支援連ニュース No.257

やりました。浴田控訴審本人質問は終了です

2004/02/20 浴田由紀子

 お元気ですか。
 やりました。浴田控訴審本人質問は終了です。無事にとも、勝利的にとも書けないところが、心苦しいのですが、終了です。
 弁護団と傍聴席・支援の仲間たちには19日、「ヤッタゼ」カンパイを保障したいものだと思っていたのだが、スマン、申訳ないことだった。閉廷後の地下仮監で、みんなは今頃泥の出る水ではなく苦いコーヒーを飲むことになってしまったのだろうと、私はゴクゴクとカルキ臭い水道水でのどをうるおすことになってしまった。  長くきびしい闘いだった。華の控訴審、「強固な信念」を持つ「斎藤をしのぐすじ金入りの革命家」被告人は、赤や黒・緑や黄色の小旗が日に輝きながらうちふられるアスファルトの御道を、フルマラソンのトップランナーよろしくさっそうとかけぬけるはずであった。というのに何故かスタートラインが近づくにつれて、アスファルトのマラソンコースは、どうやら、山あり谷あり海あり砂漠あり…のトライアスロンかサバイバルゲームに変化してきて、5メートル以上は泳げない、川の上は歩けない、ヒザは変形関節症、腰はヘルニア、歯は両犬歯欠落と部分入れ歯の被告人はしだいにあせりと危機感に追い立てられ、時間だけはそんな被告人の都合なぞ見向きもしないで残酷にうち過ぎてゆく。(「21世紀は、時間と空間を人間が支配できる時代になる」のではなかったのか?!)あろうことか、このゲームには、超高速道路なみの最低速度制限までついているらしいとわかった時点で勝負の大半は決まったかに見えた。オバサンハソンナニハヤクワハシレナイ……。
 かくして2月10日、決戦のスタート砲は打ちならされた。トライアスロンだろうがフルマラソンだろうがサバイバルゲームだろうが、出場登録してしまった選手にはもはや「前へ進む」以外のいかなる選択肢もありえないのだ゛。
 沿道で打ち振られるはずであった赤や黒、緑や黄色の小旗も大歓声も、激流の大河や砂漠のどまん中、岩山のテッペンやジャングルの奥深く……高架の超高速道に出現することはできないかに思えた……のだがしかし、ひたすらにかけ続けるしかない弁護団と被告人の前に、そう、まさに荒野のゲリラ隊、暗闇の都市ゲリラとでも呼ぶべき、激励とアドバイス、叱咤……のあらしが、チョコレートブロックの形をして、あるいはミカンにばけツナ缶に身を固めて……ハートマークテンコモリの言葉つぶてや、強烈なウインク、投げキッスやゲンコツの固まりとなって、届けられたのであった。だというのに……。19日、最終日の朝になっても被告選手の頭の中は、大地震のあとのコンビニのフロアー状態。
 言いたいこと、言わなければならないことは山ほどある。しかし、限られた時間の中で、何から順に、どう言っていけば相手に通じるのか、検察のあまりないいがかりを粉砕し、「何もわかってはいない」裁判官諸氏に、我が方の理を理解させることができるか、……この国の裁判システムはあまりに形式にしばられ本質を見えなくさせる。公判という土俵の上で、東ア反日闘争の本質を語ることも総括をきわめることもやっぱりできない。裁判は裁判でしかない。「そんなこたあ80年まえからあたりまえだ!!」と言われるだろうが、試行錯誤しながらも、裁判闘争を「裁判闘争」として回避することなく力いっぱい闘ってきたその上で、これからは、拡大するフィールド、東ア反日闘争の本質を問いつづけ総括を深め生かしぬく闘いをとりくんでいこうと思う。
 弁護人尋問は走りに走っていっぱいのことを飛ばしてしまったせいもあって、法廷の最後にちょっと時間に余裕ができたのはよかった。内田弁護人は、ムクッと起ち上がり「うち合わせにない質問ですが…」と、「そんなに反省ばかり言わなくても…」と、被告人の「今も、ハラハラに提起された日帝本国人としての歴史的・現在的責務ということは自覚し問い続けていきたいと思っています。」「かつての闘争において、真に連帯したい、支え合いたい人々(在日やアイヌの人々、下層労働者等々…)の闘いを困難にしてしまった。革命に対する私たちの考え方・姿勢に、人々の現実の生活に根ざして人々の現実から共に出発するということがなくて、観念的・理念的に革命を考え自分たちの理想をおしつけようとするゴーマンさが、あったからだと思います。地をはうような人々の生活と闘いの現実からつなぎ合っていくような変革をしていきたい」というようなひとことを導き出してもらえたのは良かった。(被告人がひそかに「たすかった。何とかとりつくろったゼ」と思ってしまったのは、やはりちょっとけしからんか?)
 三月十八日10時から最終弁論です。さあ、もうひとがんばり。そのあとはトントンと我々のコントロールの効かない所で事は進んで、判決、確定、下獄というのが、秒読み段階に入りつつあります。下獄するとかなりぎびしいようなので、今のうちに可能なかぎりの心交流をためこんでおきたい。再会までのお互いのエネルギーの素を分け合っておきたいと望んでいます。このとおり仕事はおそくていいかげんですが、やらせておきたいことの注文うけつけ中です。(フロシキだけはいつも特大です。)本当に長い間ありがとう。みんなに出会えて、いっしょに裁判闘争をやれて、心強くかつ楽しかったです。そしてやっぱりいっしょに勝ちたい。ヤッタゼカンパイをさせたい。  3月18日までのもうひとがんばりを今度は少し冷静に、力をつくします。
 シャバはそろそろ犬フグリでしょうか。今年は見られないのです。イラクへ自衛隊が行っていることを思うとすわっちゃあいられないという思いになったりしますが、あとすこしで春です。みんなお元気で!!
                                   ゆき子


YUKICO
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