支援連ニュース No.252

この国は、おそろしい国になってしまいましたね

2003/09/19 浴田由紀子

 お元気ですか。
 この国は、おそろしい国になってしまいましたね。
 世界で何番目かに大きな首都の首長が、外務省の役人の家に爆弾が仕掛けられたことについて「あったりまえです。当然です。あいつのやったことは……」と公開の場でくり返す。それを、だれも、正面からは批判しないで、当人はあちこちからの「質問」に答えてますます主張を強調し、くり返しマスコミと市民を説得している。
 この発言を新聞で知った時すぐに思い出したのは、三菱爆破の直後に私の職場の先輩たち(青医連系の人も多かった)が「三菱は軍需企業だから、攻撃されて当然です。ヴェトナム反戦運動にやられたのでしょう」という主旨の説明をしてくれたことです。そして9月に出た「居直り声明文」。さらに、一昨年の9・11北米大陸での4機の航空機ののっとりとニューヨーク・ワシントンでの3機の米中枢建て物への激突でした。私はこの時、「今までアメリカが世界中でやってきたことが、ついにアメリカの人々の身の上に起こったのだ」と思いました。「あたりまえ」とは思わなかったけど、ヴェトナムでアラブで、コソボで、アフリカで、南米で……アメリカがやってきたこと、と9・11に「違い」を見い出すことはできませんでした。
 石原知事は、実に率直に、彼自身の本音を言っただけなのでしょう、民主主義国・平和憲法をもつ国の首都の知事であるという自分の立場を意識してなのか、だけが今は問題なのかもしれません。その後の彼の答弁は、はっきりと、自覚に立って「あたりまえ」と主張していることがわかるものです。
 そうして、正面から批判もできない、逆に擁護し、黙認してしまうご同僚たち、このような人に政治をやってもらうしか方法を持たない私たちも同様によってたかって、「あたりまえ」を通してしまおうとしています。今この国は、「拉致」を頭につけた様々な団体や、石原や、小泉や……いかなる暴言も非道理な発言も、口の大きい声の大きい、言いつのる者が「正義」というままに、「言論という名の暴力」を武器に社会も国も支配されているように見えます。
 石原氏には、「日帝と国策企業の侵略責任を考えたらやっぱり一連の企業バクハは「アタリマエ」で、米国の世界中での武力支配を考えたら、「9・11」の抵抗はあたりまえで、イスラエルとパレスチナの攻防なんかまだパレスチナ側はやりたらんじゃないか、都政で切りすてられた弱小企業・失業者・病者・老人・子供たちにはあなたへの武力反撃の権利が当然あると、お考えでしょうか」と聞いてみたいものだ。永遠に抑圧し侵害し合う以外に人類は生きえないものなのだろうか。

 さて、いかなる矛盾の解決も武力によってなされうるものではないことを、身をもって伝えたいと格闘する浴田公判は、いよいよ、12月2日午前10時に控訴審が開始される段取りになりました。高裁第8刑事部からの召喚状には「被告人は、公判期日に出頭する権利がありますから、この召喚状を発しましたが、控訴審では出頭する義務がないので、出頭しなくても差し支えありません。」と添え書きがありました。義務であろうと、権利であろうと、私はしっかりと出席して正面からの公判攻防を担いたいとはりきっています。
 苦闘の控訴趣意書は、なんと締め切りの2日も前、かの8月30日に弁護人・被告人ともに提出されました。くわしい内容はおいおい共有してもらえると思いますが、検察官のコケオドシ、感情ムキ出しの控訴趣意書に抗する我が弁護人の趣意書は、ていねいに理をつくし、冷静に・客観的に、検察主張の非科学性と矛盾を指摘し、あくまで事実にもとづいた公平な裁判を求める説得力のある大力作です。弁護団、そしてゆきQの仲間たちの熱意と努力、苦闘のうえに成立したことを、わすれたくたりません。
 被告人も、それなりにがんばっていますが、まあ例によって、この被告人は、言葉で人を説得するとか、何かをかえるというよりは「事実行為で示す」というタイプに一貫した人だったり、「ない知恵は出せない」なぞとひらき直ったりする人だったり……文章による攻防には、おのずと一定の限界はあります。浴田裁判の困難の最大の原因は、裁判所が物がわからない人々だとか検察が無謀な重刑要求をするからという以前に、被告人自身の75年取り調べ段階での「供述調書」にあります。控訴審では75年供述に信用性がないことを立証すること、「実際にあったこと」「事実」にもとづいて判断してくれ、ということが主要な争点になると思います。そのためには、私自身の自供総括、闘争や運動、仲間たちへの姿勢・人生観そのものが問われるのだと、趣意書を作成しながらくり返し自分に問い直しています。きびしいとりくみになりますが、二度とだれも同じ誤りをくり返さないために、そして、「テロリストと言ってしまえば何でもあり」な弾圧・重刑化の前例になることを断乎拒否して、しっかりと取り組む覚悟です。
 みんな困難な中ですが、どうかまた知恵と力をかして下さい。「やって良かった」といえる闘いを共にしたいです。
 この秋、Tシャツ裁判での利明君、将司君の証人調べもありますね。公判の場ではあるけど、いっぱいのことを伝え合ってほしいと願っています。しっかりとつながりつづけよう!
みんな、お元気で!                        ゆき子


YUKICO
inserted by FC2 system