将司さん、利明さんの証人出廷は
裁判公開で

★ 私たちゆきQでは、浴田さんの裁判における大道寺将司さん、益永利明さんの証人尋問(今年夏
頃)に際して、《法廷の公開》を求めていく運動を開始します。

★ この運動は、ゆきQ始まって以来「最大の意気込み、最高の思い入れ』を持って展開したいと思
います。勿論、ゆきQのみにとどまるものではなく、『SAI★KAIリアライズ’98』として、
あらゆる現場で闘う仲間たちへ共同運動を訴えていきます。

★ と、大見栄を切った所で、将司さん、利明さんに法廷で会えるなんて簡単にいくわけがありませ
んね。しかし、この運動はやるだけの価値があると思うのです。“二人に会いたい”という気持ちの
大きさ、それは同時に浴田さんを支える「力」だし、これからのゆきQの「力」だとも思うのです。

 【初めてこの機関誌に接する人のために簡単に背景を説明します】

◇ 東アジア反日武装戦線による一連の侵略企業爆破闘争によって浴田さんは1975年に逮捕・起
訴されました。「狼」「さそり」「大地の牙」という3部隊のうち浴田さんは「大地の牙」に、将司
さんと利明さんは「狼」に属していました。
 1977年9月、日本赤軍のダッカ闘争により「超法規的措置」として釈放。95年3月、ルーマ
ニアで拘束され日本に送還、連続企業爆破の裁判が再開されたのです。(この辺の詳細は松下竜一さ
んの「狼煙を見よ」をぜひご一読下さい。佐高信さん監修による、読売新聞社「戦後ニッポンを読む」
シリーズとして新たに刊行されています)。
 浴田さんは多くの事件で共謀共同圧犯として起訴されており、「三井物産」「大成建設」の事件で
は殺人未遂罪も適用されていました。

◇ 1987年3月、将司さんと利明さんの二人に確定した死刑判決は、三菱重工ビル事件における
「殺意」を、検察主張の通りに認定した極めて不当なものです(第二次再審請求中)。浴田さんを含
め、東アジア反日武装戦線の企業爆破闘争の中に殺意などは無かったのです。

◇ 浴田さんの殺人未遂罪や共謀共同関係を覆すために、「狼」の二人の証言は極めて重要なものな
のです。判決を左右する最大のポイントといってもよいでしょう。
 また「殺意」が無かったことを、改めて将司さんたちが自分の声で主張できる絶好の機会でもある
のです。ところが東京地裁はこの証人尋問を、東京拘置所内という密室で行う可能性があります。
そんな事が許されるのでしょうか。

 【憲法違反ではないのか?】

◆ 「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない』(32条)。
「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する」
(37条)。
 「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行う。裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は
善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行うことができる。但
し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となっている事件
の対審は、常にこれを公開しなければならない」(82条)。
 憲法には、ざっとこれだけの原則があるのです。“警備上、公の秩序を害する”と当局が強弁して
もなお、政治犯罪の裁判は公開せずには行えないのです。

◆ 以前、丸岡修さんの裁判において浴田さんが証人として出廷した事がありましたが、裁判所はこ
の時も東拘内での尋問を行なおうとしました。事前に、“憲法違反である”と新聞記事になり撤回し
ましたが、裁判所が、憲法に保障された被告人の権利を無視し憲法違反をおかす目前だったのです。

◆ 東京拘置所は、確定死刑囚を外に出す事を恐らく拒否します。それは法務省の方針でもあるので
しょう。しかし司法権は、最高裁判所及び下級裁判所に属し、裁判官は憲法及び法律のみに拘束され
ると第76条には書かれています。法務省や東拘が何と言おうと、東京地裁は密室裁判を認めてはい
けないのです。

◆ 刑事訴訟法158条に、裁判所が必要と認める時は証人を裁判所外に召喚し又は現在場所で尋問
できる、とあります。これを根拠に出してくる可能性もあるかもしれません。しかしこれはあくまで
も例外規定で、証人が病人である場合に病院で尋問するとか、当該事件現場での尋問が必要な場合な
どを想定したものです。
また既に述べたように、憲法上できない事が下位法である法律を根拠にできるはずもありません。

◆ 東拘内の密室裁判では、当然私たちは傍聴できません。前述の憲法は被告人の権利であると同時
に国民の権利をうたったものなのです。裁判所が認めた証人を、拘置所所長の裁量で非公開にできる
となったらそれは司法権、憲法の崩壊です。
 公平な公開裁判(37条)は、国民の傍聴があってこそという当たり前の主張をしなければならな
いのは悲しいですが、これがこの国の現実です。メゲていてもはじまりません。

 【この運動をどう進めるべきか】

☆ 「東京拘置所」が敵、「裁判所」は応援
 今までの運動はと違って、今回は“裁判所を応援する”というスタンスはどうでしょう。「司法権
はあなた方にあるんです、東拘の言いなりなんて情けないですよ』、と。裁判所にしても、東拘の拒
否を口実にしない限り、裁判所主導での非公開裁判はやれないと思われます。この矛盾を突けば何か
面白い運動になるのではないでしょうか。
 東拘は、もちろん弾劾対象となります。裁判所への拘置囚の移送なとは日常的に行っている業務で
すから拒否する理由など全く無いのは明らかです。そこで「東京拘置所への抗議署名活動』「東京地
裁への要望(応援)署名活動」「裁判公開要求の上申書の作成」等、様々な手段を考えていきたいと
思います。

☆ マスコミにどう訴えるか
 前述の丸岡さん公判も新聞記事がなかったらどうなったか分かりません。やはりマスコミの力は大
きいのです。今回は、『確定死刑囚が証人の裁判公開』を要求するわけですから、かなりのインパク
トがあると思われます。折しも将司さんの本も出版され、死刑廃止間題も含めた相乗的な対策を考え
ていかなければなりません。「公開裁判要求宣言」のようなマスコミ向けの文書を作つて中長期的に
記事化を訴えていく必要があるでしよう。又インターネットの最大限の活用、弁護士会や憲法学者の
方たちへの働きかけなども視野に入れています。

 【多くの仲間たちへ賛同を呼びかけます】
★ この間題はまだ緒についたばかりです。具体的な議論もまだ始まっていません。あらゆる可能性
を信じ行動していくために、様々な現場の経験や多くの人たちの知恵を求めます。
 どうぞ会議に参加して下さい。「SAI★KAI リアライズ」の共同行動を共に担って下さい。
ゆきQはまだまだ発展途上です。メンバーの固定化も打破していかなければなりません。決して悲壮
がらず、面白く共闘できるイベントにしたいのです。


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