塵拾志論集

ここでは、塵拾志が支援連ニュースに書いた文章があります。

No238号  こまごまと
No189号  インドネシアと日本
No189号  ひぐらしざとだより
No174号  ペルーの監獄の情況について
No169号  日本人を見れば札束と思え
No165号  ひぐらしざとだより
No154号  ひぐらしざとだより
No152号  ひぐらしざとだより
No142号  パソコンと人口 その2
No141号  ひぐらしざとだより
No140号  パソコンと人口
No138号  ひぐらしざとだより
No134号  20年で何が変化する。
No131号  ひぐらしざとだより
No126号  ひぐらしざとだより
No123号  お召し列車は荒川鉄橋で跳ねるか?
No120号  小型モーターは力強くアジアを搾り取る
No119号  ひぐらしざとだより
No117号  生き急ぐ者は、死に急ぐ
No113号  経済侵略の今日この頃
No106号  ミニ四駆
No101号  「ごみが転じて武器になる。」


塵の部屋

こまごまと

塵 拾志

 3月から支援連の事務所が閉鎖され、支援連の財政状況は好転しています。家賃と電話代の出費がなくなったことと、大口カンパがあったりして、数年ぶりの黒字の会計報告になりました。このペースでいくと、来年5月に出獄する宇賀神さんに、「出所祝い金」を出せそうです。
 支援連の会議は、都心の喫茶店で行い、ニュースの印刷発送は、山谷労働者福祉会館を借りてやっています。南千住駅前の飲み屋での二次会めあてにニュースの発送を手伝ってくれる人もきています。現在の支援連の体制に皆なれてきたので、続けていくことは可能だと考えています。
 話は変わって、インターネット上で私たちに関連する最近のできごとに、6月15日「統一獄中者組合」のホームページが開設されたことがあります。アドレスはhttp://www.kangoku.org/です。準備中の項目が多いのですが、カラフルなページに仕上がっています。
 もうひとつに、6月19日「東京拘置所のそばで死刑について考える会(略称:そばの会)」のホームページが検索サイト「ヤフー」に登録されました。アドレスはhttp://dir.yahoo.co.jp/Society_and_Culture/Crime/Death_Penalty/です。その結果「そばの会」のアクセス数が今までの3倍位に増えています。
 「そばの会」のホームページは、去年まで「反日のホームページ」(私が管理人になっている)に間借りしていたのですが、今年になって、別のサーバーに移ってもらいました。ホームページの管理はJさんがやっています。
 ところで、その別のサーバーは、私の部屋に置いてある中古のノートパソコンがやっています。ノートパソコンにLinuxというOS(オペレーション・システム)をインストールし、ApacheというWebサーバーを走らせて実現しています。Linuxは非常に安定したOSで2,3ヶ月間連続運転しても停止することがありません。ウインドーズ98のように1日に2,3回止まるようなOSでないので安心です。
 「反日のホームページ」のアクセス数は累計で13万を越え、1日平均90〜100のアクセスがあります。ところが、ホームページでメールアドレスを公開しているせいで、ウイルス添付のメールがたくさん来ています。私はアウトルックを使っていないので感染する心配はないのですが、最近のウィルスの中には、他人のメールアドレスを使ってウィルスメールを出すものがあるので、私のメールアドレスが差出人のウィルスメールが送られても無視してください。

Mozilla

 私は、インターネット・エクスプローラやアウトルックエクスプレスを使わない方がいいと思っています。そこで、最近は、モジラ(mozilla)http://www.mozilla.org/を使っています。オープンソースのプログラムで、Win,Mac,Linuxの各OS用があるので、よい。立ち上げたときに出る絵がおもしろい。
 私はパソコンの前で過ごす時間が長いので、その間中マイクロソフトの奴隷でいつづけることになるので、その状況からの脱却が、私にとっての最大の課題です。


インドネシアと日本

塵 拾志

 国際通貨基金(IMF)の指導により、スハルト大統領が、燃料など公共料金値上げしたことにより、インドネシアでは、5月14日から15日にかけて、暴動が起こり、多数の死傷者が出ている。この治安の悪化にともなって、インドネシアに進出している日本企業の中には、操業停止になっているところもあるようだ。
 「 石油や天然ガスなど豊富な資源と割安な労働力を誇るインドネシアには、商社や金融機関、メーカーなど日本から五百社以上が進出しており、現地駐在員やその家族などを含めた在留邦人は約一万四千人。」(サンケイ新聞5月16日)
 とある。企業の海外侵略を批判して、“狼”たちが爆弾闘争をしていた24年前と比べると、企業の海外進出は桁違いに増えていることが判る。
 インドネシアの経済破綻・財政悪化の主な原因が、スハルト大統領の一族による経済・政治支配による、経済の非効率化にあるのは明らかであるが、そこには、日本企業の暗躍もみのがしてはならないだろろう。「また日本企業の多くはスハルト大統領のファミリー・ビジネスに食い込むことで事業の許認可を得ていただけに、仮にスハルト大統領が退陣することになれば、被る打撃も少なくない。」(サンケイ新聞5月16日)
 インドネシアの民衆は、当面の敵を華僑の商店主ととらえ、商店の略奪・放火を行っている。しかし、インドネシアを貧困におとしいれているのは、日本をはじめとした先進諸国の侵略企業であり、それらと利害を共にしているスハルト大統領一族であることに、インドネシアの民衆が気が付くのは時間の問題だろう。
 一方、これをいい機会ととらえ、日本政府は「邦人救助」の名のもとに、自衛隊機の派遣を計画し実行しようとしている。日本の世論の批判が少なそうなところで、自衛隊の海外派兵の実績をつくろうとしているのである。企業の海外進出→現地の日本企業を、「暴徒」(革命勢力)から守るために自衛隊の派遣という日本の軍事戦略の典型が行われようとしている。
 24年前の「企業の海外侵略が日本帝国主義の生命線である」との“狼”たちの認識は、現在になって超明らかになってきたといえる。
 では、企業の海外侵略を止めさせるにはどうしたらいいかと考えると、なかなかいい案は浮かばない。爆弾闘争は長続きしないしやっている人に精神的緊張を強いてしまう。まあ、簡単なのは、進出企業に勤めている友人や同級生に「そんな会社止めてしまいな」と助言するとか、子供達に大学に入ってから進出企業に入社しないように、「勉強するな」としかりつけるぐらいだろう。
 私としては、時間はかかるが、一番楽な民衆の自主的な選択としての「一人っ子政策」による日本人消滅を考えている。(1998/05/18)


ひぐらしさとだより

                       塵 拾志
 「東アジア反日武装戦線に関するよもやま情報のホームページ」を始めてから、1年半が過ぎた。これまでに、ホームページを訪れた人はのべ2万人を越えました。最近は、一日50人位の人が見にきています。個人の暇つぶしでやっているホームページとしては、かなり盛況なほうではないだろうか。
 定期的に掲載されるデータは、支援連ニュース、ゆうき凛々(ゆきQ)、そばの会のビラなどで、獄中者からの声を優先的に掲載しています。毎月8本ぐらいの原稿がアップロードされます。掲示板も作ってあり、週に2〜3人の人が書き込みをしてくれています。
 ホームページを維持するのにかかるコストは、月約3000円で、飲み会を一回キャンセルすれば間に合います。今まで、ホームページの維持のために、カンパをくれた人はいません。カンパをもらったら、飲み会へ?
 維持するのにかかる時間は、平均して一日30分くらいで、おもに獄中者からの手紙の入力に費やします。
 最近、知り合いの中で、パソコンを買って、インターネットを始めた人が2〜3人います。彼らのパソコンのセッティングやトラブルの相談などをしています。その中のM君が近々、「帰国者の裁判を考える会」のホームページを立ち上げます。
 ところで、支援連のK君は、金欠病のくせに「インターネットに接続できるパソコンがほしい」とぼやいている。かれが、インターネットを始めるのは何年先になるだろうか?
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K曰く、「ゴタクはいらねえ、金と暇をくれ!」


ペルーの監獄の情況について

                              塵 拾志
 「監獄を見れば、その国が民主主義かどうかが判る」と誰かが言った。誰が言ったかは忘れてしまった。
 この言葉に従えば、死刑制度を存置し、獄中者と外部との交通、交流をきびしく制限している日本国家は民主主義国家ではないと断言できる。
 ところで、ペルーという国は民主主義かどうかをペルーの監獄の情況をインターネット上の情報で見ることによって判断してみよう。
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MRTA政治犯が置かれている状況

