益永利明さんの獄中雑記

支援連ニュース No.172

―久しぶりの勝訴です!―

 国連人権委員会宛発信の差止めについて争っていた「国連
訴訟」の二審判決が一○月三○日に言い渡されました。その
内容は、原告全面敗訴の一審判決(九六年一一月八日言渡し)
を変更し、国連人権委宛発信の不許可処分を取消して、三万
円の損害賠償を命じるというものでした。読売新聞宛投稿文
の発信不許可処分の取消しと損害賠償については、一審判決
と同様、請求棄却という判断でした。
 このところ私の裁判は負け続けでしたから今回の勝訴は嬉
しいのですが、その内容は手放しで喜べるものではありませ
ん。裁判所は、死刑確定者の外部交通を原則的に禁止してい
る実務を適法とした上で、今回の処分(国連人権委宛発信の
差止め)は少々やりすぎだといさめているにすぎない。死刑
確定者の外部交通は刑事被告人と同様に原則的に自由である
べきだという私の主張からはほど遠い内容なのです。現行実
務をくつがえす勇気のある裁判官はもはや下級審(地裁・高
裁)には一人もいないのだろうと考えざるをえません。あと
は最高裁判事の良識にいちるの望みを託すしかないようです
ね。
 最高裁を動かすには世論の後押しがいります。死刑確定者
から言論の自由を奪うのはおかしいという一般市民の声を、
新聞・雑誌の投書欄等を通じてできるだけ多く最高裁に届け
てほしいと思います。
▼――――私のほうはまずまず平穏無事に過ごしています。
先日は妙な夢をみましたがねえ。刑の執行が決まって連れて
行かれる夢。我ながら感心するほど平穏で落ち着いていまし
た。日頃の修養のたまものですかね(笑)。途中で目が覚め
たので結果というのはないのですが、色々な意味で、心に残
る夢でしたね。―――
▼―――数学の勉強はその後も挫折することなく続けていま
す。答えがはっきりしている学問というのは、気持ちがいい
ですね。現代では、自然科学はむろんのこと経済学など人文
・社会科学にも数学が多用されていて、数学が判らないと歯
が立ちません。私は、主に経済学をやる準備として高校数学
の復習を始めたわけですが、今やっている裁判(再審の鑑定
や“自殺房”の通風性の論証等)にもこの勉強は役立ちそう
ですね。
〔ごましお通信・第34号より抜粋編集)


 なお、『国連訴訟』二審判決については、次号の「ご
ましお通信」および「CPR(監獄人権センター)ニュ
ースレター」、「救援」誌上にて詳しく報告する予定。


TOSIAKI  HOME
inserted by FC2 system