このまま丸岡さんを無期懲役なんかにしたくない
最高裁あてに「審理をやりなおせ」声を!

                                    平山まゆみ(福岡市)
 丸岡さんは、日本赤軍がどうしたこうしたというようなことは、すぐ書きたがっているけど、どう
も自分の裁判のことになると“支援を訴える”ことには苦手みたい。早ければこの秋にも最高裁から
棄却決定が出され、下獄(無期懲役が確定して刑務所に行かなければならない)という情勢になって
きました。今の日本の司法の状況を考えると、最高裁で判決をくつがえさせることはかなり難しいで
すか、丸岡裁判応援団の私としては、最高裁に多くの人の声を届けてもらうことで「簡単に棄却決定
を出させない(大きな人権侵害の恐れのある事案であるので慎重な審理をさせる)」という状況を少
しでも作りだしていきたいと思っています。そして、丸岡裁判のことについてあまり関心がない人た
ちにも、この弾圧が私たちに問うているものについて共に考える機会になればと思っています。
 という私も、丸岡さんとのつきあいはまだ2年ほどにしかすぎず、関心を持ち始めたのは控訴審の
途中からです。96年11月の控訴審の公判に浴田さんが証人として出る(○年ぶりの対面になるらしい)
いうことで、私も福岡から傍聴に出掛けてみました。ハイジャック機に同乗しその後出国した浴田さ
んは、ハイジャック犯のリーダーとされる人の人相をきちんと説明し、丸岡さんは実行犯ではないと
はっきりと証言しました。その浴田証言もさることながら、その時に公判廷に引っ張りだされる乗員・
乗客の目撃証言などの証拠の類いが、ちっとも被告人=丸岡に似ているとは感じられませんでした。
それまでは、いくら本人が無実だと言っていても、無期懲役にするくらいだから検察側はそれなりの
証拠にしてもいいようなものを握っているのかと思っていました。そのあと被告人質問、最終弁論と
控訴審の公判の傍聴に行き、丸岡さんからも裁判資料を見せてもらったりしながら争われている内容
について考えてみました。その中で感じた率直な思いは、こんなずさんな事実認定で無期懲役という
重刑を、被告人に課していいのかということでした。
 丸岡さんが2つのハイジャック事件の実行犯人である証拠としては、物的な証拠は何一つなく、あ
るのは乗客・乗務員の「被告人に似ている」という目撃証言だけです。その証言は、「顎がとがって
いる」、「逆三角形の顔だち」と、犯人の特徴に対しては証言内容には共通性がありますが、丸岡さ
んが犯人であるかどうかということに対しては、「似ている」「似ていない」と相反する証言に分か
れています(丸岡さんに一度でも面会したことがある人はわかると思いますが、丸岡さんは典型的な
丸顔です)。そもそも似ているかどうかなど、個人の主観や思い入れに左右されることが多く、そう
いう目撃証言をもって有罪の決め手にすることがおかしいのです。先日の東京高裁でのロス疑惑事件
の三浦さんの判決(一審無期懲役が破棄され、無罪になる)でも、「ある人物が感覚的に疑わしいと
感じられても、状況証拠の積み重ねだけの場合、それが疑わしいにとどまっている限り有罪と認定で
きない」と言っています。あいつには動機がある、どうも行動に不審な点がある、犯人に似ている…
などといったことが有罪の証拠として認められるのなら、誰でも犯人に仕立てられてしまう危険性が
あります。
 無罪主張の無期懲役事件という重大な人権侵害の恐れのある事案にもかかわらず、東京高裁の裁判
長は、まともな審理をしようとしませんでした(第2回公判で全ての証拠調べ請求を却下していきな
り結審しようとしたり、再開後もわずか半年の審理で控訴棄却判決を出した)。判決文のなかに「政
治信条を決して裁いてはいない。政治目的実現のために手段を選ばない行為を裁いている」とありま
ずが、これはと有罪の証拠がない(疑わしきは被告人の利益に原則からいえば無罪)にもかかわらず、
有罪しかも無期懲役(他のハイジャック事件ではこれほどの重刑ではない)ということをみれば、明
らかに丸岡さんが日本赤軍のメンバーであるという思想が裁かれての無期懲役です。
 権力から憎まれ、非合法活動を強いられている日本赤軍なら、何をやられてもいいのでしようか。
こんなことがまかりとおられてしまうと、国にたてつくもの、国に都合が悪いときめつけられた人間
は何をされてもいいということになってしまいます。そう考えていくと、これは丸岡さん一人にかけ
られた弾圧の問題ではないはず。やっぱり、私たちみんなで“押し返して”いかなければならない問
題だと思うのです。
 私自身もついこの間まで、赤軍の人たちには“過激な武装集団”のイメージがあり、また例の30
0カ所の家宅捜索の影響もあって、なんだか関わりづらいあるいは支援を口に出しにくい雰囲気があ
りました。でも、もう浴田さんや丸岡さんと実際つきあってみると、もう誰が赤軍だとか、赤軍のシ
ンパとかそんなことはあんまり関係ない気がしています。日頃の市民運動の場面でもそうですが、具
体的に誰と何を一緒にやるのかでしか関係は築いていないのでずから。
 というわけで、勝手な思い入れを書いてしまいましたが、丸岡さんの裁判は、無実の人間が無期懲
役にさせられようとしている事件です。ぜひ、最高裁判所第三小法廷の方へ、「裁判を差し戻し、事
実調べを開始して審理をやり直してほしい」、「一・二審の無期懲役判決を破棄して無罪判決を出し
てほしい」などの声を集中させていただけないでしょうか。帰国者の裁判を考える会の方でも、ハガ
キ作戦か展開されています。
・〒102-0092 東京都千代田区隼町 4-2 最高裁判所第三小法廷御中
(事件名/平成9年(あ)第525号 航空機の強取等の処罰に関する法律違反等被告人/丸岡修)

◆ついでながら、福岡の裁判所で争っている「Tシャツ裁判」の宣伝を少し。
 死刑確定囚である益永利明さんと、大道寺将司さんの獄中の2人と、獄外の原告がいっしょになっ
て、獄中処遇の問題(寄せ書きTシャツのさし入れ拒否や、ハンスト文字の抹消、現金の差し入れ不
許可)で、国と東京拘置所所長を相手に、民事裁判をやっています。10年争った一審は、「現金の差
し入れを不詳司にしたことは、東京拘置所所長の方が悪い」として、益永さんと大道寺さんに3,000
円ずつ払えという一部勝訴でした。違法であると判決が出たのにもかかわらず、反省のない拘置所は、
差し入れ不許可を続けτいるので、また新たな裁判も起こしました。♪おヒマなら来てよね〜♪
・9月8日(火) 第2次Tシャツ裁判第3回公判 (13:10〜14:15 福岡地裁)
・10月30日(金) 第1次Tシャツ裁判第4回公判 (13:30〜14:30 福岡高裁)


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