 1 カヤオ海軍基地の最高警備刑務所
 この最高警備刑務所に人質になっている人々としては、同志ビクトル・ポライ・カンポス(MRTA最高指導者で、トゥパク・アマルー人民軍最高指揮官)、マリア・ルセロ・クンパ・ミタンダ(MRTA全国指導部メンバーでゲリラの指揮官)、ペテル・カルデナス・シュルテ(全国指導部メンバー)がいる。
 彼らは全員、即決軍事法廷で裁かれ、フジモリ独裁政権の厳しい保安法のもとで「テロリズム」と「反逆罪」という罪名で無期刑を宣告された。これらの保安法は、ペルー議会が採択・署名した国際条約や国際協定、また、人権や拷問に関する国際協定を侵害しているだけでなく、ペルー憲法の一部さえ犯している。

カヤオ刑務所の現状

 カヤオ刑務所は1993年3月に、フジモリ独裁政権によって建設され、彼らの非人間性と人間的尊厳の無視との最大の証拠になっている。それはリマ郊外のカヤオにある海軍基地のなかに置かれている。
 この監獄は、かつて「生ける墓場」と称されたことがあるが、囚人たちを肉体的・精神的に破壊する目的で作られている。それはまた、フジモリ独裁体制の新自由主義政策にあえて反対して立ち上がるなら、どんな結果が待っているかを警告することによって、あらゆる男女を心理的に脅迫するもくろみも持っている。
 この刑務所の建設は、軍部と秘密警察が展開している計画の有機的な一部であった。それは、恐怖によってペルー人民のなかで革命的意識が進捗することを防ぐという目的を持っていた。それには彼らが「心理的・社会的キャンペーン」と呼んでいる、一連の管理・抑圧措置が付随していた。
 この牢獄=墓場は、地下8メートルのところに設けられた8つの強化監房(セメントと鉄筋でできている)から成っている。この監房は肉体的孤立、音響的孤立、視覚的孤立、暗闇、窮屈な条件、全面的な監視・管理による破壊を目的にしている。監獄は音響センサー、動作探知機、警報システム、天井や這い込める場所への地雷の設置、それに継続的に写しているビデオ・カメラをそろえている。カメラは中央監視センターで制御され、刑務所の壁にある監視塔には、FAL長距離銃を持った兵士がつめている。

監房

 監房は3メートルx2メートルの長方形である。壁の一方には、強化された鉄の扉があり、それは二重にロックされている。扉は警備員によっては開けることができない。鍵は軍の将校が持っている。
 扉のまんなかには小さい長方形の窓があり、そこから食べ物が渡される。それは他の囚人たちだけでなく、警備員とも接触できないように設計されている。
 おのおのの監房には、手洗いとトイレがある。だが、水の流れは外部から管理されており、特定の時間にしか使うことが許されない。監房には人工的光源がなく、常になかば暗闇の状態にある。
 どの監房にも、扉のほぼ2メートル上に、15センチほどの獄窓がある。それは毎日数分だけ開かれ、直射日光が入る。
 各監房は狭い廊下をあいだに、四つづつ並んでいる。これらの8つの監房は、地下8メートルのところに置かれている。
 同志たちがこの牢獄=墓場に移送されるさいには、鎮静剤を打たれる。時間感覚を失って、牢獄の正確な場所を記憶しないようにするためである。囚人は全員一年間、訪問なし、庭での散歩なしの完全な孤立状態に置かれる。

庭では一日30分

 完全な孤立状態のあと、囚人は毎日30分間、戸外の庭に出ることを許される。この散歩はひとりづつなされるので、囚人同士のあいだでの接触はない。囚人たちはこの時間を使って、小さな中庭で散歩したり、聖書(警備員によって与えられる)を読んだり、監視塔からモニターされているテレビ室で許可されたビデオを見る。

手紙や情報の可能性

 獄中の同志たちが出す手紙や、彼らに届く手紙はすべて、秘密警察によって徹底的に調べられる。彼らが受け取れる手紙、送り出せる手紙を決定する。プライヴァシーの権利や信書の秘密などない。
 囚人たちは書物、新聞、雑誌を入手できないし、テレビやラジオも制限されたりする。

面会

 面会時間は一月に30分間である。近親者(両親、子供、つれあい)しか許可されていない。面会にさいしては、身体的な接触は禁止されており、会話はすべて、スピーカーを通して分厚いガラス越しになされる。警備員が同席する。すべての会話は録音され、のちに分析される。
 同志たちと面会する家族は、持参した衣服や食料を手渡せない。それらは軍関係者を通じてのみ渡されるが、彼らは品物を徹底的に捜査し、囚人にそれを与えるかどうかを決定する。
 面会にいく家族は、面会センターまで完全に遮蔽された車で送り迎えされる。それは実際どこで面会がなされたかを知らせないためである。

「和平協定」強要の試み

 政府は同志たちを完全な孤立状態に置いたのち、「心理・社会キャンペーン」とその代弁者であるブラディミロ・モンテシノスを通じて、彼らが「和平協定」に署名するなら、収監条件を緩和してもよいと約束することで、囚人をだまそうとする。和平とは、独裁体制との対話と武装闘争の放棄の誓いのことである。こうした提案は、私たちの総司令官ビクトル・ポライ・カンポスには、モンテシノス自身によってなされたが、ただちに拒否された。モンテシノスは怒り狂って、ポライ同志を銃殺すると脅迫した。カヤオに投獄されている同志たちは全員、独裁政府の提案を退けた。政府はそれに対して、収監条件を悪化させることで答え、規則をさらに厳しいものにした。
 政府の提案を受け入れた人々は、牢獄での処遇に関して一定の優遇をえている。

2 ヤナマヨの最高警備刑務所

 この高度に警備された施設は、1990年にペルー南部のプノ県に建設された。それはアンデス山中の高度3800メートルのところにある。気候はきわめて寒冷で、夏のあいだでさえ、気温は摂氏15度ほどである。残りの期間、気温はマイナス10度である。刑務所が建てられている場所は、アンデス中央の人里離れた高原である。施設はほぼ1万平方メートルで、その外部は100名の軍のエリート部隊が警備している。この部隊は塹壕におり、周辺部を装甲車、トラック、ピックアップ、それに二台のヘリコプターでパトロールしている。地雷原もある。選抜された300名の国家警察が、牢獄内部の保安にたずさわっている。
(以下略)
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 このデータをみるかぎり、ペルーはけっして民主的な国とは言えない。
 今回、ペルーの大使公邸を占拠したMRTAの方がが人質(囚人、戦時捕虜)を人間扱いしているように思う。
 フジモリ大統領の「非民主主義=独裁」は、日本などから経済侵略を促すため、強制的に治安を維持するために行われているとしか考えられない。ということは、一見、民主的な日本という国はペルーの独裁政権を作り出しているということになる。

 引用文は山崎カヲルさんのホームページに掲載されているものを使わせていただきました。


日本人を見れば札束と思え

                              塵 拾志
 8月13日の新聞に、三洋電機の米子会社「サンヨービデオコンポーネンツ」の社長今野衛がメキシコのティフアナで誘拐されたというニュースがでていた。そして20日の新聞には「ぶじ解放された。」と。200万ドル(約2億円)の身の代金が要求されたそうである。どうして誘拐者たちが日本人社長を200万ドルの札束とみなしたのかを、暇にまかせて考えてみた。
 1)ティフアナの工場労働者の時給約1.5ドル。
 2)米国の最低賃金はその2〜3倍、すなわち3〜4.5ドル。
 3)サンヨービデオコンポーネンツの従業員数約1200人。
 4)サンヨービデオコンポーネンツは1988年に創立。
 従って、1),2)より、一人の従業員を米国で雇うより、一時間当たり1.5〜3ドル人件費が安くなる。一日8時間労働とすると、一日あたりにすると12〜24ドルになる。
 一年間の労働日数を250日とすると、 3000〜6000ドル。
 そうすると、全従業員1200人について計算すると、360万〜720万ドルになる。
 1988年の創立から今まで、8年経っているので、8倍すると2880万〜 5760万ドル
となる。これが、米国に進出ししないで、メキシコのティフアナに進出したために浮いた労働賃金コストだ。
 この計算からすると、200万ドルは安すぎると思える。
 誘拐者たちは、この程度なら会社がすぐ金を出すだろうと踏んだのだろうし、4人で山分けしても一人50万ドルになり、ティフアナの労働者の年収の約100倍になるので、妥当な額として200万ドルになったのだろう。
 今回の誘拐「事件」があって、日本の企業がメキシコに大々的に進出しているということが、報道されたことは、日本人の「寄生虫性」をあらためて明らかにしたという意味があったといえる。
 がしかし、これにもこりずに、「メキシコ人を見ればドル札と思え」というスローガンのもとに、メキシコに進出する企業は減ることはないだろう。


