支援連ニュース No.238

控訴審の準備は着々と進んでいる。

2002.06.14 浴田由紀子


 おそれていたよりは、ゆっくりの夏のようです。
 お元気ですか。
 有事法制と個人情報保護法案が何とか不成立のはこびのようですね。敵失の結果とはいえ良かった。敵失に至る力の結集も小さくなかったはずだと思っています。まだまだゆだんはなりませんが、進み始めた反戦・平和・護憲の人々の力をさらな育て、小泉危険内閣と軍拡勢力の解体をさらに進めましょう。まかせられないことは、はっきりしたのですから、もうなまけてはいられません。
 そう、浴田裁判も判決まであと半月余になりました。「裁判所のお手並拝見、問われているのはあんたらだ」ときわめて強気・当事者意識希薄な被告人、さあどうする!!
 古い支援連ニュースによると、シャコは判決を聞いた時の反応の仕方について事前に打ち合わせ(というか傍聴への注文)をしようとしていたらしいけど、私達はどうしようか。
 まあいろいろ異論もあるだろうけど、裁判にあたっては、一貫して「大人の女」「四半世紀の経験とそれ故の確信」をモットーとしてきた被告人、今後どうするかはべつにして、やはりここは、いちおうこの姿勢を最後まで守り通すのがやり方だろうという気がするので、あまりハデに喜びも怒りも表現する訳にはいかない。となるとここは、傍聴席がはりきる、ということになるのだが、傍聴席だって浴田裁判では、一貫して、ジェントルかつ公平な傍聴人をつとめてきた。その姿勢はつらぬかれなければならない。しかし、裁判所の判断を、良くも悪くも無言で「受けたまわる」というのも、共に裁判を進めてきた我々の流儀に反する。裁判というのは、裁判所と検事と弁護人と被告とによってだけ成立し、担われるのではない。傍聴人あっての公平で民主的な裁判なのだ、という側から、それなりの意志表示、裁判官の仕事への評価は必要だろう。
 そこで提案だが。『Who's who』を見ると、山室裁判長はあまり評判が良くない。5年近く月1回のデイトを重ねてきた被告の身としては、それなりの情もある。ことに将司君たちの証言を、身を乗り出し、目を輝かせて聞いていた姿は忘れられない。ここはひとつ、「それなりにりっぱな判決」の場合に限ってだが、おしみのない拍手を送って裁判長の勇気をたたえ、今後の仕事をはげましてはどうだろうか。問題は、判決がことなかれ主義のどうしようもなくひどい場合だ。もちろんブーイングの嵐はさけられない、本人も覚悟の上だろうが、それでもバトウはいけない。私達はあくまで紳士的に、支配階級のチョーチン持ちと化し、司法の尊厳も独立も公平さも、人間としての自らの信念も奪い取られた彼らをあわれむ余裕を持って、「山室君、しっかりせんかい!!」「青年の日の心を忘れたのか!! 自分にいいわけのできない仕事をするんじゃないぞ!!」位のことを言って、喝を入れるというのは、どうだろうか。今回は誤ったとしても、今後の別の裁判で身を正す契機になるとしたら、それはそれでいいではないか、とおもうのだが……。
 被告人はまあ、「たたかれ強い」と、自他共に認める。というより甘やかすとダラケル、まるで役立たづになる。逆境において仕方が、何とか本領を発揮するタイプと言われているので、どんなことがあっても心配はいらない。ただこのころ「無期懲役以外は、勝ち」なぞとハードルの低いことを言っているようなので、50%以上の確率でダレーンとするおそれがある。それについては、法廷にいる間にしっかりとひきしめておいてほしい。ひとこと「ダラケルナョ!!」とでも言ってもらえばいいだろう、もちろん、アドレナリン全開になっている場合はその必要はない。いつものにぎりこぶしで十分だ。
 その上で、どこまでを「まあ文句の言えない……」というのかだが、困ったことに、これが皆バラバラだ。0年から20年まで、様々な意見があるが、例えば10年台のはっきりと意見の分かれる判決が出た場合であるが、片やブーイングの嵐、ある一団はニッコリとほほえみ、別の者達は拍手をしている、なんてことになったら、ちょっとかっこうが悪い。ここは、少し、事前に調整をしておいてもらいたい。もちろん被告人は立場上、マユひとつ動かさずむつかしい顔をしているしかないのだから、アテにはならない。まん中に座った人が、頭をかいたらブーイング、ホホをたたいたら拍手……ということにでもなろうか……。
 どんな判決になっても、弁護団はたたえられなければならない。この裁判の要、最大の争点は勝利的につくされていることを忘れないでほしい。判決に示される数字ではない(もちろんそれもあるが)。東アジア反日武装戦線・一連の闘争のていねいな事実審理を実現させた。死刑確定者の被告人調べ以上のていねいな商人尋問を実現した。又、余計な刑をうたせないための努力の200%が払われている。これらの事実の歴史的意義をまず考えよう。それでもなお裁判所がトンチンカンな判決を出すなら、それはひたすら裁判所が物のわからない人々で、公平性も独立性も失ってしまっていることを証明する以外の何ものでもない。そこのところをまちがえないでほしい。弁護人がなすべきこと、と裁判所がなすべきことは明確に違うのだから。
 判決当日のためのうち合わせとしては、だいたいこんなところだろうか。
 一方「判決その後」なのだが、控訴審の準備は着々と進んでいる。まず、判決文はすぐには来ない、それなのに控訴趣意書提出には期限がある、ということなので、判決を聞きもらす訳にはいかない。「判決の聞き方、チェックポイント一覧表」ができている。これを持って判決に臨み、各チェックポイントにその場で○と×をつけてゆけば、そのまま控訴趣意ポイントがわかるというスグレモノだ。必ず判決内容は聞きもらすという固い自信のある被告人は、これを傍聴の仲間達に配ってもらって「みんなで聞けばこぼれない!!」という体制にしようとたんらんでいる。「よし、協力したるか」というやさしい方はぜひ、この「チェックポイント」を入手して4色ボールペンをもって傍聴席に座って下さい。夕方までには、控訴趣意レジュメが出来上がるでしょう。
 さらに将司君は、正式に俳句の指導を開始してくれている。旧友は、月々「囲碁テキスト」を送ってくれることになった。これで、いかなる長期・持久戦にも耐えうる控訴準備は完璧というべきではなかろうか。
 句指南と碁指南そろいて控訴審かな
 加えて、あと1年ちょうどでシャコが元気に帰ってくる。「東拘女区面会室で再会!!」という訳だ。これはもう控訴するしかないでしょう。
 「超法規」があるじゃないか、バクトリ違憲や公訴無効だの時効だのがあるじゃないか、という違憲もおありだろう。もちろんその可能性も小さくはない。当然「それを求めて私はある!!」のだが、このさい、我々としては、「最悪にそなえる」作風を旨としようではないか、そうして、準備万端にしておけばいい。勝利の際のカンパイの段取りに混乱のあろうはずがない。ひたすら飲もう、歌おう、踊ろう、泣こう!
 「和君の本」が、未だに宿題になっている。「先がある」なんて思っちゃあいけない。ガンバレ!
 次回は判決の報告ができるでしょう、うれしい話になれるといいのですが……。どんな結果になっても、この年月、私達が力をつくしてやってきたことの確かさにかわりはありません。自分達を確信し、自信をもってこれからも共に歩を進めようとはりきっています。ありがとう、そしていつまでも共に!
                             ゆき子


YUKICO
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