益永利明さんの獄中雑記

支援連ニュース No.243


 ▼ 名古屋刑務所の革手錠事件は、とうとう、看守長以下
五名の職員が逮捕される事態になりましたね。私は、未決の
とき、大声(シュプレヒコール)を挙げて何回も保護房に放
り込まれましたが、革手錠は未経験です。芳正は一度、革手
錠をかけられたことがあるけれど、いかなる手品を使ったの
か、その革手錠を外して分解してしまった(笑)。卵のカラ
に七味唐辛子を詰めた“幸子爆弾”を看守に投げつけたこと
もあったな。彼は、こういう“闘争”を、獄中で継続される
反日武装闘争だと自称していた。今では、若気の至りと恥じ
ているでしょうね。
 余談はさておき、今回の名古屋の事件を見るにつけても、
新設の人権委員会を法務省の外局とする政府案の不当性は明
らかだといえるでしょう。法務省は、人権委の事務局と他の
法務省の部局との人事交流は行わないと説明しているけれ
ど、それならば、なぜ政府は、人権委を法務省の外局とする
ことにこだわるのだろうか? 法務省内での人事交流をしな
いのであれば、人権委は内閣府に置いて、法務省の人権擁護
局の職員をそちらに転出させれば済むはずです。政府は、人
権委の活動の実務面を担う事務職員を法務省に所属させるこ
とで、法務省寄りに委員会の活動をコントロールしたいから
こそ、法務省外局案にこだわっているのだろうと思います。
 ▼ 通常なら5月に行われる私の定期転房が、満員状態が
続く拘置所の都合で少しずつ延びて、10月8日に行われまし
た。今回移った房は、新庁舎の中央棟が南の空をふさぐ位置
にあるため、陽が差しにくく寒い。それでもここは北舎の房
と比べれば明るく、暖かいのたそうです。私は毎年、耳にし
もやけができますが、束拘の医師に言わせると、北舎収容者
のしもやけと比べればどうということのない程度のものらし
い(本人はこれでも痛がゆくて、かなわないのだけれどね
え)。
 建設が進む新獄舎南棟の形を眺めるたびに思うのですが、
あの三角形の構造の外側(東北東向き及び西北西向き)に位
置する居房には、一日に数時間程度ならばルーバー越しに陽
が差しそうだけれど、三角形の構造の内側(中庭側)に位置
する居房(特に下層階)は、四季を通じて全く陽が差さず、
外光も外気もほとんど入らない、地下室に近い生活環境の房
になってしまうのではないだろうか。新獄舎に付設される“
運動場”なるものも、とうてい戸外運動場とは呼べない、薄
暗い穴倉のようなものになりそうです。人権の世紀となるべ
き21世紀に、かくも非人道的な獄舎を建ててしまう法務省の
官僚には、人の心がないと私は思います。
        【ごましお通信・第69号より抜粋・編集】


TOSIAKI  HOME
inserted by FC2 system