朝日新聞 1996年8月13日 朝刊

 ○円高対策の家電基地 現場周辺

 三洋電機の米国子会社の社長誘拐事件が起きたメキシコ・ティファナ市は、
同国が輸出振興のために設けている「マキラドーラ」(保税加工区)の代表的
な地域だ。最大の消費地である米国と国境をはさみ、車で四十分ほどの距離に
ある。地元で「ジャパニーズ・テレビ・バレー(谷)」と呼ばれるほどで、松
下電器産業、ソニーなど十社を超す日本の家電メーカーが、テレビ工場などを
構えている。

 社長が誘拐された「サンヨービデオコンポーネンツ」の従業員は約千二百人
で、日本人社員は約二十人いる。三洋電機が円高対策として打ち出した消費地
生産主義に沿い、テレビやビデオ向けの電子部品を生産している。今年度、九
千百万ドル(約九十八億円)の売上高を見込んでいる。

 ティファナ市のマキラドーラに進出している企業の多くは、米国から部品を
輸入、完成品を再び米国に輸出している。輸入する部品に税金がかからないう
え、輸出入がいずれもドル建てで、為替変動の影響を受けないといった利点が
ある。

 三洋電機は八二年に進出し、現在は五カ所の工場でカラーテレビ、ビデオ、
冷蔵庫、電池などを生産している。計約四千人の従業員を抱え、「松下と並ん
で地元では最大の雇用数」(三洋電機広報部)という。


 ○年間に誘拐2400件説 深刻な不況も背景 メキシコ

 【サンパウロ12日=磯村健太郎】三洋電機(本社・大阪府)の子会社に勤
める邦人が誘拐されたメキシコでは、一九九四年末に通貨ペソが大暴落、深刻
な不況に突入し、中小企業の倒産も相次いだ。今回の誘拐の背景には、こうし
た経済状況があると見られる。

 昨年のインフレ率は五〇%を超した。政府は「経済は回復し始めた」と発表
しているが、実際には、賃金上昇はインフレに追いつかない状況だ。ティファ
ナなど国境の町からは、米国を目指す不法移民が急増し、米国は越境防止のさ
くを高くしたり、警備隊を増やしたりするなどの対応に追われている。米国の
国境警備隊サンディエゴ管区の逮捕者だけでも、昨年十―十二月に約十万人。
前年同期比で七五%も増えている。移民が米国の農場で得る収入は、メキシコ
の労働者の最低給与の二倍とも言われる事情があるためだ。


 金野さんはサンディエゴの本社から、国境をはさんだティファナにある工場
に、毎日のように通っていたという。

 犯人グループは「警察に通報すると、被害者の命はない」などと脅迫してい
るという。左翼ゲリラなどの政治的背景はいまのところ浮かんでいない。

 三洋電機(本社・大阪府守口市)の広報部によると、サンヨービデオコンポ
ーネンツは三洋電機の一〇〇%出資子会社で一九八八年九月に設立された。従
業員は約千二百人。工場がティファナにあり、テレビやビデオの部品を製造し
ている。

 ティファナは米国と国境を接し、メキシコが輸出振興のために原材料の無関
税輸入などを認めた「保税加工区」が設けられている。

 三洋のほか、松下電器産業やソニーなど日本の家電メーカーの工場が集中し、
「ジャパニーズ・テレビ・バレー(谷)」とも呼ばれている。


朝日新聞 1996年8月13日 朝刊

 ◇海外での日本人誘拐


ひぐらしさとだより

                       塵 拾志
 右の新聞記事は、日本の高齢者社会化とその先の、日本の消滅が予想され興味深いものがある。
 このような「なりゆき」に対して、政府厚生省(エイズウィルスの輸入に荷担した)あたりが、出生率の向上のために様々な政策を出してきているが、うまくいかないだろう。
 出生率の低下が、「金のない男」と「自立した女性」の独身志向に由来しているという、調査結果が厚生省から出ている。支援連の内や周辺に、それに符合する人も少なくはない。
 天皇と遺伝子構造の良く似ている人間を増やしたくないという、「反日原理主義」で、子供をつくらないわけではないらしい。K君は、ただ金がないの部類に入っているようだ。
 地球の資源を浪費することを運命付けられている日本人が減少することは、人類の長生きに少しは、貢献することになるだろう。という意味で、「浪費」から隔離されているダンボールハウスに住む特殊な日本人から学ぶものは多い。
――――――――――――
編集係註 K君は齢30にして未だ独身。勿論子供なし。上記筆者のゴミさんはバツイチにして、一子作成済み。


ひぐらしさとだより

                       塵 拾志
 雑雑と。
 5・20集会の資料集が余っています。読んでみたいと思われる方は切手400円分を同封して申し込んでください。
 朝日新聞では、5月29日から6月2日にかけて、「50年の物語」という連載のなかで、『二人の「狼」』というのをやっていた。大道寺将司、益永利明君を扱った記事です。読みたい人は申し込んでください。コピーを送ります。
 5・20集会の資料集のなかの『キタコブシ 号外6』のなかで、将司君は「東アジア反日武装戦線による企業などに対する爆破作戦も、反日思想も、風化したといわれたもやむ得ないかもしれません。」と書いています。
 だからといって、風化を防ぐために、雨風にさらさないようにしようとは、わたしは考えていません。そもそも、風化という発想がでてくるのは、自分たちが化石になってしまったからではないだろうか。生き物にとって雨風はだいじなものなのです。生きているということは、環境との関係性の中で自分と環境が変化していくことだと思う。
 そこで、この20年間、自分たちがどの程度に、「化石」的であったか、「生き物」的であったかを振りかえって見る必要があると思う。が、今日は書かない。
 ところで、今、政府で問題になっている、「不戦決議」にしても、「今後、アジアへの大々的な経済侵略を押し進めるには、過去のことは謝ったほうがいい」という程度のものだろう。ほんとうに、侵略戦争と植民地支配を反省するのなら、まず、現在の経済侵略を止めるのが当然だと思う。
 20年前、東アジア反日武装戦線が提起したことは、核心部分が骨抜きにされ体制内化されているといえるのではないだろうか。そういう体制内化を批判するには、過去の反省と現在の経済侵略阻止とは一体のものであるという「化石」的発想も必要ではある。
 反日思想の原点といわれている「腹腹時計 都市ゲリラ兵士の読本 VoL1」(理論編のみ)[300円+送料190円]のコピーを配布しています。
 これは、発行から21年経た今からすれば、「化石」的文章といえないでもないが、配布している私の想いは、「反日思想の遺伝子」と位置付け、思想の交配と新しい思想の誕生を期待してるというところです。


ひぐらしさとだより

                       塵 拾志
 テレビや新聞などでは、地下鉄サリン事件、オウム真理教への家宅捜索、警視庁7号こと浴田由紀子さんの逮捕、警視庁長官の銃撃など、なにかと騒がしい今日この頃です。
 それらのニュースの影に隠れてしまったのが、円高のことです。1ドル90円を突破して、着実に円高が進行している。
消費者の立場からすれば、円高によって海外の商品が安く手に入るようになり、生活が少しは楽になります。100円ビールとか2万円のテレビとか10万円以下の32ビットパソコンとかが輸入されています。
 しかし、生産者の立場からすると、日本でモノを生産すると高くつくので、海外の商品に価格競争で負けて売れないということになる。そうすると企業はどうするかというと、生産拠点の海外移転ということになる。即ち海外侵略の拡大です。
 すでに、家庭電化製品の海外生産率は50%を越えている。そして、この傾向は今回の円高でますます加速されるでしょう。
 20年前、東アジア反日武装戦線の人たちが、海外侵略を問題にした時は、海外生産率は10%にも満たなかったはずです。そうすると、彼(女)らが言った、日本人の「日帝本国人性」とか「寄生虫性」とかは完成の域に達しているといえるのではないだろうか?
 フタゴムシという寄生虫は、寄生主に寄生するとすぐに、自分の目玉を、必要が無いので捨ててしまうといわれています。
 寄生虫からの脱却は、まず、自ら捨ててしまった目玉を拾いなおすことから、はじめる必要があるのではないか?


