益永利明さんの獄中雑記

支援連ニュース No.248


3月の連休を利用して東京拘置所の新庁舎への引っ越し
が行われ、22日に、私が長年親しんだ新2舎1階から南
B棟6階に移りました(やはりTVカメラ付きの自殺防
止房)。新しい獄舎の問題点については追い追い書いて
いきますが、室内は従来よりも広く、明るくなっています。
もっとも、室内が明るいのは、従来20Wの蛍光灯1本だ
った照明が40W球2本と4倍になっているからで、自然
光の採光の悪さは、従来とは比べものになりません。
 心配だった換気の点は問題がなく(高さの効果か?)、
風通しの悪さに悩まされた新2舎1階の自殺防止房より
は快適です。新獄舎には空調が入るとのふれこみでした
が、空調(冷暖房)が効くのは職員がいる中央通路のス
ペースだけらしい。我々収容者は中央通路側の換気口か
ら入り込む暖気や冷気のおこぼれにあずかる程度でしょ
う。
 室内から外の世界は全く見えず、晴れているのか曇っ
ているのか、雨が降っているのかもよく判りません(私
の房は北東側ですが、反対の南西側の房には、晴れてい
れば一定時間、ルーバーのすき間から陽がさし込むよう
です)。判るのは、昼か夜かということと、気温の変化だ
け。せめて戸外運動の時間くらいは多少でも下界に接す
ることができるだろうという希望はみごとに裏切られま
した。新しい運動場と称するものは、ひとすじの陽もささ
ず、寒風だけがビュービュー吹き抜ける暗く狭いトン
ネルでした。予想とは異なり、運動スペースは、二つの
棟(A棟とB棟)をつなぐ回廊の南側ではなく北側(中
庭側)に設けられているのです(南側は看守の巡回路に
なっています)。中庭側に面した鉄格子の間の3センチく
らいのすきまから見えるのは、何も動くものがない獄舎
の壁と、中庭のほぼ全部を占める講堂(?)の屋根だけ。
中庭にはせめて木や花を植えるくらいの配慮があればと
思うのですがねえ。(各棟の屋上にも運動場があり、そこ
には屋根がないので、収容者は陽に当たることもできる
のですが、この屋上運動場は雑居収容者専用なのだそう
です。)              (4月6日 記)
新獄舎への転房から一か月を過ぎて、ようやく新しい環
境になじんできたところです。全く陽が当たらない「戸
外運動場」での運動は気が滅入るものですが、これにつ
いては拘置所当局も改善の必要を理解してくれたようで、
今月から、死刑確定者は月二回だけ、屋上の運動場で運
動ができることになりました(屋上は通常、9階以上の
収容者だけが使うことになっているらしい)。先日、さっ
そくその一回目がありまして、一か月ぶりに陽に当たり
汗を流しました。(監獄法令の規定からいえば、これが当
たり前なんですが…)        (5月9日 記)

      〔ごましお通信・第72号より抜粋・編集〕 


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