支援連ニュース No.255

控訴審はシビアーなとり組になりそうです

2003/12/19 浴田由紀子

 お元気ですか。
 12月2日、ついに浴田控訴審は開始されました。
 ひさしぶりに傍聴の仲間たちと集団面会ができる、またみんなと目と目で思いを通わせ合いながらいっしょに闘えると、若干のルンルン気分で公判に臨んだノーテンキ被告人は、今ちょっと反省しています。状況は甘くない。控訴審はシビアーなとり組になりそうです。
 裁判所は、いっさいの証人請求を却下し、被告人質問を二回だけやって結審にすると言っています。被告人としては、これは困ります。裁判勝敗の全ての要因がこの被告人尋問にかかるというのですから責任重大です。加えて我々が控訴趣意書で主張し、ぜひ改めてほしいと願っている誤認された事実は、被告人一人で証明しうるものでもないのです。なのに、他の証人は呼ばん、ということは、「事実の修正をやるつもりはない」という裁判所の宣言に他ならないのです。とんでもない事なかれ主義の形式裁判が行われようとしているのではないかと思うのは被告人の「自分の責任を軽減したいが故の」偏見でしょうか。
 第一回公判では、まず検察官が立ち上がって彼らの控訴趣意「6つの視点」なるものを読み上げました。続いて寒竹主任弁護人が力強く、弁護側控訴趣意書を読み上げました。すでに報告したように弁護側趣意書は堂々210ページ、ひじょうに説得力のある力作です。しかしこれを時間制限のために飛ばし飛ばしにしか読めなかったことは、非常に理不尽かつ残念なことです。これでは説得力は半減し、聞いてる者に感動を与えることも、確信を伝えることもできません。裁判所が裁判公開の主旨を重んじるなら、こんな時間制限なぞしないで、ちゃんと公開法廷の場で裁判官も傍聴人も検事も、……だれもが主張を理解し、納得しうるようにていねいな発言の機会を保障するべきです。裁判所の仕事は、形式を流して被告人の刑罰の量を決めるだけではなく、傍聴席に代表される市民に対して「事件」の真相を伝えて、法の適用の根拠を客観的に明示する役割としてもあるはずです。まったく!!
 という訳で裁判所の手抜きを、我々が補うというのも何ですが、「控訴趣意書」をぜひゆきQのホームページをのぞいてみて下さい。インターネットのない人は、回覧になっているプリントを請求してみて下さい。
 さあ、以来被告人は、今までにない緊張と浮き足立った日々をすごしています。根性入れて、ビシッ!! と決めなくちゃです。
 裁判の困難はもうひとつあります。
 一連の東ア反日武装闘争から28年、他国の石油利権を手に入れる為に、協力的でない政権を、「ならず者」だの「テロ支援者」だのと名指して、倒すための侵略戦争は「正義の、自由と民主主義の為の戦争」と呼ばれ、民族の主権と尊厳を守るための侵略抵抗戦は「テロ」と呼ばれる時代のまっただ中で、この国の戦争責任を問い、再び他国への抑圧と侵略・搾取をくり返さないための闘いは、手段として爆弾を使ったが故に「強固な信念に基づいた」「テロリスト」であるとして、終生施設に閉じこめる無期というこの国の刑法にはない重罰を課せられようとしていることです。私たちの闘争は、主体を問わず、いかなる形態であっても、武力による矛盾の解決が、少なくともこの国においては正義たりえない時代の中で担われました。そして今、首相は公然と「日本の軍隊」の海外派兵・参戦は憲法の基本理念に裏付けられた正義であるのだと強弁し、首都の知事は、侵略機関で働く日本人が殺されたのだから武力部隊がホーフクに出向くのはあたりまえだとうそぶいています。何を私たちは、「闘って創り出そう」としてきたのだったのか、敵の非道をせめるだけでも自分たちの至らなさをくやむだけでも何ひとつ今を変えることはできない、「反日」と呼ぼうと「反帝」と呼ぼうと他者を踏みつけて生きのびることをよしとしない、歴史的にそうしてきた自分達の今の存在基盤を疑うところから全てを開始するそんな向き合い方があらためて問われているのだという気がしています。獄中・裁判闘争を通じてやれることは限られているのでしょうが時間が許すかぎり、初志を今と未来を変える力に少しでも返す努力を続けます。知恵と力をかして下さい。
 それにしても、今回の小泉の憲法解釈にはたまげました。首相官邸には私たちとはちがう「日本語辞典」があって、別仕立ての「公民」教科書があるのかもしれません。市民をバカにするにもホドがあるという思いです。アフガン派兵、イラク派兵をめぐる米とのやりとりで「ショーザフラグ」も「ブーツオンザグランド」も「軍隊を現地へ送れ」というニューアンスに翻訳されて、派兵の口実にされましたが、これと同じ手口です。私も英語を知っているわけでじゃないけど、又、どんな脈絡の中で使われたのか知らんけど、「ショーザフラグ」というのはふつう「立場を明確に示さんかい」とか「自分の意見を言ってみい」という時使うのではないでしょうか、又「ブーツオンザグランド」は「しっかりせんかい」とか「地に足つけろ、自分の考えで行動しろ」みたいな時使うと思っていたので「戦場に出んかい」と訳された時は「ありゃあ。だれか正確な訳をおしえんかい」と思ってしまいました。(まあ、少なくとも外務省にもマスコミにも私より英語のわかる人は多いはずなので……なんですが、よっぽど朝日新聞の声欄に投稿しようと思ったほどです)。なんだってアメリカもこの国もこんなにまで人々を小バカにして大ウソをついてまで戦争をしたいのでしょうか、マインドコントロールとか情報統制とかさかんに某国を非難していますが、当の日米政権がしっかりそれをやって、前詞としての民主主義だの自由だのの目くらましによって、人々はそのことにさえ気付いていないで、だまされつづけているのじゃあないかと思います。本当に一人一人が「ブーツオンザグランド」で「ショーザフラグ」(地に足つけて、立場鮮明に!!)です。
 小泉はブッシュアメリカがいずれ第二のベトナムになったドロドロのアラブの中で倒れる日の身のふり方について覚悟はできているのだろうか。小泉の誤った政策の故に殺される人々への責任をどうするつもりだろうか、どれだけ金をつまれても人の生命はかえってこないのだ。内閣の誤った(憲法違反な)決定を取り消させる、そして責任をとらせる手だてはないのだろうか……超法規的釈放だって合法で内閣に責任はない、しかし応じた被告は有罰といわれてるしな…決定に従った者が悪い?!
 自衛官とその家族友人は勇気をもって出兵拒否をするべきだ。そして我々は彼らの拒否をしっかりとして、「この国の正義」として支えぬく運動こそが問われているのだろう。他国の侵略戦争に参加するために自衛官になった人は一人もいないはずだから。全包囲体制で派兵決定を骨抜きにし、二度と再び軍事力によって他国を侵害しない、この国の歴史的教訓を実践しぬこう。
 きびしい時代ですが、どうかみんな力を合わせて、お元気で。来年は大きな節目の年になりそうですが、まあこの調子でドタバタドタバタ、前を向いて歩を進めます。今年もいっぱいの支援を、元気のもとを、知恵と力をありがとう。
 これからもよろしく!                  ゆきこ


YUKICO
inserted by FC2 system