「パソコンと人口」 その2 

       丸岡さんの批判に応えて
                                塵 拾志
 まず、前半の3/4に異議がないということなので、そこで言いたかったことをもう少し詳しく書いて見ます。
 軍事的・経済的侵略がなぜ起こるかというと、侵略する側の国の人口が多すぎるからではないかと考えたからです。あるいは、他の地域に侵略をしようとする国は人口増大策を採用するといってもいいでしょう。戦前の日本はそうであったのではないだろうか?
 アイヌモシリが、北海道になったのは、本土で「余った」多くの人が開拓民として渡り、また、その人たちが多産であったため、アイヌの人口より日本人の人口が極めて多くなってしまったからではないだろうか。当時のアイヌは貧困と強制労働により人口の増加は望めなかった。
 また、日本人の人口が減少すれば、電力消費量も減り、原発も必要なくなるだろうし、ゴルフ場なども狭くて済むし、受験競争も緩和されるし、交通渋滞もなくなる。自衛隊員もますます求人難になってPKOに参加できなくなるし、侵略企業に勤務する人も減るし、アジアからの食料輸入も減少し、労働力不足のため多くの外国人出稼ぎ者を受け入れるようになる。自然破壊も少なくて済む。
 というわけで、日本人の人口の減少は、日本人にとっても、世界の人民にとっても、絶滅の危機にある野生生物にとっても、悪くなさそうだと言えるでしょう。私と同世代の「団塊の世代」が受け取る年金が減ってしまうにしても。
 そこで、どうやって日本人の人口を減らそうか? アメリカ先住民の女性に行ったような強制的な避妊手術では大騒ぎになるし、などと思い悩むのである。しかし、その必要はなく、日本人の人口減少は「成り行き」なのだ。「成り行き」だというのは、政府や財界が人口減少政策をとってきたわけではないのに、出生率が減少しているということです。したがって、この「成り行き」は大衆の選択の結果と言えるでしょう。
 ここから、具体的応答。
(1)女性の社会進出・自立について
 日本の企業の多くの部分が海外進出を行っているので、女性がそういう企業に勤めて、出世して、海外から多くの利潤を得るために奮闘してもらっても困るなぁと思いつつ、結果として日本人の人口が減ればいいということで書いたのである。しかし、うまくいかないようだ。海外から多くの利潤を得ている企業は、余裕があるので、産前、産後の有給休暇を保障できるから。進出先の工場ではそんなことはやらないだろう。これでは、侵略的傾向を持った日本人の割合が増えるだけになってしまう。
(2)男の子育てについて
 義務感でいやいやながらやっていることは、長続きしないのではないか。(マイホーム主義を批判して、世界同時革命に青春をかけた人がそういう発言をするのは、時代が変わったんだなぁ)
(3)「反日消国」について
 まず、生まれてこなかった「人」は、死なないし、殺せないし、他人を殺さない。というあたりまえのことを前提としています。「反日消国」は、親になる可能性のある人に「子供をつくっても、自由時間は奪われるし、金はかかるし、苦労が多くて、いいことないよ。子供は一人にしておきな」という、どこにでもありそうな会話の正当性を、世界資本主義体制の分析・批判によって、位置付けたものです。「反日思想」のなかでは、一番「血を見ることが少ない」ものです。
 日本という国がなくても人は生きて行けます。「消国」したら、地球市民の仲間にいれてもらえばいいでしょう。その時は、「生活レベルを下げるべきだという主張が、人々に受け入れられない」などとは言っていられなくなり、自己変革が必要とされるでしょう。地球人平均の資源の消費量で生活し、満足できる人になるための。
(4)日本人の男の体を操っている、侵略的傾向を持った「利己的な遺伝子」について
 まず、「利己的な遺伝子」とは、自分自身の複製をたくさん後世に残そうとする遺伝子という意味です。「利己的」対「利他的」ということで使っているのではありません。
重要なのは「侵略的傾向」の方です。日本人の男の遺伝子は侵略的傾向を持っているのは事実です。私自身、自分が侵略的傾向を持っていると確認している。日本の侵略を受けたアジアの人々もそう思っているでしょう。遺伝子という言葉でなく素質という言葉を使って。侵略的傾向は、日本人の男だけではなく、日本人の女も持っているのですが、それが行動になって現れにくいだけです。
 人口の過密、等の社会経済情況のもとで、遺伝子の侵略的傾向は、「ヨーロッパの植民地主義思想」と合体して、アジア侵略へと突き進んで行ったのです。そうすると、侵略を阻止するにはどうしたらよいかのヒントが出てくる。
1)人口の過密、等の社会経済情況をつくらない。
2)遺伝子組み替えで侵略的傾向を取り除く。
3)ヨーロッパの植民地主義思想を撲滅する。
という3っつのことが言えるでしょう。
 しかし、私は一石二鳥を狙っているのです。
 日本人の男の遺伝子が侵略的傾向を持っていても、それが現実の社会で行動として現れなければ、近隣諸国人民は安眠できるわけです。したがって、パソコンやテレビゲームのディスプレイの中で、すなわち「虚無」の世界で、日本人の男の遺伝子の侵略的傾向を発散、解消させようというのです。結果として、人口が減少すること間違いないし、遺伝子組み替えも必要ない。
「20世紀の日本人のコロンブスたちよ、寝・食・子つくりを忘れ、ゲーム空間に巣食う未開人の征服戦争に決起せよ!!」
 


ひぐらしざとだより

                           塵 拾志
 最近の新聞記事に右のようなものがあった。
 15年前に発行された『腹腹時計特別号2』を開いて、「第4宣言」をぱらぱとめくってみたら、宣言の署名者の中にエルナン・シェンフェゴスという名前が出ていた。当時のエルサルバドルのゲリラFARNは、その宣言の中で捕虜作戦の意義付けを次のように言っていた。「わが国が日本帝国主義に経済的に大きく依存している現実を考慮し、一日本人企業家との交換でその要求を実現しようとしたのである。日本帝国主義は、われわれが生産する綿花のほとんどすべてを買いつけ、しかもわが国に現存するなかでも最大の工場二つを保有している。(29P)」
 このような支配−被支配関係が解消されたことを、「日本との関係が暗転した」と表現する宮川特派員は帝国主義者と同じ意識を持っているとしかいいようがない。
 ソ連の崩壊を前後して、エルサルバドルでもゲリラと政府との間で、和平交渉が行われ、シェンフェゴス氏は、サンチョ氏に転身したのだろう。サンチョ氏に「新しい日本との関係を築きたいという熱意」があるとしても、かってシェンフェゴス氏らがロメロ政権に対して行った「多国籍企業がサルバドル人民を搾取しやすくする経済的便宜を与えることによって、同資本に直接的に隷属している。すなわち、各国で支払わなければならない賃金に比べて低い線に押え、税金の支払いも免除している。(21P)」という批判を継承し続けてほしいものだ。
 『腹腹時計特別号2』は在庫がないので、読んでみたいという人にはコピーしてお配りすることはできます。


パソコンと人口

                           塵 拾志
 ベーシックというプログラム言語が動く8ビットのパソコンが売り出されたのが、1970年代の終わりごろだった。あのころは作ったプログラムをカセットテープに記録していた。
 それが、今では32ビットのパソコンが十数万円で買えるようになっている。当時の8ビットのパソコンと比べると、計算速度・記憶容量とも数百倍になっている。しかし、箱の大きさはほとんど変わっていない。ノート型パソコンのように小さくなっているものもある。
 パソコンを含めコンピーターの性能は2〜3年で計算速度・記憶容量とも2倍になるという法則があると言われているし、今までそのようになってきた。「2〜3年で2倍になる」という変化のしかたを、ネズミ算というのであるが、数学では指数関数という言葉を使う。この指数関数で表せるような変化をするものが、くせものなのだ。
 経済成長、貯金の利子、人口の増加、物価上昇等いろいろある。経済成長「率」のように、その比率を求めると変化の速さを表すことになる。それがプラスであれば、時間の経過とともにどんどん大きくなる。マイナスの場合は減っていく。
 コンピーターの場合、なぜ「2〜3年で2倍」という性能の向上ができたのかといえば、「短縮・縮小化」ができたからである。すなわち、計算1回当りの時間を短くし、計算回路や記憶装置の面積を小さくすることができたからだ。
 では、人口の増加について、考えて見ると、人類の発生以来、人口は増えてきて、いまでは50億人以上の人が地球上に生きている。それが可能であった理由として、道具の使用・農業・工業・医学等様々なものがあげられるだろう。それらを人類の英知というらしい。しかしそれらをもってしても人口の増大には追い付かないということが、最近言われてきている。
 人間の場合、コンピーターの計算回路や記憶装置とちがって、人口が2倍になったからといって、寿命を半分にするとか、体重を半分にする訳にはいかないのであるが、それに近い生活をしている人々がいないわけではない。
 先進国に住んでいる人々の多くは、人口爆発による資源の枯渇の責任を人口増加率の高い貧困国のせいにしたがるのであるが、身勝手なものである。
 世界平均に対して20倍の資源を消費しいてる5億人の先進国の人が、世界平均の2倍の資源消費の生活をおくるだけで、18×5=90億人の人口増加の余裕があるのだ。
 などといっても、飽食になれ親しんだ私たち日本人に生活レベルを下げるべきだなどと主張しても、受け入れられないのはあきらかだし、私自身、「賃下げ闘争」やろうなどという気にもならない。喜ぶのは資本家だから。
 ところで、ヨーロッパや日本では、出生率が減少してきて、近い将来人口が減少するという予想がある。出生率の減少の原因として、女性の社会進出・自立、住宅事情(日本の場合)などがあげられている。一人の女性が一生に一人の子供しか産まないとすると、人口は約30年毎に半分に減ることになる。2の14乗=16192:30×14=420という計算により、420年経つと人口は約1万6千分の1に減少することになる。これで日本は消滅するだろう。「反日消国」は女性の社会進出・自立にかかっていると言えるのではないか? 420年の忍耐があれば。
 しかし、日本人の男の体を操っている、侵略的傾向を持った「利己的な遺伝子」の抵抗は激しいものがあるのではないか。心配無用。男たちはパソコンやテレビゲームのディスプレイの中に、自分自身を無限に複製しはじめているから。


