益永利明さんの身辺雑記

支援連ニュース No.233


▼  12月12日に一一五回目のビデオを観ました。私が選んだ
  のは「ユー・ガット・メール」(トム・ハンクス、メグ・ライアン
  主演)。シャコは岐阜刑でこれを観たらしいね。シャコには
  つまらなかったようだが、私は、まあまあおもしろかった。
  ド派手なアクション物よりは心に残るものがありました。
▼  今日は朝一番で運動に出ました。予報では午後から雪に
  なるそうで、運動場の寒暖計は四度。がんばって、いつもど
  おり裸足で走ったけれど、さすがに冷たい。寄る年波(?)に
  は勝てず、昨冬は足袋裸足ならぬ“靴下裸足”で走ってみ
  たところ、三日で穴が閃いた。当り前ですね(笑)。それでも
  少しは保温効果はあるのでそのまま一冬使い通し、ポロク
  ズのようになった靴下を春に捨てました。今冬もあれをや
  りますかねえ。監獄法には、「在監者ニハ其健康ヲ保ツニ必
  要ナル運動ヲ為サシム」(38条)と書いてあるのに、拘置所は
  なぜ真冬でも運動靴を使用させないのだろう???
▼  12月4日にプロテスタントの教誨があったのですが、私
  は二階会議室で領置物の整理をする予定が入っていたた
  め、短時間の“顔見せ”程度で面談を切り上げねばなりま
  せんでした。そのあとすぐに整理作業を始めたのですが、教
  誨室と会議室は薄い壁ひとつを隔てて隣り合わせであるた
  め、私のあとに教誨を受けた藤波さんが黒木先生とともに
  讃美歌「いつくしみ深き」や「久しく待ちにし」を歌う声を壁
  越しに聞くという、めったにない体験をしました(話し声は
  残念ながら聞こえなかった)。私も教誨に出たときは必ず讃
  美歌一〜二曲歌いますが、他の人の讃美歌を耳にするのは
  26年ぶりのことです。死刑確定者にも集合教誨があれば、同
  信の友と祈りや讃美を共にすることができるのになあと思
  いました。
▼  12月12日に、例年通り「小さい奉仕の会」からクリスマス
  カードと菓子が届きました。今年は死刑の執行がない平和
  なクリスマスになりそうですね。
▼  執行ゼロの願いは届かず、今回も暗い年の瀬となってし
  まいました。12月27日の夕刻に、解放派のものと思われる情
  宣が始まったのです。内容はほとんど聞きとれませんでし
  たが、死刑執行に抗議しているようだった。ああ、またして
  も…。翌日の新聞は案の定、通常より大幅に配布が遅れ、確
  定者用回覧新聞が私に回ってきたのは夕刻でした。その読
  売新聞夕刊第一面には大きな抹消が加えられていました。
  新しい年の日の出を見ることなく刑死した人たちの冥福
  を祈ります。

          (ごましお通信第64号より抜粋編集)


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