支援連ニュース No.230

同情するなら砲撃させるな!!

2001.10.12 浴田由紀子

 お元気ですか。決戦の秋! 検事尋問を10月2日に、何とか終了しました。被告人は、きわめて太っ腹、「何でも聞いてくれ」と強気だったのですが……さすがに検事君、弱腰といえども、ムダにあそこに座っていたわけではないようです。被告人の弱点、未総括ポイントを上手に捜し当てて……「…出獄後ということで、30年、40年先ということは、重刑を容認するという主旨でしょうか?」などと聞いてきて、アッチァ!! どじったぜ!! と被告人と傍聴席をあわてさせせしまった。スマン! 万事ひかえ目で、謙虚さを旨とする(?)被告人「遠い将来の出獄の場合…」と聞かれて、つい「30年、40年…」と言ってしまった。「羊の皮をかぶった狼」の自己矛盾というべきか……。常に本音をかくすことを習慣とせざるをえなかったばっかりに……。「あげ足をとらせてしまった。」かに見える……が、ナーニ、次回弁護側再尋問というのがある。
 今、必死で「未総括、弱点」の総洗い直しをして……バンカイです。何と言っても、次回は「ひとこと裁判長、山室恵君」からの「飛んでる質問」があるかもしれない……戦々兢々の日々です。被告人の望みは、ただひとつ、公判のあとで、弁護団と傍聴の仲間、支援の仲間達に「ヨーシ! 勝利的に終了じゃあ!!」と乾杯をさせるということなのですから、気をぬけません。塀の中や外で冷や汗を流している同志や仲間達にも、ここらで、共に闘った充足感のひとつ位味あわせたって、バチはあたらない。ガンバレ!

 問題は、9月11日以来の世界中の動きの異常です。世界中が米(欧)軍需産業によって支配され、おどらされていることが、かくすことなく明確になる日々であるようにも思います。
 9・11は、ウサマ・ビンラーディン氏が犯人だという口実で、ウサマ氏を「かくまう」アフガニスタンへの戦争が開始されました。しかし、未だに4つの飛行機に乗り合わせていた19人のアラブ名青年達が実行犯であったという明確な証拠も、ウサマ氏の指示で闘争が行われたという明確な証拠も明らかにされていません。
 一部の国の首脳には、個別・秘密裏に伝えられたと言われていますが、米が各国に同じ情報を伝えたという保障も、その情報の裏付けもなしに……いったい「民主主義国」の首脳達は、何を納得したのでしょうか。
 第一、公然と言えない理由は何なのか? 言うと自らに理のないことが明らかになる。守りたい者の非が問われる? こんな不確かで、不公平な「理由」で戦争の開始に賛同するばかりでなく、大はしゃぎで、協同を申し出るほどに世界中の施政者は、オロカな者達なのか? 彼らは「自由と民主主義を守る、正義の戦争」というけど、犯人特定の根拠も示しえず、公平な裁きも考慮せず、いきなり報復という名の戦争を是とする民主主義、法治国家とは何なのか?
 私は、9・11自体が、例え名を上げられた青年達が実行者であったとしても(帰ってこないつもりの空港に自分の車をおくでしょうか? エロカードのいらない国内便の切符を、「犯人」が本名で使うでしょうか?……のこる仲間を守ろうとするなら、少しでも主体の秘密を遅らせるべくよそおうでしょう。そうする必要のないものなら、声明文を出す方が、政治的効果は大です)彼らは「犯人をウサマ・ビンラーディンやタリバンにして、戦争を開始したい人々」の謀略にはめられたにちがいないと未だに思っています。
 ともあれ因果関係の不明のままにアフガンは、最新兵器の実験と大量消費の場に選ばれ、日本を始め世界の幾つかの政府がそれを支持し協力さえしている。しかし、それはずい分おかしな戦争だと思う。百万歩ゆずって、ウサマ・ビンラーディン氏が関っていて、タリバンはそれを知って彼をかくまっていたとしても、アフガンの国と国民が戦火にさらされるいわれはない。よってたかって、このチャンスにアフガンの政権を交替させようという話にもならないはずだ。
 あまりにムチャクチャだから米は、砲弾といっしょに食料を投下するのだという。それで砲弾を落とすだけの戦争よりも「人道的だ」と、アフガン国民を犠牲にするものでないと誰がいったい信じられるのだろうか。私は82年レバノンに降って来た、「トリック爆弾付きのカラフルなオモチャ」を思い出した。「爆弾はついていない、モスレムに配慮した自然食だ」と新聞に書いてあった。米が砲弾といっしょに落とす「安全食品」がアフガン市民の口に入るのではなく、タリバン兵士の胃袋を満たすものになることを、世界中を一元支配しようとする人々が知らないはずはない(戦争中にわずかな食料を、まず民族と国を守ってくれる兵士に優先するのは、あたりまえ)。米には、タリバン兵士達に1晩や2晩で降伏してもらってはこまる理由があるのだ。対戦相手に「エネルギーを補給しながら」一定の武器を消費するまでは、戦争を持続しなければならない。そして、人民は、砲火の下で苦しむ。わずかな毛布とカンパンと医薬品との形ばかりの「人道」支援なんかクソくらえ! 同情するなら砲撃させるな!!
 こんなチャチなカラクリをする以外に方法がないほどにオロカな不正義を、阻止しえない「民主主義諸国の国民」とは何者か? 今回の戦争の目的が「自由と民主主義をおびやかす敵」の打倒にではなく「戦争をすること」、すなわち「武器の消費=軍需産業のもうけ」にあることは、今や誰の目にも明らかだ。60年代までの利権やイデオロギーをめぐる戦争とは明らかに違う戦争が、80年代以降米軍やNATO、あるいは国連軍の名で定期的にくり返されている。かつて軍需産業は、戦争に勝つために、国や民族・イデオロギーを「守る」ために武器を生産した。しかし今、戦争は、武器を使うために軍需産業を栄えさせるために、ひきおこされている。こうして、「勝利者」は不明のままに、戦後に「民主主義社会」が建設されることもなく、戦場とされた荒れた大地と破壊された生活手段の中にうろたえた市民が放り出される。戦争のおろかさを歴史の中で学び共生する方策を身につけた人類の知恵は、否定されつづけている。
 9・11の受益者は誰か? 今アフガンへの戦争の受益者は誰か、それが、9・11アメリカ市民の殺傷と今アフガンの人々を苦境に追いやることに責任をもつ真の「犯人」だとというこを、早く気付きたい。
 自衛隊を動かしたくて、絶好のチャンスを見つけて、はしゃぎまくっているこの国の施政者達も又、そうした「受益者」の一部であることを忘れないでいよう。軍需産業をなくせば、世界は平和に共有できる。世界中の戦争は不要になる。それだけの智恵を21世紀の人類は持っているはずだと私は思う。
 新しい世紀をどう、誰と共に生きるのか。分岐する秋になりそうです。(私の身の上も……)。圧倒的な情報攻勢にまどわされることなく、人類は先達に学びながら何万年も生きてきた「人間」であることに確信をもって、智恵と力を合わせて、真に人々が平和に、共に生きうる社会を創っていくことに力をかたむけましょう。誰かにまかせておいて、静かに生きられる時代は終ったようです。

 ゆきQの仲間達が12月8日集会を準備開始しています。どうか、今から予定をやりくりして、仲間をさそって参加して下さい。「浴田裁判、やってよかったぜ!」と成果と元気を確かめ合える集会になるといいなと思っています。
 さあ、元気にガンバロウ!


YUKICO
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