ひぐらしざとだより

                       塵 拾志
 新年の報道で一番気にかかっているのは、メキシコのゲリラのことです。
メキシコの歴史の本を買って、エミリアーノ・サパタという人のことを調べはじめています。ということで、太田さんにメキシコの情勢などを書いてもらうことにしました。
 一方、日本では、不況が続き「景気対策」が、叫ばれています。「所得税減税」→消費拡大→「消費税率アップ」など、どのみち所得格差が広がる方策しか出してこない、連立与党は自民党とどこが違うのだろうか?
 たぶん、不景気で助かっているのは、自治体のゴミ処理部門ではないだろうか。バブル経済が続いていたら、ゴミ処理は追い付かなくなっていたはずだ。経済の発展は、ゴミの蓄積を意味する。したがって、トミはゴミだ。だから、ゴミの輸出はやめましょう。
 不景気のせいで、私のボーナスは、去年より20%減額になってしまったので、「本当に必要なものか? もっと安い店はないか? しばらく買うのを待てば、もっと安くなるのではないか?」などと考える「俗貧の思想」が、身についてきた。残業が減ったので、本屋で立ち読みする時間が増え、本を買わないで済んでいるので、世界の森林資源もしばらくは、枯渇することもないだろう。
 ところで、不況の原因とされている「消費の落ち込み」が何を意味しているかといえば、貯蓄の拡大です。郵便貯金などに預けられたお金が、どうして利子を産むかということが、くわしく書かれた本が最近出ています。お金のある人も、ない人も読んで見たら、どうでしょう。本の書名は『どうして郵貯がいけないの』(金融と地球環境)。著者 「グループKIKI」。発行 北斗出版。です。
 新宿の模索舎で売っていましたが、普通の本屋では売っていないので、立ち読みするわけにはいきません。図書館で買ってもらって読んだらいいでしょう。


20年で何が変化する。

                               塵 拾志
○最近できた細川連立政権が自民党政権と違うところは、「先の戦争を侵略戦争ととらえ謝罪した」ところにある。

○「日本の行なった戦争は侵略戦争である」という歴史的事実に、一番最初に気付いていたのは、日本軍の侵略を受けたアジアの人々であった。敗戦後30年過ぎて、東アジア反日武装戦線“狼”は『腹腹時計Vol1』(1974年3月1日発行)で、「日帝は、36年間に及ぶ朝鮮の侵略、植民地支配を初めとして、台湾、中国大陸、東南アジア等も侵略、支配し、「国内」植民地として、アイヌモシリ、沖縄を同化、吸収してきた。われわれはその日本帝国主義社の子孫であり、〜(1)〈 後に引用します〉〜これは厳然たる事実であり、すべての問題はこの確認より始めなくてはならない。」と書き、以後虹作戦(天皇特別列車爆破計画〈未遂〉)等の戦いを続けていった。

○“狼”たちの戦いから20年が過ぎて、やっと日本は政権レベルで「先の戦争は侵略戦争であった」という事実を認識できるようになった。自民党時代よりはまともになったと言えないこともない。だからといって、今の政権が天皇制を廃止するとか、企業の海外侵略を禁止するとかの政策は当然取らないだろう。

○細川さんや土井さんは、20年早く歴史的事実を認識し、公表し、それにもとづいて行動した“狼”の2人を師と敬い、監獄から出すべきではないか?

○〜(1)〜の部分には次のように書かれている。「敗戦後開始された日帝の新植民地主義侵略・支配を、許容、黙認し、旧日本帝国主義者の官僚群、資本家共を再び生き返らせた帝国主義本国人である。」このような事実認識をもっている人は現政権にはいないし、20年後にも出てこないだろう。
 なぜなら、「先の戦争を侵略戦争ととらえ謝罪」し国際社会の中で「とりあえずの信頼」を得ようとしたのは、日本が新植民地主義侵略(企業の海外侵略、ODA、PKO)を今後さらに拡大して推し進めるためのものだからである。

○日本の侵略戦争の被害を受けた、アジアの人々の間から「戦後補償」の声があがってきている。現政権が、国際社会の中での「とりあえずの信頼」を「普通の信頼」へと高めていくには、「戦後補償」を要求する声にわずかばかりでも応えていく必要があるだろう。それでもって、国連の常任理事国になれれば、安い出費にすぎない。

○日本政府が、「戦後補償」をするとして、その資金はどこから出るかといえば、それはもちろん税金からである。部分的にであれ、アイヌ、沖縄人、在日外国人から徴収した税金が、「戦後補償」に当てられるのは、侵略戦争の被害者である彼・彼女にとっては頭にくることだろう。

○日本人が、「戦後補償」の支援をするにしても、「補償金」をどこから出すかをはっきりさせなければならないのではないか。私の考えは、「天皇制を廃止し、皇室の土地・建物・その他財産を売り払いそれを補償金に当てる」というものです。

○アジアの人々の間から「いたぶるためた、天皇ヒロヒトの首を墓をあばいてわれわれによこせ」という要求がでできたならば、それなりに意義のあることだと思う。私たちがその要求に十分に応え切れないにしても。「報復は何も解決しない」という考え方もあるが、「金が全てを解決する」という関係は、いきつくところ「金持ちは何をやっても許される」ことになってしまう。

○もしも、三菱重工爆破での被害者が「被害補償」を二人の獄中者に求め、「被害補償」を払い終わった時点で、釈放されるのが確実であれば、支援連は、金集め運動としておおいに発展するかもしれない???


ひぐらしざとだより

                                  塵 拾志

 カンボジアでは、民間ボランティアの中田さん、文民警察の高田さんが死んだ。
 高田さんに関しては、上司の命令に従って犬死にしたのだから、同情しないでもない。マア、日本政府は、「補償金」も出すことだし、本人の肩書きもいつのまにか「警視」になってしまった。(死んだ本人にとっては、「保証金」や「肩書き」など、何の意味もないのであるが。)
 はじめから、カンボジアに人を出さずにいれば、「保証金」などという税金の無駄使いをしないですんだのに。日本政府が、こんなむだ使いをしてまで、国連に「メンツ」を立てて、頑張っているのは、カンボジアに「平和」を押しつけた後の、日本企業の経済侵出をみこんでのことなのだろう。そういう見方からすれば、高田さんは、企業侵略で潤っている日本人大衆の飽食の犠牲になったとも言える。
 日本政府が、こんなにしてまで国連に「メンツ」を立てたいならば、死刑制度を廃止すればいいのにと思うのは、私だけではないだろう。
 最近、「法律の厳格適用主義者」と思われた後藤田法相は、「自衛隊の武器使用を認める場合がある」などと、『なりゆき』まかせな発言をやりだしている。死刑制度の廃止も「先進国」にとっては、『なりゆき』なんだがなあ。
 ところで、中田さんの親父はアホではないか? 元商社マン(背広を着た皇軍兵士)が、今度は、「国際貢献」のハタのもと「ボランティアの皮を被った皇軍兵士」やろうとしている。仕事人間の企業戦士にとっては、ボランティアも仕事の延長でしかないのかなあ。こういう人がいるから地球の寿命が縮まるのだ!!


