益永利明さんの身辺雑記

支援連ニュース No.220


▼新聞でも報じられたように、私の「訴訟」について、東京
地裁民事第三部は原告一部勝訴の判決を言い渡しました(一
〇月二六日)。この訴訟は(1)教誨師である牧師に宛て発信
の不許可処分 (2)養親族である兄が父を代理して私に数
学の本を差入れることを不許可とされた処分 (3)父から
差し入れられた養親族である姪の写真の閲読不許可処分の
違法性を争い、慰謝料として計八万円の損害賠償を国に求め
たものです。裁判所は、このうち(1)と(3)の処分の違法性
を認め、私の主張通り六万円の支払いを被告・国に命じまし
た。
 裁判所は、(2)の処分についても疑問の余地があることを
認めましたが、結論として、所長の判断を肯定しました。この
点は残念ですが、在監者の人権救済に冷淡な東京高裁の現状
を考え、控訴は断念しました。
 昨年のTシャツ判決に続いての勝訴であり、少し気をよく
しています。というものの、地裁の判決理由は手離しで喜べ
るものではありません。裁判所は、死刑確定者の外部交通の
制限を基本的に容認した上で、(1)と(3)はあまりにも不合
理すぎるとして賠償を命じたのです。今回の判決は確定すれ
ば、おそらく、教誨師に宛てた、教誨に関する死刑確定者の発
信は原則的に許可されるようになりましょうが、それによっ
て、我々死刑確定者が強いられている極限的な社会的状況が
変わるわけではありません。この状況を変えていくために
は、さらに多くの粘り強い取組みが必要とされるのです。
▼ 先月からシヤコが東拘に来ているそうですね。仮舎(北
舎)にいるのでは、出会う機会はなさそうなのが、残念。楽天
的な彼のことだから、いつも通り元気にすごしていることで
しょう。浴田さんとの「初会」の喜びをおみやげに、残る刑期
もスイスイと乗りきってほしいですね。
                    (一一・六 記)
▼ 前記の訴訟の判決は、被告(国)側も控訴せず、確定した
模様です。これで、またひとつ訴訟から解放されました。そん
なにしんどいなら初めから訴訟などしなければよかろうと
言われそうですが、意地っぱりの性はどうにもなりません。
 この訴訟で発信不許可の当否が争われていた牧師宛の信
書は一一月一〇日、三年ぶりに発信が許可されております。
今後は、教誨に関連のある手紙は特に問題がなければ原則と
して許可されることになるだろうと期待しております。
(ごましお通信第五八号より抜粋編集)


TOSIAKI  HOME
inserted by FC2 system