第35回公判(97.11.27)出廷記

   睡魔と闘っていた?山室・新裁判長
                    浴田由紀子

 95年11月28日、仲間たち、家族会のみんなと感動の再
会をしてから、ちょうど2年になる。長いシコシコの裁
判を本当にみんなに支えられ、励まされて、元気に続け
ることができました。弁護団、救援の仲間たちの緻密で
継続的な取り組み、多忙の中を法廷に通って激励・監視
してくださっている仲間に、いっぱいのありがとう!
そして、これからも熾烈でシコシコの闘いを続けます。
いっぱいの知恵と力と勇気と元気とで支えてください。
力の限り、悔いのない闘い進めます。一緒に『勝ちた
い!」です。
 今回から裁判長が交替になって(山室恵裁判長)、弁護
団・被告人の意見陳述から。
 初めは主任弁護人の川村弁護士。まず公判の進行につ
いて、第一次統一公判ミノハラ法廷の強権的訴訟指揮を
批判しつつ、三上裁判長時代のペースを守ることを要請。
この間、いくつかのミノハラ認定の誤りが明らかになっ
ていることを例に、弁護側立証をていねいに行う必要が
あることを示した。そして、今後予定される「共犯者証
人調べ」を公開の法廷で行うこと、確定死刑囚の公判出
廷を妨害するであろう東拘の言いなりにならないよう司
法の独立を求めた。
 続く藤田弁護士は、「爆発物取締罰則」の違憲性と、こ
の法廷の手続き的暇疵について。超法規的釈放は、国の
最高意志決定として裁判を放棄、すなわち、釈放によっ
て勾留の目的である公訴権を放棄したものであること。
検事が「一時的」釈放だと主張する客観的事実は存在し
ないこと。さらに超法規的釈放による法廷の18年の中断
による不利益は、被告人に科すべきではないこと、公訴
時効制度による免訴が必要であることを主張。
 内田弁護士は、戦後補償、沖縄の問題、南北問題とか
らめながら、東ア〜の反日武装闘争が提起した問題とそ
の意義を語った。そして、95年に再開された第二次統一
公判のこの法廷で、被告たちが20年間なしえなかった被
害者への謝罪を行い、問題提起の一方で市民を傷つけた
ことを自己批判していると述べた。
 最後に私は、公判の問題点として、超法規的釈放でチ
ャラになった裁判を蒸し返していること、デタラメな国
際指名手配や逮捕状を乱発していることを批判。東ア〜
が問うたことが、今も日米新ガイドライン問題で問われ
ている。同じ誤りを繰り返さないために、護憲、反安保、
自治と共生、民主主義の徹底で闘おうと主張した。
 グダグダとケジメのない意見を陳述する私が悪いのか、
新裁判長は顔を真っ赤にして睡魔と闘っているふうだっ
た(それとも、期待はずれな意見陳述を阻止したい欲望
と闘っていたのか?)。
 休憩をはさんで、火薬鑑定人・宮野豊氏の証人調べ。
宮野氏は三井・大成でも火薬の残渣を鑑定した当事の科
学捜査研究所化学課の管理官。問組本社ビル同時爆破事
件で6階と9階に関して、5月24日付の3通の鑑定依頼
書に基づいて、2つの鑑定報告書を作成した。火薬残渣
と粘土の異同、アタッシュケースの異同について鑑定。
しかし、弁護人の尋問で、彼自身がが3月l日(鑑定を依
頼される前)に現場に赴き、いくつかの資料を持ち帰っ
て、すぐに鑑定作業に着手していたことが明らかになっ
た。こういう役所の書類のいい加減さをどのように判断
したらいいのか、(経済界には「簿外債務」というシステ
ムがあるらしいが、警視庁には二重三重のXX調書が存
在しているに違いない。どうして本当のことを法廷に出
したり、調書に書いたりしないんだ!?)なぞと考えてい
るうちに証言は進行してゆく。この証人は、けっこう確
信ありげにいろいろ答えていたが、最後に第一次統一公
判とまったく違うことを言い、弁護人に指摘されると、
「そうですか。その方が正しいと思います」。20年も経っ
て裁判をやることが、いかに危険なことであるかを示し
てくれた。新裁判長は、ちゃんと聞いていたかな?
 次の公判に関して、またもや検事は次回証人を指定で
きなかった。裁判長はすかさず「弁護人の意見に反して
恐縮ですが……」。次回の証人が決まらないことには弁護
側の準備が十分にできないのだ。こんな点も、20年も経
ってからの裁判再開がいかに無理なことかを表している。
 傍聴の仲間たち、忙しい中をありがとう。会えない仲
間たちも、みんな元気でいてください。裁判はこれから
がヤマです。みんなの知恵と力で進めてゆけると思って
います。共に! 再見!
*東京地裁への行き帰り、川岸のテント(路上で生活し
ている人たちの)が前回より増えている、ように思いまし
た。これからの寒さに誰も負けないで、みんなして季節
を乗り切ろう!


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