ひぐらしざとだより

                              塵 拾志
 11月7日にイランへの円借款が再開されるというニュースがででいた。
そこで早速、私が昼寝に行っている会社に大手重電メーカーから測定器の注文が入った。「イランに輸出されるので、英文の取扱説明書をつけて」というものだった。ペルシャ語でなくてよかったなどと思いつつ、経営者や上司の話を聞いていた。「この不景気の時代イランであれどこであれ商品が売れるのはよいことだ、至急英文の取扱説明書を作ろう」というようなことを彼らは話していた。
 会社といっても、従業員が10人に満たないのであるが、ここ10年ぐらい海外(アジア)に商品が売れるようになった。発電所や変電所の保守管理に使われる測定器なので、電力による近代化を急いでいる所では必要なのだろう。
 イランは、日本のODA資金で発電所や変電所を建設するのであるが、実際に作るのは、日本の大手重電メーカーや大手建設会社である。したがって、ODA資金は彼らの手に渡るようになっている。そして、測定器の売上げも100%が、ODAから出たものだと言えるだろう。私の賃金の何%かにそれが含まれているのは確かである。
 ところで、ODA資金は、どこから出ているかと言えば、国民及び非国民からの税金や郵便貯金、厚生年金の利子などてある。ODAが日本の大企業を利するものだという批判は正しいのだが、私のような半国民(意識は非国民で社会的には国民)にとっては、税金の一部を返してもらっているようなものだ考えてしまう。
 いずれ、私がその測定器を調整・検査(昼寝ばかりしているわけではない)し、出荷することになるのだが、イランの人たちが、同じ物を作れるようになるまで、繰り返されるだろう。そんな測定器イランと言われればそれですむことなのだ。
 出稼ぎに来ている真正非国民であるイラン人から、税金を取るのは、どう考えても変だ。


お召し列車は荒川鉄橋で跳ねるか?

                                  塵 拾志

 支援連ニュースNO.119号14頁に次のようなことが書かれてありました。
 『「反日の人達が前天皇のお召し列車をぶっとばして殺そうとしたのは本当でしょうか。天皇を殺そうとしたのは理解できますが、列車の運転士まで巻き添えにするつもりだったのでしょうか。それはあんまりだと思います。」JR西日本におつとめのAさんより』
 このことについて、いくつかの資料をもとに、私の考えを書いてみたいと思います。
 『機関士にとってお召し列車の乗務は、たいへん名誉なことであると同時に、幸運なことでもあります。私は在職して以来、先輩のお召し列車運転は見聞きしたことはありましたが、まさか自分が運転するようになるとは思いませんでした。上司から乗務の指示を受けたときは全身が熱くなりましたが、同時に「何が何でもやり抜かなければ、男の一生の勝負」と心に決めました。』(『鉄道ファン』1985年2月号 特集 お召し列車乗務ルポ32P)
 お召し列車の機関(運転)士がこのような考えを持っているのだから、「巻き添え」も彼の名誉のはずだ、天皇制は「人柱」を必要とするものだ、と納得したくなるのだが、ここでは、結論を出さずに次に進もう。
 「線路は続くよ どこまでも 野を越え 山越え 谷越えて 〜〜」というバカに明るい歌は、アメリカの西部開拓時代の歌だと記憶している。この歌の背後にあった、絶滅の危機に追いやられたバイソンや虐殺されていった先住民(通称インデアン)や金を掘りだすために引き裂かれた大地を思い浮かべるJR職員は少ないだろう。
 アイヌモシリ(俗称北海道)に引かれている鉄道は、囚人労働によって建設され、アイヌの生活基盤を奪っていった。朝鮮、中国東北部で日本帝国によって建設された鉄道は、誰の労働によって作られ、現地に何をもたらしたかは、「反日の心」のある人に調べてもらい、その話しを聴こう。
 狼の人たちが、虹作戦を実行しようとした当時、「運転士が巻き添えになるかもしれない」という意識があったかどうかは、わからない。「アジア人民の歴史的な憎悪と怨念は私たち日帝本国人に、まず天皇ヒロヒトをこそ死刑執行せよ、と要求している」(救援する会通信第2号12P〜19P)と題する虹作戦レポートには、天皇に対する憎しみだけが前面に出ていて、運転士の存在すら意識していないようです。
 △▽◇−−ここからが本題です。−−◇▽△
 では、虹作戦が遂行されたとして、機関士は名誉の戦死を遂げることができたかどうかを、「爆弾宿命論」(爆弾は無差別に人を傷つけたり殺したりするものだという固定観念)を排し、科学的に検証してみたいと思います。手法および資料の一部は「再審研」から流用します。

 お召し列車の構造は次のようになっています。上の図を参照してください。
   お召し列車は5両編成で、先頭の機関車が引っ張ります。
   車両の長さ約20メートル
   御料車=天皇が乗っている車両。横腹に金色の菊の紋が貼りつけてある。
   供奉車=天皇の付き人が乗っている。
   列車重量  230トン 
   (この運転の時感じたことは御料車の重量感とブレーキの効きの悪さです。御料車編成は5    両編成ですが、編成重量は換算23両もあり、1両あたり4.6両の準重量級の列車です。)    『鉄道ファン』より
    庶民が乗る列車の4.6倍の重量があるということは、戦車と同じ作りであると考えられます。
 虹作戦が遂行され、つまり御料車の菊の紋が爆弾の上にさしかかったとき、爆発が起こった場合、爆発地点から機関士のいる所までの距離は、70メートルあります。
 爆発の威力が三菱重工と同じとすると、爆風で死亡する可能性があった人は、爆心から5メートル以内にいた人で、爆弾の破片で死亡する可能性があった人は、爆心から20メートル以内にいた人です。(上告趣意書129P)
 また、荒川鉄橋は、開放空間なので爆風の減衰が大きく、70メートルの距離ではガラスが割れることもありません。
 というわけで、機関士は名誉の戦死どころか、名誉のけがすらもできずに、生き残ってしまうのです。「天皇が死んだのに、機関士が生き残るとは何事だ」と右翼にいじめられるのが、落ちです。そうならないためにも、JRの機関士のみなさん! 心を入れ変えて、お召し列車の運転を拒否しましょう!
 ところで、再審研の中では、虹作戦の時の爆弾の威力は、三菱重工の爆発の威力の3分の1から5分の1程度であるという見解が出ています。詳細は、しばらくしたら提出されるであろう「第2次再審請求書」に主張されるはずです。


小型モーターは力強くアジアを搾り取る

                               塵 拾志
 下の新聞記事は、今年3月14日の朝日新聞にのっていたものです。私は、支援連ニュースNo.106号の「ものを見る目」で「ミニ四駆」や「マブチモーター」のことを書いたのですが、今回は「マブチモーター株式会社」について、2〜3の資料をもとに書いてみたいと思います。
  資料1:「有価証券報告書 マブチモーター株式会社」平成2年12月 大蔵省印刷局
  資料2:「会社別海外進出企業」 1991/92  東洋経済新報社
○海外工場の実態
 マブチモーターは海外に子会社を6社、関連会社を2社持つています。それらを表にまとめてみました(資料2)。[子会社は100%出資。関連会社は出資比率100%以下]

通称操業出資比率資本金従業員数進出目的
大連マブチ88.2100%22億円4000労働、市場、逆輸入、優遇、情報
深センマブチ88.4100%220
台湾マブチ70.150%4.52億NT$2750労働、市場、逆輸入、第三国、情報
高雄マブチ80.169%+31%4.9億NT$3200労働、市場、逆輸入、第三国、情報
香港マブチ64.2100%1500万HK$9950労働、市場、逆輸入、第三国、情報
シンガポールマブチ89.9100%100万S$4市場、情報、随伴
マレーシアマブチ90.4100%1000万M$900労働、市場、第三国
アメリカマブチ77.1100%20万$14市場、情報

  注1:高雄マブチの出資比率の+31%は深センマブチが所有。
  注2:進出目的の意味
     労働:労働力の確保・利用 市場:現地市場の確保 逆輸入:日本への逆輸入
     第三国:第三国への輸出 情報:情報の収集 随伴:関連企業の進出に随伴
 マブチモーターの海外進出は、1964年の香港マブチを始めとして、87年の円高以降は、中国、マレーシアへとより安い労働力を求めて展開しています。
○従業員、賃金
 資料1に「従業員の状況」という表が載っていたので、引用します。
                  (平成2年12月31日現在)

区 分従業員数平均年齢平均勤続年数平均給与月額
61636.411.2 341,077円
18529.04.5171,261円
80134,79.7301,856円

