益永利明さんの獄中雑記

支援連ニュース No.193


      ―――訴訟報告―――
 第二次子供面会訴訟と第一次ヌード訴訟の敗訴確定につい
てはすでに報告した通りですが、これらの判決が上告から約
四年で言い渡されたことから考えて、投稿訴訟の上告判決も
年末ごろに言い渡される可能性が高いと思われます。私は、
第一次子供面会訴訟で示された最高裁の見識が他の訴訟でも
示されるものと期待していたのですが、先の二件の判決のあ
まりの無気力さに、この期待はみごとに打ち砕かれました。
いま思うに、第二次子供面会訴訟に対する判決が規則一二〇
条の無効を宣言するという画期的なものになったのは、憲法
学者の伊藤正己判事のリードによるところが大きかったので
はないでしょうか。投稿訴訟が係属している現在の最高裁第
二小法廷に、獄中者の人権に対する深い理解や洞察を期待で
きるか疑問だと思います。

 そこで、最高裁第二小法廷が先の二件のようないい加減な
態度で投稿訴訟を片付けてしまうことがないよう、国際的な
関心を喚起したいと思うのです。具体的には、
@各国のアムネスティ支部及び本部(英国)
A在監者の人権擁護にとりくむその他の国際的人権団体
に、投稿訴訟の内容と意義(死刑囚の外部交通権のリーディ
ング・ケースであり、日本における今後の死刑廃止運動の帰
すうにも大きな影響を及ぼすものであること)を説明して、
最高裁第二小法廷に対し、各支部や本部の名で、たとえば次
のような趣旨の書簡を送ってもらうように要請することはで
きないでしょうか。
 「私たちはアムネスティ・インターナショナル○○支部で
tosi す。私たちは、日本の死刑囚の外部交通権に関するリーディ
ング・ケースとなる益永利明対東京拘置所長の訴訟事件に注
目しています。この事件に対する最高裁判所の判決が、国連
規約人権委員会が一九九三年一一月四日に採択し日本政府に
送付した意見書の中で示されている国際的な人権水準に完全
に合致するものとなることを、私たちは期待しています。」
さらに、国内的にもこの投稿訴訟が注目されていることを
最高裁に示すために、“早ければ年内にも最高裁判決が予想
される死刑囚の外部交通権訴訟。というような観測記事が新
聞に載るよう、メディアに取材を働きかけることも必要かも
しれません(個人が最高裁にハガキを出しても無視される可
能性が高いだろうと思います)。死刑廃止にとりくんでいる
諸団体が協力して、これらの働きかけにチャレンジしてくれ
ることを期待しています。
                    98・6・26 記


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