支援連ニュース No.181
▼「利明君が革命後の社会を指定すべく経済や哲学を研究したのであれば」
云々という将司の意味不明の発言にとまどいました。彼は人の文章をきちん
と読んでいないのではなかろうか。
私は、かつての「反日武闘思想」の誤りを認識し、「反日」も「武闘」も
「革命」も「プロレタリア独裁」も否定して、(「新自由主義」ではなく)
民主的社会主義の立場から、社会の合法的、漸進的改良を実現すべく発言し、
行動しているのであり、そのような思想的・政治的立場からすれば、私が、
日本のPKO参加や消費税率アップを支持しても、少しも矛盾はないはずで
す。しかも私は、それらを無条件、無批判に支持しているわけではないので
す(ちなみに、民主的社会主義の立場をとるスェーデンなど北欧諸国は、P
KO活動に最も積極的であり、高度福祉社会の実現のため二〇%以上の高い
間接税率を採用しています)。
また、東拘が私と養親族の間に交通を一切認めない不当な処遇を続けてい
ることについて私が村山首相に「直訴状」(「嘆願書」ではない)を送った
のは、議会制民主主義の下での合法的な社会改良をめざす私の立場からすれ
ば少しも不合理なことではありません。不合理だというのであれば、理由を
示してほしいと思います。なお、私は海部俊樹や細川護煕を支持したことは
ありませんし、仮に支持したとしても、それがどうだというのでしょか?
前回の都知事選で丸岡さんが青島幸男を支持したのを見て私は首をかしげま
したが、だからといって私は丸岡さんが「変節漢」だとは思いませんでした。
「めざすべき社会は、…皇族や党官僚などの特権階級の存しない、差別、
抑圧、搾取のない平等で自由な社会」だと彼は書いていますが、これは何も
語っていないに等しい。将司が挙げた条件を満たすことができる社会という
のは、具体的に、いかなる政治・経済体制をとる社会なのでしょうか?
「特権階級」や「差別、抑圧、搾取」をなくすためには、それらがなぜ発
生し、なぜ存在しつづけるのかをつきとめなければなりません。そのために、
マルクスを初め多くの社会主義者(広義)が苦闘してきたのです。我々は、
これらの先達の理論や、それに基づく実践の結果(とくに共産主義国家群の
衰退、崩壊)を批判的に総括した上で、現時点で最善の理論を見出さなけれ
ばならないでしょう。その作業を怠ったまま、[即自的な闘い」と称する暴
力(理性による客観的な反省を加えず、感情のおもむくまま主観的根拠のみ
に依拠して発動される暴力)を行使するのは、闇夜に鉄砲を撃つのに等しく、
百害あって一利なしです。私が批判するのは、そういうまちがった自他の
「闘い」を擁護する将司の無責任な態度なのです。(社会に差別や抑圧等が
生じる本質的な原因を認識できない者の武闘は、現象的な加害者を悪者にし
て社会から暴力的に排除し、抹殺する方向(すなわちテロリズム)に向かわ
ざるをえないでしょう。これは、まさに死刑の論理そのものなのです。)
私は彼に、残存共産主義国家(中国、北朝鮮、ベトナム、ラオス、キュー
バ等)や民族主義国家(リビア、イラン、イラク等)が死刑制度を維持して
いることが、それらの国家に対する反体制武装闘争を正当化する根拠になる
のかと質間しましたが、彼はいまだにこれに答えていません、日本が死刑を
維持していることが武装闘争の正当化の根拠になると彼が主張したので、
(支援連ニュース一六四号)、私はこの立場につじつまの合わないものを感
じ、右の反問をしたのです(同一七四号)。かっての左翼がアメリカの核を
批判しながらソ連の核を擁護したのと同じ誤り(御都合主義)を彼は犯して
いないでしょうか。
なお付け加えますと、私が問題にしているのは、彼が武闘擁護の発言をか
ることではなく(彼にも言論の自由はありますからね)、その発言を通して
明らかになった、彼の思想性です、発言があってこそ討論が生まれるのです
から、私は、彼に武闘擁護の発言をするなとは要求していないのです。発言
は積極的にしてほしい。しかし、それを一方的な言いっ放しに終わらせずに、
建設的な議論を通じて互いの思想を深めるテコにしてほしいと言っているの
です。誤解がないよう、念のためこの点を強調しておきます。
97・8・18 利明