支援連ニュース No.266

11月9日、栃木刑務所に移監しました

2004/11 浴田由紀子


11月3日付け
 お元気ですか。いつの間にか秋も終わり、一時執行受刑者(移監待ち懲役)3ヵ月目に入りました。いまだに東拘です。いったいどうなっているのか?
 9月13日に「支援連ニュース264号」と「ゆうき輪々1号」を受け取りました。大きな元気の素をありがとう! みんなの今、いろいろな取り組みや思いが知れること、つながり続けていられることが何よりの「力」です。ところが8月30日付で送った私の手紙(執行の様子報告etc)がまだ届いていないようなのでびっくりしています。いったいどうしたのでしょう。当局が発信止めにしている? 住所をまちがえて迷子になっている? だれかの所でブラックホールにはまってる? etcetc……。みんなに心配をかけているだろう事を思うと申し訳なさと様々な障害の根拠への怒りでいっぱいになってしまいます。今度は無事に届くことを願って、「たしかな住所」あてに送ります。
(中略)
 私の懲役・一時執行は3ヵ月目に入りました。当初2週間くらいか、長くても2ヶ月以内といわれていたのでちょっと異常です。今、私の心配は異動は夏季と考えていて、その準備しかしてないのに、もはや冬服がいるってこと! 袋はりはだんだんプロになりつつあります。が、まだまだ奥は深いという感じで、「大きくなったら袋工場の工場長になりたい」と言いたくなります。材質と形と大きさとデザインと……、今まであまり考えなかった事々が「世界」をひろげています(この間ハーレーダビッドソンの袋も作ったぞ。エッヘン!)。毎日同じことばっかりで、〜ですが、10月の「懲役」には未決時とはちがう「行事」がありました。まず10月2日(火)には「運動会」ということで、お昼に市販の弁当とコカコーラ缶350ml、りんご1個、小さなまんじゅう2個が支給されました。しかし、「運動会」へのおよびはかかりませんでした(旧舎の時は病舎南の運動場から男囚の歓声が聞こえたのですが、今はどこでやるのでしょうか? 食べものだけ?)。さらに10月7日は「今後、毎月第1木曜日は教育日(?)」ということで、私たちは仕事を休んで〔教育的処遇〕を受けます。
 説明では「免業日ではなく、余暇時間ではありません」というので、午前中は読書をして午後はその感想文とアンケートを書く、ということです。アンケートには「@罪を犯した原因はなんだと思うか Aこれからの受刑生活をどのように送るか B被害者についてどう思うか C家族に対してどのように思っていますか D受刑生活中特にやりたいことはありますか E出所後の生活はどのようにしようと考えていますか」という内容で、ウーン、どれもこれもあまりに漠然・高遠で答えようがむつかしいこまったものでした。ちなみに私はこの日「放浪記」をよみました。イヤー「女の人生、男しだいか!? さあ、この「教育日」今月はどうなるでしょう!? 何かおけいこでもやらせてくれた方がいいと思うけどなあ。手元の本は松本清張だぜ。
 「ゆうき輪々」は、現状肯定か、あくまで理想の追求か!? おちつくところへではないでしょうか。無事第1号をありがとう! とっても心強いです。そしてヨロシク! 1号の報告に父の訃報をのせざるをえなかったのは、とっても残念です。父母をはげまし続けて下さったみんなにありがとう! これからは、いっしょに静かに見守りつづけてくれるでしょう(9月以降二人の夢をよくみます)。
○竹見さんのチョーエキ始め記念絵ハガキはうれしいですね。カラーでないのがちっともったいない。13年をカアッ!! と大ように鳴き飛ばして、再会です。
○頭はしっかりと自由になったのに相変わらずの無機質空間でなかなか思うように詩心発揚とはいきません。でもなーに、条件さえ変わればと、弟子道精神の夢はますます……他力本願ですが……ふくらんでいきます。こうごきたい。
○重信同志に話しておくべきことの多くを話し合えないままに限られた条件に入ってしまったことを、今はちょっと後悔しています。共に戦ったことを誇り合える仲間であり続けたいと毎日袋を張りながら自分と格闘しているのは、ちょっと泣き笑いの「赤軍兵士」。本人尋問の最終段階は、精神的にもきびしいと思うけど、検察のはめる「法廷の枠」をつきぬけて、くいのない自己主張をつらぬいてください、「我らが日々の復権」のためにもです。 ○8/23、和君の本出版記念パーティと執行の重なったのは、何となくできすぎという気もするけど……、パーティの報告をもうどういう風に入手しようかとワクワクドキドキイライラしていました。何とか無事(?)に終了のようで良かった、良かった。ところで再版はどうなったのだろうか。模索舎の『自薦・他薦』にものらないし、他のパンフなどにも提灯記事がのらないし、ちょっと「しっかり宣伝してくれんかい」と思っています。何といっても私の懲役生活と更生資金がこの本の売れ行きにかかっているのだから。
