支援連ニュース No.260

まずは、無期攻撃を粉砕しました

2004/05/21 浴田由紀子

 お元気ですか。
 5月11日、控訴審は「(双方の)控訴棄却・被告人を懲役20年に処する。」という判決をもって終了しました。未決算入は2670日です。
 検察官のあの大上段の「被告人は、強固な信念の、斎藤和にまさるともおとらない過激な活動家云々」という、控訴趣意書は完璧なまでに粉砕されました。一方、弁護側主張に対しては、「事実誤認・量刑……これらについてはさわりませんよ、だけど、まあ、諸々の事情について、いっていの理解をしないわけではありませんが……」というところでしょうか、情状で殺意の不在・人的被害回避の努力、被告の従属性、等については、第一審よりもかなり踏み込んで、明確に弁護主張にそう認定を行ったように聞きとれました。75年供述、統一公判認定をくつがえせなかったことは何ともくやしいし、超法規とか、取り調べ中のセクハラ処遇や心身の虐待、違法・強制連行による身柄確保等々、権力が問われるべき数々の問題についても、なかったことのように、あるいは「まあ、その位のことはあります。よくあることでとりたてて云々するほどでもないでしょう」的扱いは何とも理不尽で認めがたいものですが、まずは、無期攻撃を粉砕しました。
 弁護団・支援の仲間たちの大奮闘・努力はむくわれたというべきでしょう。控訴審はしんどい闘いでしたが、まずは、ヤッタゼ!! ありがとう!

 さあ、控訴審判決は出た。シャバデイトの約束を誰からどうとりつけようかと思案していた12日夕刻、荒井幹夫さん、大道寺幸子さん御逝去の報告を受けとりました。お二人とも気丈に回復されていると思っていたので、びっくりしました。とても残念です。お二人のご冥福をお祈りしています。
 面会に来てくれた友人が「30年間待ち続けて、がんばってがんばって、待ちくたびれて、あんたの裁判もメドが立って、和君の本もようやく出来て、安心したんだよ。安心してホッとして生命の力がつきたんだよ。最後に安心させたから良かったじゃないか。」と言ってくれました。本当に30年間、獄中の私たち以上に困難な状況から(私たちは確信犯ですから、突然の弾圧はそれ自体が人生を奪うものではありません)獄中の息子、娘たちをまっ正面から愛し、信頼しぬき、私たち以上に原則的に力強く、闘いぬくことで、私たちを支え、守り、共闘しつづけて下さいました。逮捕直後の自供総括は、獄中被告団にとっても、家族たちにとってもとても苦しい時代でした。その中で幹夫さんを始めとする家族会はあくまで被告団の団結と統一のために力をつくして闘いぬかれた姿、そして死刑攻撃を正面にすえて、息子たちへの愛情と信頼を、率直に勇敢に取り組んで下さった幸子さんたちの勇気は、私たちが多くの仲間たちに出会い人々と共に生き闘いぬく機会を切り開くものだったと思います。それはまさに私たち東アの狭さや弱点を補うものだったと思います。私たちは、幹夫さん、幸子さんに大切な同志を育ててもらい、そして何度も何度も「人間」にしてもらいました。お二人と共にいたことを、いっぱいの感謝と共になによりも誇りに思います。こーんなに待たせたのに、まだ「勝てていなくて」もうしわけないけど、お二人に切り開いてもらった世界と、出会わせてもらった大勢の仲間たちと共に、私たちは心と力を合わせて、初志の実現のために、歩を進めます。いつかきっと、うれしい報告ができるはずです。淋しくなってしまったけど、お二人にもらったいっぱいの宝を大切に、大切に、元気にがんばろう。

 さて、待望の『和君の本』はついに発売になりました。私は4月末から頭は「和君の本」のことでいっぱい、面会の友人たちが判決のことや下獄後のことをアレコレ気遣ってくれるのにほとんど他人事のようにうわの空で……。とにかく形になった。美しい本ができてとてもうれしいです。自分の担当の所には、読み直すとアレコレと不満はあるけど……。30年分の肩の荷が、何とか一つ降ろせたかなと思っています。編集・校正、汚い原稿のタイプ打ち、集まらない原稿の催促……と、超ご苦労だった支援連の仲間たち友人たちありがとう。そして、一人でも多くの方々に、和君に出会い、出会い直してもらうことを、心から願っています。いっぱいの友人に勧めて下さい。

 私の方は、多分検察は上告しないと思うので、身のまわりがおちついたら、夏には確定・下獄することになると思います。30年、そして、再逮捕第二次統一公判として9年間、本当に長い取り組みでしたが、大勢の仲間に出会い、熱心で力強い弁護団に出会い、みんなと心と力をつなぎ合って、元気にここまで闘い続けることが出来ました。95年の再逮捕は本当に申し訳なかったけど、今、みんなのおかげで、くいのない裁判を進め、豊かな出会いと再会を実現し、総括も(ちっとではあるけど)深めることができて、「良かったんダゼ!」と心から思っています。同時にこの年月ようやく再会できた家族会の父母を失い、支援の友人を失ってしまいましたが、彼らと共にあったことを豊かさにして、これからもみんなとつながりつづけ思いを力を分かち合いながら生き闘ってゆけると確信しています。みんなにいっぱいのありがとう、と、これからも共に!
 お元気でいて下さい。そして再見!                       ゆき子


YUKICO
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