 この表は、もちろん日本の本社の従業員の状況です。海外の労働者の状況についてはこの資料には書いてないのですが、新聞などの情報をもとに推定すると、従業員の内60%〜90%が女性で、賃金は日額400〜2000円です。右の表からも判るように、海外の労働者の合計は2万人以上になっています。この2万人の労働者に日本人と同額の賃金を与えたならば、小型モーターの価格は今の10倍以上になっているでしょう。
○分業の形態
 資料1には、「当社は、資本・技術集約的工程(精密・基幹部品、生産機器等の製造)の一部を行い、労働集約的工程(小型モーターの組立巻線等)をはじめ、工程の大部分を国内外の関係会社および協力企業で行なっております。」と書かれています。
 日本の本社と海外の工場との分業の形態は、東京の本社と地方の工場という分業を国境を越えて押し進めたと考えることもできます。しかし、日本人の従業員と海外の労働者が行ったり来たりすることがないので、日本内部での分業とは全ぜん違ったものと考えられます。
 日本では技術、海外では労働という分業は、ますます純化されつつあります。マブチモーターはマブチ技術研究所を建設し、技術開発に力をいれています。
○機械化、技術移転
 小型モーターの製造が労働集約的であるのはなぜかというと、それは導線を巻くからです。単純な形のものに線を巻く技術は、すでに確立され自動化が進んでいます。しかし、モーターの回転子の形は、機械で導線を巻くには適していないため、自動化されず人手を必要とします。
 モーターの回転子に導線を巻いているのは、主に女性労働者であると想像できます。一日、何百何千という数の巻線作業のみをしている労働者に、技術移転がなされるはずがありません。2年前、韓国から「撤退」した韓国スミダの女性労働者たちも、電子部品のコイルを、導線を巻いて製造していました。彼女たちの何人が、技術を身につけたといえるのだろうか?
 ハイテクといわれるモノの製造は、背後に大量の単純労働が必要とされ、そのほとんどが海外で行われているのが現実です。


朝日新聞 1992年3月14日
編集長インタビュー
小型モーターは安く小さくて力持ちなんです
マブチモーター社長 馬渕隆一さん
 ――模型自動車の『ミニ四駆』でマブチの小型モーターが一躍人気になりました。模型用のメーカーなんですか。
 「もともと、この会社は模型用モーターから出発しましたから、そう思われるのも。でも、今は模型用はわずかです。おやじが四国の高松でブリキの町工場をやっていまして、戦後、兄の健一が馬てい形マグネットを使った小型モーターを開発、小遣い稼ぎに売り込んだのです。最初は教材用でした。しかし、学校相手では数に限りがあります。それで、東京・蔵前のおもちゃ問屋さんに『弾み車の代わりにこれを使ってくれ』といいに行って。そこが出発点になりました。」
 ――模型やおもちゃ意外に小型モーターは、どんなところに使われてますか。
 「初めのころはテープレコーダー、時計、シェーバー。今は、自動車にもたくさん使われてますよ。それにテレビなんかは、さすがに使うところはないだろうと思ってたんですが、リモコンでこれも使う。VTR、パソコン……。需要がどんどん広がるんですね。というのも、小型モーターは重量や体積の割に力が出る構造だからなんです。『安くて小さくて力持ち』。大衆に受けるんです。」
 「初めこそモーターの価格は高いものでした。でも、だんだん材料が安くなり、構造もシンプルに。それで、加速度的に価格が下がり、性能が良く、サイズも小さくなりました。今では、ものによりますが、何十円という単位です。それが、需要のすそ野を広げたのですね。例えば自動車の自動ドアロック。初めは電磁石の部品が使われていたんですが、だんだんモーターの方が値段が安くなり、今はほとんどが小型モーターですよ。うちはそうした小型モーター市場で、世界の過半数を制しているんです。」
 ――過半数ですか。よく貿易摩擦になりませんね。
 「最初に作ったのが私どもです。欧米には競合メーカーがありません。それに競合者をつくらないよう、こちらもできるかぎり値段を下げる努力をしました。お客様であって、ライバルじゃない。摩擦の対象にならないんです。」
 ――安くなったことが、発展の決めてだった?
 「モーターは部品です。最終製品なら、百円のものを五十円にしても小売店は喜びません。売れる数が同じなら、手間ばかりかかり、店のもうけになりませんから。ところが部品は、お買いになるのがメーカーです。端数がでようが手間がかかろうが、とことん安い方がいいんです。それに、こちらも、安くするから需要が増える、需要が増えればコストが下がるという好循環が期待できます。」
 「世界で最も安く作れる所で、最も安い方法で作る。これですね。そんなこともあって、うちでは一九六四年の香港工場をはじめ、台湾、マレーシア、大連、広東と海外工場を積極的に展開してきました。緊急出荷用など、去年までは国内でも少しは生産をしてたんですが、今年からは小型モーターの全量、年産九億個が、こうした海外の工場での生産になります。国内で売るのは全部輸入品ですよ。」
 ――小型モーターは労働集約型なので、結局、安い労働力を求めたわけでは。
 「同じものを作るにも二つあると思うんです。極限まで省力化してボタンひとつで製品が飛び出すような方法と、私どものように人手をたくさん使う方法とね。仮に値段が同じとすれば、どちらがよいかは理念の問題。モーターが組み込まれた機械は世界中に売れます。そのためには世界の中で、買ってくれる人を増やさなければなりません。ポンポンと自動機械で作るんでは、買い手は増えません。現地の人にモーターを作ってもらい賃金を払ったうえで、製品を買っていただく。それが大事だと思うんです。」
                 〈吉田 弘文〉


ひぐらしざとだより

                              塵 拾志
○3月7日の死刑廃止フォーラムは、約千人の人が集りました。後日、マスコミにも死刑廃止の事が多く取り上げられるようになり、これで日本での死刑廃止が一歩近づいたと言えるのではないだろうか。スタッフの皆さんご苦労さん。私は会場の入口の外で、「支援連ニュース」や「腹腹時計」等を販売していたので、集会全体の様子はわからなかったのですが、場内のトイレに行ったついでに、バタンデールさんの話を少し聞きました。
▽彼の話を聞いて思ったことあります。バタンデールさんは、死刑制度は犯罪(殺人を含む)を抑止する力にはならない、ということを二つの場合に分けて主張していました。
▲一般犯罪の場合、行為者は自分の行為に意識が集中していて、行為の結果死刑になるかも知れない、という考えはうかばない、ということを実例をもって示していました。
☆「テロリスト」の場合、「テロリスト」は命を賭けて実行行為を行うことを誇りにしていて、一人の「テロリスト」を処刑することによって、彼は神聖化され、20人の若い「テロリスト」生み出してしまう。だから、「テロリスト」を死刑にすべきでない。イスラエル等では、「テロリスト」を死刑にしていない。
ということを言っていました。
■裁判所や法務省が、バタンデールさんのような冷徹な国家管理思想をもてば、日本の死刑制度はなくなるはずなんだが。それでこそ、日本の国家社会の脱亜入欧が完成するのです。
◎大道寺将司くんや益永利明くんは、国家の側から見れば、テロリストです。
法務省が、冷徹な国家管理思想のかけらでも持っているとしたら、将司君たちの処刑を抑止する鍵は、20人の若い「テロリスト」の出生の可能性にあるのではないだろうか?
◆飽食日本の若い世代から、20人の「テロリスト」が出現しなだろうことは、法務省もうすうす感づいているらしい。では、どうしよう。残された方法は、中年の男女が、カッコだけでも「テロリスト」風にして、「彼らを処刑したら、何が起こるかわからないぞ〜」と叫び続けることなんだろうか?