 そうか、保護者同伴氏は無事に引き上げたのに、絶対の安全パイと陳平の信頼あつかったオトータマが沈没したのだったか! 連夜渋谷の6畳間に10人近いよいどれがぶっつぶれていた事をおもえば……平和な時代というべきか、みんな大人になったというべきか。追伸は全て了解、多謝!
○池田さん、ことばがたりなくてです。
○朴日光さんのあたたかなアドバイスをありがとう! 「忍」以前にちっとだらけすぎじゃあないか、と自問の「一時執行中」です。朴さんも、体に気をつけてお元気でいて下さい。お互いにガンバロウ!
○智子さんのおうたにいき合えて、今年の夏から秋が少しだけいっしょに気持ちを分け合えてすごせた思いになっています。何回も何回もよみ重ねて、袋をはりながらくり返して……「智子さん」と呼ぶんですよ。
 〈月に祈ることも果つるや父母逝きて〉
○猫田ミケ子さんのマンガはとっても好きです。パンフを開いて最初によむって言ったら、編集長はムーッとするのかな? 次号も――ずっと楽しみにしています。何故か「ゆうき」がわいてくるのだ。
○田中義三さんの「でもわたし〜」の読後感はとってもうれしく受け取りました。限られた発信紙面の中でわざわざ心強いエールをありがとう! 懲役生活はまだ助走段階ですが「何をなしえたのか、えなかったのか」はますます尖鋭に自問される時間であることを(予)実感しています。真摯に謙虚に、率直に、未来に自己を捧げる者でありたいと思います。共に!
○野いばらさん、ありがとう! 足元に気をつけて下さいね。理不尽なくやしいNewsが多いけど「現場じゃあ、現場じゃあ」と自分に言いきかせながらせっせと袋張りは、もうすこしで1人前です。「のり」は両面テープなので面白み半分というところでしょうか。河合貞吉(松本清張に出てくる獄中での**律)が今はこれまで以上に良く見えます。シャンとしないと自滅です。
○由紀子さん、ありがとう! ようやくに出会えて、直面がたのしみですね。私の出獄を役人は「平成29年3月〜」と言うんですよ。でも平成29年が来なかったらどうなるのでしょう。永遠に懲役が続くのかしらって、今最高に気がかりです。全国に1000人からの無期刑の人たちってもしかしたら、「昭和〜」の受刑××年目を待っている人々なのじゃあないだろうか。これからも、いっぱいシャバぐらしのアレコレを知らせてください。彼にもヨロシクですね。
○京誉志生さん、助言をありがとう。そう。しっかり懲役人生を楽しむつもりです。子供達、友人達に生まれ育った故郷を案内するのは私も長年の夢です。故郷からは「あんたの事さえなければ全て安泰です」と手紙が来て、「〜遠くに在りて思うもの〜」のようですが、いつかお茶を!
○山本さん、父のこと、Tのこと、心使いをありがとう! 大きく息をして待ちますね。ちょうどみんなにはヤイノヤイノ言われて、一方では「関わるな」と止められて、困っているのだろうなと心配していたところでした。幼い頃から父母も信じてはいけない、例え父母にも本当の気持ちや自分の生活、身の回りの事を言うのは悪い事だと教えられて育った人のこだわりを、回りで良く理解して支えてもらえるように、彼に負担になりすぎないようにと願っています。一番苦しいのはきっと彼です。思いを行為できるように(人は皆信じていいのだと)守りぬいてやれなかったことを悔いています。くやしくてくやしくてですが、あの日々に比べれば……。体大事にして。
○戸平さん。山羊牧場はいよいよ13年計画ですか。ウーン、ガンバレ! 出会えたり、恩をつけたり、つながり合ったりの場になっていくといいね。
○知子さん。8月のチャンスを逃してしまったのはお互いに残念! しかし、「会うまでがハナ」ということもあるし、「最大の楽しみはとっとく」ということもあるし、我らが〔ナンバでカッポ〕の計画は不滅だし。とにかく体に気をつけて、いっぱいのアレコレをこれからも送ってね。共に!
○永井等さん、会える日が楽しみです。キャバレーから朝帰り、その場でTaxiで刑務所にのりつけるなんてヤクザヤサンみたいでかっこいい。わたしなんかいつもいつも尾行におっかけまわされて……おきぬけだったぜ!! この次は(?)何とかかっこ良く決めてみたいものだが……。
○しのだまさとさん、脳対策、とりあえずは手仕事(袋はり)に従事して毎日声を出して小説を読み……で懲役の「身分上申書」に「希望の職練」というのがあったので「木工」というのを書こうと思ったら女子にはない、というのでガッカリ。獄中で13年木工やりゃあしのだ工房に弟子入りまちがいなしになれるとワクワクしていたのに。いちおう編み物、織物、営繕(修理)機械工を希望です。
○ごんべえさんは何もかもお見通し? そう、袋はりにはまってしまって、ゴリ棒でジャズのリズムを〜とまではまだまだだけど、「チョーエキ(クソッタレ)音頭」位は鳴らせるようになってきた。タイトルは現実に溶解するかあくまで現実に向けてつき進むかだが……友野さんガンバロウゼ!! だな。裁判はご健闘を!! ゆだんなさるな、断乎たる勝利を!!
○妹よ! きどりきったよそ行きよりも、ありのままの私たちを彼は受してくれてたよね。

