日本赤軍Q&A

丸ちゃんのページ
丸岡修

 今度は、「超意地悪」と添書きのある質問がきました。もっとしばいて(笑)。さて、いつまで笑えるのか。実は頬がヒクヒクしてたりして。

日本赤軍がなにやねん? Q&A

 前号のQ&AにゆきQからではなく、ある読者からいただいた感想。
「面白かった。赤軍て言ったら何か神々しくて近寄り難いみたいなイメージがあって、それが引っくり返るのが面白かった。でもちょっと引っくり返りすぎかなとも感じました」
 あっ、皆さん、「謙遜」で書いてるとこもあんので。それから真面目な読者の中には(ウチの同志たちの中にも)、「ふざけすぎてる」と思う人たちもいますが、関西人のシャレやと思うてごカンベンを。何せ裁判所での意見陳述でも笑いをとろうとしてた奴なので。泉水公判に証人で出た時も、陪審判事を爆笑させたりしてたし。傍聴者も笑って小出裁判長もニヤけてたけど、心証悪くしたんやろなあ(笑)。
 本誌を読んでんのか分からんけど、表や裏のウチの同志らの中には、「あのバカ、余計なことを一杯書いて」と思うてるかも。ええねん、公安当局に知られてはマズイことは伏せて、ギリギリのとこまで友人や人民にある程度公開せんと、日本赤軍の自己点検はできん。(実はこの私、赤軍内では「機密の丸」と言われてて、書類を私に回せばマル秘のハンコが押されて出てくるので評判悪かった)公安警察はどんなささいな情報からも我々を分析しようとするので、現在の赤軍の陣形、活動方法を明らかにしてしまうような事は、一切書けません。自治省に登録している合法政党ではないので、その点はご容赦を願います。
 さて、本題に。

