支援連ニュース No.234

いっさいの余裕を失って、苦闘中であります

2002.02.15 浴田由紀子


 お元気ですか。
 ブッシュは今年を「戦争の年」にすると公言したり、「悪の枢軸国」とやらを名指ししてみせるとか、ひたすら軍需産業のために奉仕する大統領たることを宣言し、戦争の口実作りを進めているようです。今や「世界人類の敵・悪の枢軸」とはブッシュ君、君のことだよ!! 彼らのやっていることやろうとしていることは、かつて欧州からの移民者がアメリカ大陸でその原住民に対して行ったことを、全く同じ論理で、今は世界中で行おうとしているだけです。経済のグローバル化と言おうが、文明の共有と言おうが、民主主義や人権の擁護と言おうが、……ブッシュとその一派への帰順者は、差別しながらも生かしておいてやるが、従わない者はことごとく「掃討」する。人類の歴史に数百年おくれた智恵で最新鋭兵器をおもちゃのようにもてあそんでいる、と言ったらいけないだろうか。
 世界中がよってたかって、破壊したアフガンの再興のために、皆で金を出すという話が決まった。破壊する前に、破壊に要した金も含めて、「援助」にはしない矛盾を見ないふりをしてだ。論調の中には「9・11があったから今世界の目がアフガンに向くようになってよかったのだ」というものもあった。本当にそうだろうか?と私は思う。9・11は声明さえだされていないこと1つを見ても、アフガンの人々の窮状や、パレスチナの人々の窮状を真に憂える立場に立って行われたという風には思わない。たとえ実行者にそのつもりがあっても、それは、その目的を貫徹する担い方としてはなされなかった。9・11を口実にアフガンを戦場にしたのは、ブッシュとその一派、戦争をしたい勢力だ。「9・11」を口実にしたアフガン侵攻を既成事実化し結果として「アフガンに世界の目があつまって良かった」なんていうのは、その過程でいわれもなく殺され生活を破壊され、国土を破壊され、今やブルカまではぎとられようとしている人々の立場を全く考えないものだ。
 かつて日帝の中国大陸侵略、アジア侵略が、結果として共産中国の独立を可能にし、アジア各国を独立に導いたから「いいこともした」と言っているのと同じだと思う。
 アフガンの人々には、アフガンの大地と習慣と、歴史と宗教とに似合ったアフガンの人々流の生活と社会とがあり、社会改革がある。アメリカ流の「民主主義」とやらいう「競争社会」が一番だと誰が決めたのか。民主主義ならまず自らの政治体制も宗教も、生活システムも……それぞれに選択する自由を認め合うことから開始されるべきだと思うのだが。遠いアフガンやイラクに対してそれを認めようとしないブッシュアメリカが民主主義の国だとは、もう誰も信じないだろう。アメリカ流、グローバリズムとは、かぎりない排除と対立と帰順の論理でしかない。
 世界最強の要塞・ホワイトハウスの中にいたってブリッツでのどをつまらせて一生の終わりを迎えるかも知れないのだ。テレビもコンピューターもない馬車で移動する人生とどこがどうちがうというのだ。内なる欲求不満のはけ口を求めて囲りにケンカを売り歩く「非行少年」のようなブッシュにつき合うのはもうやめよう。人民のグローバリズムを、作り出していこう。その地の人々に似合った生活と自前の社会システムを尊重し合い育て合うことが、その第一歩なのだと思う。
 さて、問題の浴田裁判・最終意見陳述であります。これはなかなか、ブッシュの悪口を言うほど簡単にはいかない。
 シャコ調でいくか、利明風に正攻法で決めるか、それとも、将司・芳正ばりの反体制正統派流にするのか、丸岡流・吉村流……とみんなの最終意見を並べてみるのだか、まずはスタイルが決まらない。「そんなもなああんた、××流で決めてやれるほどキヨウじゃあないのだから、どうがんばったって結果はハチャメチャ浴田流しかありえないでしょうが……無駄な時間を費やさないで…」と外野(内野か)の声が聞こえる。とりあえず、言うべきことと言いたいことをメモにしてみてあとで組み立てたらよろしい……と例によって書きため方式の「山」の中で、冷や汗ダラダラ。いかに私が矛盾に満ちた脈絡のない組み立てようがないご都合主義のいいかげんな奴であるかの証拠の山を相手にすることなのだ。
 検事君の論告を、矛盾だらけだの、脈絡なしだの、無理だの、非合理だのとさんざんこきおろしたあとだけに、イジでも、この現実を何とか糊塗して、あたかも何の苦もなかったかのように、キゼンと、格調高く決めないわけにはいかない。時間と共にプレッシャーは強くなるばかりだ。特技のひらきなおりも、検事君の翔んでる論告がちらついて、なかなかにむつかしい。あとはもう、「翔んでる度合い」であの検事論告に対抗するしかないだろうか、とここへきて徐々に腹がすわりつつあるのだが。しかし、四半世紀に渡る東ア反日裁判の中間決済が「翔んでる度合いで勝負!!」なんてことでいいものだろうか……?。いっさいの余裕を失って、苦闘中であります。
 あらゆるプレッシャーとおせっかいと助言と激励と批判とショック療法…を未だに受付中です。
 まだイヌフグリは見えませんが、多分、少しずつ春です。どうかお元気で、3月11日に向けて、力をつくします。やっぱりみんなといっしょにヤッタゼ!!と勝利のカンパイをしたいから。ガンバロウ 共に!!
                       ゆき子

P.S. 前号で報告した検事論告の「大地の牙を三菱が……」の一文の訂正を含む「論告要旨修正版」が検事から提出されました。しかし、まだ、圧倒的な部分は未修正のまま、誤りに満ちたものです。


YUKICO
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