〈差し入れ〉ありがとう!
(告知日)10/4かけはし1848、「ゆーきリンリン1」、「支援連ニュース264」、かけはし×6(Y氏の所から返送)10/5人民新聞1190、10/6前進2167、10/7人民新報1145、10/12地域アソシエ10月、NewsLetter、かけはし1849、10/13模索舎月報10月、SENKI1158、プロレタリア420、10/14人民新聞1191、前進2170、10/15救援426、アジア時代10月、10/18かけはし1850、人民新報1146、解放823、原詩人通信117、10/19夢と希望通信17、10/21TheFour、SENKI1159、前進2171、10/21骨盤ベルト(T)、10/22赤星10月、NewsLetter14、10/26オリーブの木40、かけはし1851、そうぼう120、10/26人民新報1147、ベルトカタログ、10/27前進2172、10/28人民新聞1192、1193、10/29SENKI1160、(以上発行人送付)
〈面会〉なし
〈発信〉10月4日TあてVol5
〈10月分の懲役労働〉124.50H ¥800-(時給が6.4位に上がっている???)
〈体調〉腰は良くなった(ギックリ腰、旧来の腰痛と腎痛はある)
痔は悪化――いずれにしても早く座り仕事を卒業しないとダメ。体重は多分かなり回復していると思う。意識的に食べている。

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
「夢と希望No17」で丸岡同志の元気ぶりと和光同志の接禁一部解除を知りました。良かった!! 接禁解除はしかし、なお差別付きとは裁判所もみみっちいね。同志たちの接禁長期化が他の人たちの前例にならないようにと、まずは開かれた世界を大いに味わってくださいね。裁判中の同志たちもみんなラストスパート、くいのないとりくみをがんばってほしいです。
 なかなか報告のリズムがとれませんが、まあ今月中にはおちつくでしょう。9月の執行、災害、国会、イラク、パレスチナへ問題多々ですが、みんなお元気で!

11月11日付
 お元気ですか。
 11月9日、ようやく私は栃木刑務所へ移監になりました。
 11月9日の朝食後に言われて、すぐに荷物整理、領置調べをやって、9時頃の出発でした。同行は女性看守2人と男性部長、女区区長の4人で、大型BOSの中にコンテナが入っているような、囚人護送車(映画に出てくるようなやつ)。中の窓は30cm×40cm位でカーテンがかかっているというものでした。せっかくドライブを楽しみにしていたのにみんなでガッカリ!
 高速を1時間半位、降りたあと15分位で栃木刑務所です。
 途中、バスから山を見ました。実に10年ぶり位です。ようやく自然に再会!
 しかしここは、だだっ広い所で、山はありません。それでも1年半ぶりのお日様や空や草木を大いに楽しんでいます。
 今はまだ入所手続きで、今日は1日がかりで衣類や寝具に名札をつけました。名札の付いた官衣を着ると、ちょっと「本マモンの懲役さん」みたいです。多分来週には工場に行けるでしょう。まだ何の仕事になるかは言われていません。ちょっとワクワクドキドキ……。
 少しおちついたら、また知らせます。織物に当たるといいけどねえ……。私の移動は弁護士さんやお友達にも伝えて下さい。
 池田さんが、私のおちつき先が決まったらYおば様の所へ行ってじい様とばあ様のお墓へ報告して下さると言われていたので、どうか池田さんにも、Yおば様や早川のみんなにもいっぱいの「よろしく」を伝えて下さい。そして「6親等までの人はみんな届けてあるからここへの手紙は届きますよ」と伝えて下さい。じい様の亡くなった前後のことも聞いて知らせてくださるようにとお願いして下さい。 (中略)
 私は、腰以外は元気(体重は44kg、身長は152.6cmで、またへったよ)、心配はいりません。ここの人はみんな親切です。
 じゃあ、みんなによろしく。
YUKICO
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