“丁丁発止”と検事を追及するシャコ証人」なのですが、なかなか……足元にもおよばない。未だに、シャコは「雲上の人」のようです。(どうしたら、ああなれるのであ?! 私かていちおう18年「逃亡者」だったんだけどなあ……ブツブツ…)
 ちなみに11日の公判で検事は、「元牙のメンバー達は、今も健在で傍聴に来ているか」とか「別件で逮捕されたか」とか「海外にいるか」とか聞いていて、私は「いいえ」と答えたけど、いいんだよね?……。未確認なのに知っているふうにいってしまった。
 そんなこんなで、エッチラ、オッチラですが、この秋が大締めです。気をひきしめてがんばります。
 前号で将司君が「利明君の『友へ』評は、もっと厳しくなるかも」と書いていましたが、私は前の号の敏明君の評を、彼独特のテレと愛情の表現だとうけとめました。
 私もそうですが俳句がわかって言っている訳けじゃあない。まず「あの将司君が俳句をひねるのかあ?」というところから始まって、いっしょに育った人の作品をほめるというのはなかなかに根性のいることです。だって、誰があの「コミックばりのアナキスト」と言われた人が、句集を出せるような「りっぱな俳人」に成長すると信じられるでしょうか? 「フフフ、君の人を見る目も、底が浅かったようだ。私のこのかくれた才能に気付かなかったとは……」と言っておやりなさい。かくいう利明君だって「被告にウィンク」なんていうかくし芸があんだよな……。

 11日、米国での同時多発テロのニュースは、時代の転換点になるのだろうと思って見ています。誰が何のためにやったのかはいまだ不明ですし、けっしてあってはならない許されない作戦ですが、第一報を聞いて私がまず感じたことは、「アメリカが世界中に武器と軍隊をばらまいて、世界各地の人々に対して行ってきたことが、ついに米本土でおこってしまった。」ということであり、「これでもう、世界中のいかなる戦争も、戦闘もやめようという契機にしなければいけない」ということでした。
 「こんな無差別で無原則なテロ」を非難するだけでは、このように米市民が殺されることも、世界中の市民が殺されることも阻止することはできません。何がこの作戦をおこさせしめたのかその原因を取り除くために我々は何をなすべきなのか、何をしてどうしてきたのかがとわれていると思っています。「弾圧と、米(帝国主義)の軍事力強化に口実を与えただけだ」と非難することも又、当然ですが、そこにとどまるかぎり、私達も米の自己正当化にからめとられてしまいます。
 米(帝国主義)の世界軍事支配の口実にさせないためにも、今回の事態は、ある日突然、なんの根拠もなくひきおこされたことでなく、「米とその追従者が一貫して世界各地に軍隊を送り武器を送って、それらの人々の上に消費してきたことと、全く同じことが米本土で米市民の身にひきおこされたものであることを」明確にすべきだし、だからこそ、これまで「国(時にはNATO、時には国連)の名における戦争行為は全て正義で、そうした軍事抑圧、支配に抗する弱小勢力の抵抗は全てテロリズム」と非難してきたことがいかに根拠のないまやかしであったのか。米が世界中に派遣した軍人によって殺傷された者は、米と闘うつもりで武器をとった「軍人」だけだったわけではないことは、今や誰もがしっています。故に、ブッシュと米当局者は、正しく事態を認識して「これは単なるテロではない戦争だ」と宣言しました。だからこそ、今、私達がなすべきこと、は、「テロリズム」と「戦争」を対置し、これは悪で一方は善で、と米帝国主義者とその追従者の論理にのっかるのではなく、同じものなのだ、だからこそそのどちらも、いかなる戦争にも、軍事力による抗争にも反対する、許さないという立場をつらぬくことだろうと思っています。
 希望がもちづらい、誰もが疲れはてている時代のように見えますが、一つずつ一つずつ、原則的に、人が人として共に生き合うにはどうしていけばいいのかを考え合い、ささやかに行動し合い、身の回りから共生の社会を実現していくようにしましょう。さあ、ガンバレ!
 11日台風の中を傍聴にかけつけて下さった仲間達があったことに、とてもとても感動し、感謝しています。ありがとう。みんな無事に帰宅できたでしょうか、あの日も隅田川の増水した川べりにテント小屋がいくつかのこっていました。荒川河川敷の小屋もそのまま水たまりの中にありました。 みんなお元気で!

PS.指の検査結果はとりあえずリウマチはなくて「加齢による関節炎」ということです。心配とご迷惑をおかけしています。


YUKICO
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