支援連ニュース No.265

なきがらのセミは微風と遊びけり

2004/10/03 浴田由紀子

★私の方は、この一ヵ月で二s位やせてしまったのとギックリ腰でヒイコラと言っていた(やせたのはきっと痛いのをがまんしていたせいでしょう)けど、今は腰もだいたい元に戻って、全体的には元気です。九月中には、他の所へ移れるのかなと思っていたけど、どうやら「二ヵ月コース」で、一〇月中旬以降の移動になりそうです。
 今はweekdayの毎日am8:15位〜pm3:20位(途中運動三〇分または入浴二〇分と昼食三〇分の休みで実働六時間一五分位)はショッピングバッグを作っています。最初の週はだいたい四〇〜五〇枚を作っていました(材質や大きさによって違いますが)が今は、平均八〇枚位ができるようになっています。問題は、時々材料不足や看守が多忙で、材料がなくなって一時間も一時間半も「待ち」になってしまうこと(その間他のことができる訳ではありません)と、私自身の問題として仕事を始めるとふろも運動もお昼ごはんも……めんどうになって、仕事だけに集中してしまうことです(それですわりっぱなしの腰が固まって、ギックリ腰になった )。座り仕事で腰がつらい以外はけっこう楽しい仕事です(元々単純肉体労働は「メシより好き!」なのでいけません)。頭は自由なので今はエスペラント語の単語を五つ位ずつ覚えようとしたり、俳句や短歌を覚えるようにしています。子供のころ、カマスや俵を編んでいる祖母様たちと一緒にみんなで百人一首やいろは川柳をいい合ったりしながら、縄をなったりしたことを思い出します。
 いわゆる読み書きが出来る自由時間は夕方の五時〜九時と、土、日、休日の七時半〜九時のみです。消灯後の午後九時〜午前七時はねていなければなりません(実に一〇時間! ノーミソとメがくっついたりとろけたりしそうです)。長期的にはこの時間帯を何か期間ごとの獲得目標を設定して計画的に進めていくような学習時間にしないといけないと考えていますが、今は「一時執行中」という甘えもあって、読書ザンマイ! 舎房備えつけの官本(主に小説とエッセー)を週に四冊借りられるので、これと普通の官本週六冊までを順に借りて「ちょっとけしからんなあ」と自省しつつ……もちろん、差し入れのパンフ類も前よりはていねいに読んでいますよ、ありがとう!……ところがこの間船戸与一の『蝦夷地別件』を大喜びで借りたら、何故か上と下のみで中がない! 誰かがいつまでも借りているのか、元々ぬけているのか……まあ、そんなに甘くはないのかな。
★という調子でまあのんびりとやっていますが、当人の意向に関係なく、当局はどうやら私に「おだやかな懲役」をやらせたくないということなのか、あくまで挑発というか恫喝というか、《問題児》でいてもらいたいのか(ここへ入所した直後にも何か身に覚えのない理由で懲罰されましたが)あくまで「君は過激派」「反体制で国家権力の敵であることを忘れてもらちゃあ困ります」ということなのか、ことあるごとの《差別》《特別処遇(扱い)》ぶりを誇示するということのようです(現場の職員は実に親切に《指導》してくれている所の上から次々と《プロブレム》が降ってくる)。もうこの類の報告は不要と思っていたのにあえて書かなければいけません。
 @まず、八月三〇日川村先生と面会(事前に手紙が来て面会許可をとっていた)。ところが直前(先生に会いに行く途中で)になって「面会は一〇分」と制限!(――区長は「懲役の弁護士面会は誰でも一〇分に決まっている。例外ではない」と言っていますが、東拘で懲役の人に会ったことのある弁護士に聞いてみてください)。
 Aで、せっかく用意した話はほとんど伝えられなかったので(父のこともあって日がたってしまった)一五、一六日に川村さんあて「和光裁判での立証趣旨など問い合わせに答えるための特別発信」を申請、下書きを提出しましたところが何と回答は二一日になって「不許可」。その前日は池田さん、T、おばあてにやはり特別発信を申請して即日(不許可・許可)回答でしたので、これはどう考えても異常な遅延で、当所だけで判断しているのではなく、内容から和光裁判の検察官にでも問い合わせていたのではないでしょうか。
 B区長は遅延の理由を「私が二日休んでいたせい」と言っていますが、冗談は休み休みに! この大きな組織でたかが区長が出張で日常決裁が滞るほど人がいないとは考えられない(あまりにふざけた話なので後日所長あて「区長休みでも日常の決裁はできるように代理を!」という改善要望を出しておきました)。
 加えてC、不許可の理由は(これだけ時間をかけて「検討した」にも関わらず)内容について云々ではなく、「浴田は懲役だから、川村さんは親族じゃあないから」というのみです……これはこたえになってない。たったこれだけの理由なら、「検討」(一六、一七、二一午前とずっと「検討中」といわれていた)の必要はなかったはず!「内容に問題があるなら?」に、「理由は以上!」とのみ(まさか、「こんなの弁護士に伝えてもらっては和光裁判検察に不利」とはいえんわなあ)。
 Dさらに、じゃあ内容を息子あてに書いて伝言をたのむから原稿をもう一回見せてくれというと、「提出されたものは我々のものなので見せられない!」だと!(原稿は一字一句ちがっちゃあいけないといいつつカーボンはとらせない)(中略)

★八月分懲役 七日間四一・四五時間 二一四.二〇円
 九月分懲役 二〇日間一二五・五〇時間 六四二・六〇円(時給五・一〇円)(九月一〇日は忌引き休みのため六・一五時間)
〈体調〉九月六日ギックリ腰、体重は八月二三日四七s、九月二二日四五s 三〇年近く四六〜四七で維持していたのになあー、今月は少したりない)

★今月の俳句
 なきがらのセミは微風と遊びけり
 夢の中に人ののしるや熱帯夜
 いなづまや天がせまりし時のこと
 稲光り照らせる街の谷深き
 墓場まで持ちゆく想ひ秋の雨


YUKICO
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