Q1 なぜ現在、日本に公然部門または公然連絡先を持たないのですか。
A1 質問する相手をまちごうてる(笑)。私はレバノン問題以降、同志たちを批判してる。公然部分を出せ、と。かつて日本共産党がGHQ(連合総司令部)の命令で実質非合法化された時に、党中央は非公然化してしまった。弾圧を恐れず、党中央の一部は断固として公然部門を残すべきやった。それと同なじ誤りを犯してると私は思うてる。公然部門を一日も早く登場させるべきやし、連絡先もつくるべきやし、タブロイド二頁ででも機関紙を出すべきや。質問を利用してつきあげとく(笑)。
Q2 折角吉村さんも出獄したのだから、せめて窓口だけでも作るべきです。(吉村さんもいつまでも「人民に学ぶ」だけではダメと思う。他に任務があるのかもしれないが)
A2 私の意見としては「RAの旗振りをすべき」と本人に出獄直後に言うてあります。救援の「帰国者の裁判を考える会」から、「吉村さんに時間を与えてあげて下さい」と私がたしなめられてます。「リハビリなどとぜいたく言うな、一人で二人分働け」とも言うてたし。でも実際問題、まず自分で生活基盤を確保せんことには、何もできんからその準備期間は大目にみてやって下さい。「でもそれは一年やで」と吉村同志には伝えてあります。RAも彼女だけに押しつけててはあかん。一人でやりきれることとちゃう。そやから、個人一人の資質に頼らず、組織としての公然部隊の登場を、と書いときます。
 国内外の同志たちは、「丸の野郎、自分が獄中やと思うて、気楽に言いたい放題書きやがって」と怒っていることでしょう(笑)。
Q3 国内のRAはシンパを「一本釣り」して海外に呼んでいたという話も聞きますが、これからもそんなやり方ですか。もっと堂々と「この指とまれ」とするぐらいは必要でしょう。今度は真面目に答えて下さい。
A3 ゴホン。「戦闘団」の実体しかない時代は、確かに一本釣りやった。それは旧赤軍派の森指導部と対立して切れたということもあって、リクルートは人から人へ。私にも別ルートから「アラブに行かないか」と声かかって「危ないなぁ」と思ってたら、本ルートからも声がかかって「それで会社を辞めました(旧いCMネタ)」。非合法非公然なので、こういう形にならざるを得んかったんや。
 そやけど、組織に再編してからも、入隊希望者に対する弾圧や公安警察のスパイ浸透を防ぐために非公然地下ルートを基本にするしかなかった。また、地下党で且つ「思想一致の党」なんで、「実践の中で総括の一致を方針の一致、行動の一致として高めていく中で拡大」という方法をとってきたんや。
 公然合法政党を登場させること(IRAとシンフェイン党)が急務やし、そういう方向に実はあるらしい。ネックは破防法的弾圧に耐え得るだけの公然性と人民性を勝ちとれるかなんや。公然窓口は近いうちに出きると期待しとくわ。
Q4 前号のA で「RAは自力更生を旨として財政活動には力を入れてきた」とありますが、日本での救援運動(獄中者支援連動)では、実際には「人民の寄付」にオンブしているのではありませんか。「RAは自分とこのメンバーの救援運動をなぜやらんのか」、「金も全然出さんのか」という疑問の声が結構あるのですよ。
A4 苦しい台所事情のゆきQからみれば、そういう疑問も出るのは当然かと思いまんな。
 浴田同志息子の救出・帰国費用に二百万かかって考える会で工面した。借金で賄うた。丸岡・泉水救援でもかなりかかってる。それらにRAが一部負担しているかどうかは、獄中の私には分からん。仮に出していても「出している」とは書けませんねん。受取った方も受取ったとは言えん。「出している」となったら「送金ルートの洗い出し」がすごいことになってまう。三一書房が『警察が撃たれた日』を出版したけど、公安警察は筆者割り出しに必死で三一書房の出金関係を銀行に問い合わせた。 年頃からのマネーロンダリング防止が国際的に徹底されるようになって、国内送金は私らにはものすごう危険なんや。受け取り側に対する規制もえげつない。だから現在はどうかについては、申し訳ないけどノーコメントや。
 それに、浴田同志の拘束以降、ペルー、ボリビア、レバノンと二年間でやられたが、人的被害もさることながら、経済的被害は単に各人の所持金をとられた程度ではないんや。事業をやっていた者には相当の投資金を使うてるし、やられた拠点では回収できん。拠点設営費もパアや。「自力更正」や言うても、こんだけやられると基盤が崩れとる。悔しいけどこれは認めるしかない。つまり、ほんまに出したくても金を出せない状況に追い込まれとるはずなんや。
 そういう意味では「人民の寄付」に甘んじざるを得んことになってしもうてる。更に悪いことには、これは私らの誤りやけど、国内公然部隊の登場、RA救対部の設立を国内活動方針で重点化してなかったんや。批判は甘んじて受けます。
 ちょっと言い訳。かつては救援の一部を負担はしてた。もう時効だから少し洩らすと、国内「公安事件」潜行者たちにカンパしてたこともある。資金と出せる条件があれば、RAはもちろん出せるようにはするはずです。今は、ほんまにないんやと思う。
Q5 救援にRAがお金を出さないのは、「オレたちは革命家なので支援されて当たり前」という驕りがあるからではないですか。
A5 そう批判されてもしゃあないけど、誓うてそんな気持ちは私らには毛頭ない。出せる金と条件があれば、人を送り込んでも出すで。みんなに負担かけてるんは申し訳ない。
Q6 RAには、「口も出すが、金も出す」という支援組織はありそうなのですが。RA自体に金ないと思えないけど。
A6 支援組織の有無については言えへん。かんにんして。仮にあっても独立採算性やし、弾圧対策費用は国内組織活動の想定外やってん。
 ダッカ闘争の戦利金があるみたいに言う人もおるけど、様々な革命の共有財産やったし、RAの予算規模ではとっくの昔に。私らの財政活動は事業や敵からの徴発、寄付によるが、寄付の割合は小さい。丸岡・泉水がやられた時は所持金含めて投資金の回収ができないまま二〇万ドル以上の損害、レバノンでのダメージは五〇万ドルではきかず、はっきり言うて、RAの財政は倒産状態のはずや。
 地下の政治・組織活動や軍事活動は皆さんの想像する数倍の金がかかってる。逆に一人一人の同志たちは自分の生活は質素や。浴田同志はルーマニアで「社長」をやっていたけど、現地女子社員から「自分より貧しい」と同情される生活。私がパクられる前の国内での活動は外食生活が多かったが、朝昼兼用、夕食はホカ弁。本拠地に帰った時に食いだめ(笑)。でも他の同志たちと比べれば、私の生活は優雅やった。七〇年代の節約闘争時は、唯一のたん白源はトリの砂肝。たまに魚が出るとごちそう。カシワ(トリ肉)が出ると万歳。牛肉の味は忘れかかった。カロリー源は油。病人には油あかんのでそれ抜くだけだから、カロリー不足で治らへん。あまりにもひどいと、その後、食費は増えたけど、毎月、「今月の食費」などとする会計担当者からの報告が回覧されてた。そやけど、「全員禁煙にしろ」という私の要求はいつも却下された(笑)。労働者の生活水準を上回らないのが絶対的原則。
公然政治団体を作った場合。独立採算制になる。共産党のように事業、出版物、機関誌、党費を基本に運営できるのがいいけど、少人数では、身銭切るのはもちろんとして、個人の政治献金(企業と団体からは除く)に頼らざるを得ないんやろうなあ。獄外の同志諸君に頑張ってもらいたい。政治活動を本格化するためには、専従者を必要とするし、頭が痛い。

★前号誤植訂正
(1)A2 「人民新聞」とあるが「人民通信」。「人民新聞」は日本赤軍とは全く無関係です。誤植によるご迷惑をかけ、お詫びします。
(2)A 以下脱落していました。〈非合法化されている者の党員以外との結婚は原則禁止やけど、泉水同志の場合、特例で承認。禁止にする理由は、拘束されたりすると相手に迷惑を及ぼすから。でも現実に恋愛してれば、当人たちの意志を尊重します。〉


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