益永利明さんの獄中雑記

支援連ニュース No.251


▼ 新獄舎に引越してから早くも四か月が過ぎました。外が
見えない暮らしにはもう慣れたけれど、生活にメリハリがな
くなり、時の流れがものすごく遅くなった感じがします。本
を読んだり、物を書いたりする能率も落ちて、仕事が思うよ
うに進まない。年をとったせいもあるのかな。90年代には、
10件以上の訴訟を並行してやりきるパワーがあったのにね。
                     (7・29 記)
▼ 8月1日から信書の検閲印が変わりました。従来の外径
約1センチの桜マークに「東」の文字が入ったスタンプは廃
止され、直径約5ミリと2ミリの二重丸の印影のシンプルな
スタンプになりました。/私は、未決のころから、検閲印を
もっと目立たないものに変えるよう当局に要求しており、今
回は4月に法務大臣情願をしたのです。これに対する裁決の
告知はまだありませんが、おそらく今回の変更は、私の情願
が採用された結果だろうと思われます。28年間の獄中生活で、
初めて情願が通じたのです(笑)。これも名古屋刑務所事件
の影響なのでしょうか。収容者が何人も死なないと行刑政策
は変わらないものなのでしょうかねえ。
                     (8・5 記)
▼ 私の獄中訴訟の資料集T『死中に活路あり』は、思った
よりもずっと立派なつくりで感激しました。こういう裁判資
料は一般の人にはとつつきにくいかもしれませんが、法律な
どひとつも知らなかった一人の獄中者が「権利のための闘争」
を通じて成長していくプロセスを、この一見無味乾燥な記録
の中から読みとってもらえれば幸いです。
▼ 支援連ニュースは、高安さんの文章がおもしろかった。
安島君のお母さんのパワーを感じました。/シャコは、この
ぶんなら、あっという間に社会復帰ができそうですね。しか
し、刑務所で叩きこまれた習慣が完全に抜けるのは、十年以
上先のことになるかもしれないな。身についた習慣というの
は、それくらい根強いものですよ。/和光さんの、「人にや
らせるな、自分でやれ」は同感。もっとも、自爆テロに関し
ては、指導者自身がやるものでも私はNOですけれどね。パ
レスチナ民衆の自然発生的なインティフォーダはよいとして
も、ハマス等の過激派がやっている武装闘争はパレスチナ民
衆にとつて有害無益なものだと思います。
▼ 丸岡さんのタフなことは天下一品ですね(夢と希望つう
しん13号)。すぐれた頭脳に加えて、余人に優るガッツがあ
る。しかし、そのすばらしい知恵と能力を傾けて行われた日
本赤軍の闘争は、やはり、まちがっていたといわなければな
りません。丸岡さんを初め元・日本赤軍の人たちは、これか
らどこに向かおうとしているのかが、私には見えてきません。
過去の「遺産」・と「人」とを守るだけの存在で終わってほし
くないと切に望みますよ。         (8・6 記)
          【ごましお通信73号より抜粋・編集】


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