支援連ニュース No.243

控訴審は気をひきしめ直してとりくみます

2002/11/14 浴田由紀子

 いきなりの冬です。お元気ですか。
 ジャン! 報告の第一は、11月11日、ついに「和君の本」の原稿をとりあえず終了しました。だがしかし、あくまでとりあえずですので、これから鬼編集長の愛のムチ、差し戻したの却下だのが何回行われるかは不明です。よーし、何回でも言うてみい! と大ブロシキですが(第一回差し戻しから今回まで約4年ですからねえ)、それ以前の問題なのか、未だにウンともスンとも言って来ないのは不安です。今頃編集長は「こんなもんで書き上げたなんて宣伝をしてもらっちゃあ困る」とブツクサ、ニガ虫をつぶした顔になっているのかもしれません。がしかし、書いたものは書いたのだ!
 で、ちょっとリラックスしていたら、顔の右半分が万葉美人調の下ブクレです。ゆだんしすぎてアゴがはれてしまいました。
 で、「和君の本」に結集する予定の皆さん! どうか原稿はお早目に編集長に渡してあげて下さいませ。これまでは「メインパートの浴田がまだ書いてないのに……私が急ぐこたあない」という口実がありましたが、出来はどうであれ稿了は稿了です。もうこの口実は通用しません。よろしくお願いします。
 報告の第二は、10月29日に山室判決文を受け取ったことです。余218P。分析・検討はこれからですが、一読してまず感じたことは「山室裁判長たちには、仲間と共に社会変革を目指す者の“人と共にある者”の心は通じないようだ」ということです。やはりひとこと、枕言葉としてでも「革命無罪」を入れて、あなた方の在りのままの世界観・人間観とは別の世界だとお考え下さい、とでもクギをさすべきだったのかもしれません。山室裁判長は元活動家と聞いていたので、原体験として、前提的に、仲間と共に生きる者の心は通じるだろうと幻想を持っていたかもしれません。しかし、良く考えてみれば「元活動家」にもいろいろな「活動家」がいるのでした。まあ「オバカ」といえばオバカですが……。「犯罪」を犯した者にとっても、「被害者」にとっても、法廷でとり扱われる事々が人生を決する事であるはずなのに、毎日毎日、そんなことばっかりやっている裁判官にとっては、自身の信念や生き様やとは全く無関係な、「紙の上の処理すべき出来ごと」でしかないのだな、と良くわかります。文句の言いようのない、正しい事実認定にもとづく「公平な判決」が出たら、「被害者」にさせてしまった一人一人の方々に「こういうことだったのです」と報告できることもあるのではないかと思っていたけど、いつまでも被害者はカヤの外にされてしまうしくみがよくわかりました。山室判決をじっくりと検討したうえで、控訴審は気をひきしめ直してとりくみます。また智恵と力と、勇気とをかして下さい。ガンバロウ!
 名古屋刑務所での革手錠致傷事件でようやくに「行きすぎた戎護」に逮捕者がでました。法務省と法務大臣はなお「調査の結果他の施設では同様な問題はおこってはいない」と答弁しているようですが、これが氷山の一角でしかないことは全ての刑務官と獄中経験者が知っていることのはずです。刑務官による暴行はけっして衆人監視下では行われない。フクロをかぶせたり毛布にくるんで保安房等へつれて行って、他の在監者も見ていない所で行われて、被害者が外へ伝えようとしても、スミヌリ、発信不許可等の検閲やなんかで制限されます。未決の場合はそれでも、弁護人に手紙を書き家族や友人に手紙や面会で「まだアザのある間に」暴行の事実を外へ知らせることができるけれど、刑務所ではそれさえも不可能です。そして逆に在監者は「保安房につれていかれるようなことをした」「革手錠をはめられた」ことを理由に、公平な取り調べも、刑罰基準もないままに懲罰にされます。懲罰のための取り調べというのが行われますが、当の暴力者の上司が居並んで「そのような事実はない」と言ってしまって終わりです。どんな正直な刑務官が「ボクは不当に暴力をふるいました」というでしょうか、どんな正直な上司が「私の部下は違法に暴力をふるった」とその責任をとろうするでしょうか―ここは塀の中です。情願も法務省の役人がお仲間の報告を聞いて「そのような事実はない」と言えばそのまま却下です。人権擁護委員会を法務省の管轄でと主張する人々がいるようですが、設立の主旨を全く骨ぬきにして、市民の人権ではなく役人や政治家というお仲間の利権擁護のために働くものにしかするつもりはないのだと見えます。
 報道では、担当した一人の刑務官の私怨や特殊な暴力性をその根拠にしてトカゲのしっぽ切りで解決しようとしているように見えますが、そのような刑務官の存在を許しつづけた、そして誰も止めずに共同さえしつづけた機構そのものの責任が明確にされるべきだし、革手錠、保安房をはじめとする監獄の暴力支配と、在監者の訴えも、実情も、全くの秘密にし外の市民は当局の一方的な情報でしか知ることもできない秘密主義こそを問題にするべきです。私は刑務所の経験はないけど、長期の刑に問われ、連絡しうる身内もいない獄中の仲間たちが、どれだけの「人間であることの否定」を強いられながらしか生きつなげないでいるかと考えると、いてもたってもいられない思いになります。獄中懲役囚には、保護義務のある当局による労災のような保障がされてしかるべきです。塀の中で生命を落としたら事実調べさえもできないままに泣き寝入りさせられている。春に殺された人は保護房で革手錠で「自傷」して亡くなったと言われたそうですが、当局は「保護房や革手錠は自傷・他傷を防止するために使用する」と言っているのです。こんなデタラメを平気でする人々が法の番人で人を罰し、死刑を求刑し、執行命令を出して、執行するのですから……市民はどうすれば身を守れるのか!
 昨年来ようやく伏魔殿外務省の実体の一部が公にされましたが、法務省は高い塀と、徹底した秘密主義・訴追権・執行権の独占によって「守られ」続けているように見えます。
 犠牲にされた人の取り組みをムダにしないためにも徹底的に追求していってほしいと思います。また「革手錠なんか見たこともない、特殊な獄中者に対する特殊ケースだ」という獄中者がいるかもしれませんが、当局はけっして、他の獄中者の見ている前では、革手錠も、ひどい暴力もふるわない、革手錠をされて運動や面会に出されたり、ローカを歩かされたりはしないのだ、又、強い弁護団とマスコミにつながっている獄中者はそれだけで、守られているのだから、とでも答えて下さい。
 有事3法案、人権擁護法案、司法改革、死刑制度廃止、イラクへの戦争策動、パレスチナ情勢etc.etc足元も身の回りも、たいへんですが、力を合わせて、ガンバロウ!
 夏の終わり頃から、不調だった上野さんはお元気になられました。久しぶりの面会の時、私はうれしくてうれしくて年がいもなく(?)はしゃいでしまったほどです。
 19日からの重信公判に証人出廷の丸岡君は13日現在、東拘で点滴につながれているそうです。1日も早く本元気になって、みんなとの再会を楽しんでほしいと願っています。さて、進行具合は?!
 私の碁は時と共に弱くなる。原因不明です。
 寒くなりますが、みんなお元気で。外の仲間はとくにしっかり用心しいしい上手にしのいで下さい。再見!!
                                   ゆき子


YUKICO
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