生き急ぐ者は、死に急ぐ

                塵 拾志
 去年の暮れ、ソ連がなくなり、ロシアをはじめとしていくつかの国ができた。これで1945年からの東西冷戦(米ソ対立)は、消滅したと考えてもいいだろう。そして、核戦争による人類滅亡の危機もなくなった。ソ連から援助を受けていたアジアの社会主義国(ベトナム、北朝鮮など)は、今後ソ連からの援助は期待できなくなり、経済開放政策を選び始めている。日本を始めとした先進国からの資本の導入や、観光開発などを行い外貨を稼ぎ、経済発展のバネにしようというものだ。
 アジアの社会主義国々の政府の経済政策が正しいかどうかを、私が判断するつもりはないが、そこへ進出していく企業をどうとらえるかは、重要な問題だと思う。16年前、東アジア反日武装戦線三部隊が爆破攻撃した企業の多くが、すでに、中国、ベトナムに進出し、北朝鮮への進出を計画している。その企業進出に対し、「貧しく、資本も技術もない国の発展のためだからいいではないか」という声が聞こえてくる。進出企業は、「第三世界の貧しい国の発展のために貢献している」と言うだろう。
 うそを平気で言うのが進出企業である。「金もうけのために進出する」と本音を言えばいいのである。そして、ついでに「もうけた金は、日本のGNPを上昇させ、日本国民の生活の安定にも貢献する。」と言えば、物事ははっきり見えてくる。
 ではなぜ、アジアの社会主義国々が日本企業に多大な利益を与えてまでも、企業誘致を行なわざる得ないのかという疑問は残ってしまう。それらの国々が現在、経済的に「貧しい」原因は、朝鮮戦争、ベトナム戦争で国土が徹底的に破壊されたことを始めとしていろいろあるだろう。そしてソ連の援助も「貧しさ」からの解放をもたらさなかったのも事実だろう。かっての東側世界でも南北問題は、解決されないまま今に至っている。
 今、第三世界の多くの国々は、NIES(韓国、台湾など)の経済発展をモデルとして、外国資本導入による経済発展をめざしている。いままでの「原材料輸出、輸入代替」という経済政策から、「労働力集約型外国企業誘致、外貨獲得」に転換しつつある。そこで、引っ張りダコなのが日本企業なのである。だから日本企業はデカイ面をしている。国際的なスポーツ大会で競技する選手のゼッケンには、日本企業のロゴマークが必ず付いている。
 ところで、NIESが経済発展をし、先進国の一歩手前まできたのなぜかという分析をした本は書店に山ほどあるが、その中の一つについて考えてみよう。それは、「労働力集約型企業(繊維、電子)を誘致し、主要にアメリカに製品を輸出し外貨を獲得し、重工業を発展させた」というものです。NIES製品の市場はアメリカであった訳です。では、今後第三世界が労働力集約企業で生産した商品を売る市場はどこかと考えると、アメリカはもう、物を買うよりも売ることに熱心になっているので、金あまりの日本しかないということになる。日本人の浪費が第三世界の経済発展を可能にする。??
 「先進国の一人当たりの資源・エネルギー消費量は、第三世界の消費量よりも極めて多い。第三世界の人々が先進国と同じ量を消費したら、地球の資源・エネルギーは50年以内になくなってしまう。」というシュミレーションの結果がある。経済発展は、人類滅亡の時限爆弾であるとも言える。しかし、私たちは、第三世界の人々が豊かになりたいという思いを否定することはできない。まず、先進国で生活している自分たちの生き方を点検することからはじめなければならないだろう。
 進出企業のエリート社員たちは、胃に穴を開け、心筋拘束にもめげず、過労死をかいくぐり、人類滅亡のために疾走している。「生き急ぐ者は、死に急ぐ」ということが、彼らにも、先進国にもなりたてばいいのだが。


経済侵略の今日この頃

                       塵 拾志

 大道寺君や黒川君は、逮捕前であったなら、下のような新聞記事を見て、マツダや三菱自動車の侵略を阻止するために、作戦を練っていただろう。あるいは、確定前、「KF部隊」を名乗っていた頃であれば、『腹腹時計』特別号1に載っているような「南米のゲリラの“戦闘指示”に応えよう」というアピールを発したにちがいない。今の大道寺君や黒川君が確定という制約の中で、日本企業の侵略をどう考え、何を表現するかは、わからないが、かつてのような迫力のある原則的な発言は期待できないだろう。
 獄外の私(たち)は、再審・死刑廃止運動などにいそがしく、日本企業の侵略のことを取り上げる力も気力も薄れてきている。

 このような反日をめぐる獄中獄外の状況を見て、大森君は森を守る会(上野郵便局私書箱143号)のニュース59号で、『「KF的反日」思想への批判』という文章を書いている。その中で大森君は3つの点を批判している。
 1)KFの思想、「日本人民は日帝支配者との関係では被害者ではあるが、東アジア人民との関係では加害者である」という日本人民の二重性の規定は誤りである。
 2)KFの思想の結果として、三菱爆破は誤りと考え、自己批判した。そのような思想では、同じ様な闘いも批判されることになる。
 3)日本人民的な思想の持ち主である多くの支援者に包囲され、交流していくうちに、KFの人たちがだんだんと「KF的反日」思想からも後退していった。
 と要約できる。
 これらに対して、私なりの意見を書いてみたいと思う。
 1)の二重性の規定の一方の「日本人民は日帝支配者との関係では被害者である」は、大体正しいのではないか。日本人民という言葉はほとんど死語なので、日本人サラリーマンという言葉で理由を書くことにする(大多数の日本人という程度の意味で)。日本人サラリーマンは、自分の労働の成果の全てを受け取っていない。すなわち資本(家)にサクシュされている。ゆえに被害者である。又、日本の監獄にいる獄中者の大部分は、今のところ日本人である。ただし、日本人サラリーマンの中でも大金を貯金していたり、株をたくさん持っている人たちは、資本と一体化していて被害者とは言えない。また、商社員やプラント輸出企業の社員は、たまに過労死したりするから被害者とも言えないこともないが、第三世界人民に与えている被害が数百倍大きいので例外である。
 2)の三菱重工爆破の自己批判については、KF思想の結果というよりも、“狼”グループの本音であり、死傷者が出ることを初めから予想していなかったのである。
 3)については、「日本人民的な思想の持主」と、大森君から見なされた、ニュースの読者の方が、何か意見を書いてもらえればありがたい。
 ペルーの半数近くの人々が選挙でフジモリを選んだ理由の中に、日本からの「経済援助」をあてにしていたことが含まれていたのはまちがいないだろう。ソ連は第三世界に対する「援助」を停止している。先進国(帝国主義)からの大規模な資本導入を行わなければペルー(国)の経済的発展はできないという状況になってしまっている。このような中で、あえて左翼ゲリラが日本企業を攻撃した意味を考えてみる必要があるだろう。 左翼ゲリラに連帯しようとして、日本企業の経済侵略を批判したら、ペルー人から、「ペルーの経済発展に反対し、先進国だけで世界の資源と富を独占しようとしている」という批判が返ってくるかもしれない。
 しかし、日本企業の経済侵略は批判しなければならない。これが反日の心だ。理由は後からつければいい。
 さっきの森を守る会のニュースの3Pで大森君は、1人あたりのGDP(国内総生産)を比較して「先進国」の人民は大金持ち、ブルジョアであると結論づけている。感性的には正しいと感じるが厳密さがないので意見をかいておこう。
 まず、GDP(国内総生産)という計りでものごとを考えると誤ることがある。ちなみにGDPの単位はドルだ。GDPとは人々の生活の内で貨幣経済に関わっている量を表したもので、豊かさそのものを表していない。先進国の人ほど金まみれになりGDPは高くなる傾向にある。かって未開といわれた人々は、貨幣と縁がなかったからGDPは0ドルあり、テレビも車もクーラーも持っていないが、生活はできていた。GDPが高くなったとしても、生活の実質が豊かにならずに貨幣経済がはびこるだけならば意味はない。
 次に、「ブルジョア」という用語についていうと、大金持ち=ブルジョアというのはあまりにも単純すぎる。私なりのブルジョアの定義は「1、資本の所有者であり 2、自分は労働せず他人(労働者)の労働の成果を収奪し 3、それをもって自分の資本を増やすことにいそがしい人」というもので、日本人の大多数はこの定義にあてはまらない。
 だからと言って日本人労働者が、「先進国」の国民であることによって利益を受けていないわけではない。日本人労働者の賃金と、進出企業で働く労働者の賃金との差による利潤は、資本・国家あるいは商品を通して、日本人労働者に回って来るようになっている。だから、日本人労働者のかなりの人々が、マツタや三菱の自動車を所有し乗り回しているのである。
                    1991年7月11日


 7月13日の夕刊にペルーで、3人の日本人が左翼ゲリラ、センデロ・ルミノソに射殺されたというニュースが出ていた。ペルーの左翼ゲリラは芸がないなぁ、人質にとれば3億円以上の金が手に入ったはずなのに、と思いつつ、日本の海外侵略がもたらしたペルー人民への抑圧について考えていた。
射殺された3人の日本人が、ペルー人に直接危害を与えていたのではないだろう。ペルーの農業の発展のために「良心」的にがんばっていた人たちだったのだろう。しかし、その「良心」がペルーのひとたちにとっては敵なのだ。

 今回、ペルーの左翼ゲリラが、差別的に日本企業と日本人を攻撃してきた理由は、フジモリが日本を始め先進国からの資金援助を導入する政策をとったことにある。金を貸す方の国際通貨基金(IMF)や世界銀行は、貸した金が回収できるように、ペルーに対して様々な内政干渉を行っている。それを受けて、フジモリは緊縮経済政策を取り、左翼に対する締め付けを強めてきた。その結果、貧富の格差が広がった。貧しいペール人をますます貧困に落しこめているのは、日本の「経済援助」とよばれる経済侵略そのものである。
 ところで、IMFや世界銀行の金の源はどこかといえば、おおくの部分が日本の金である。日本人の利子めあての貯金は、廻りまわってIMFや世界銀行の権力となり、第三世界の人々を金で縛り付けるようになっている。働き過ぎ、金を余らせ、貯金する日本人ほど加害者なのだ。
                    1991年7月14日


ものを見る目(2)

            塵 拾志
 2,3年前、小学生の間で「ミニ四駆(よんく)」というおもちやがはやっていた。「ミニ四駆」とは、単3乾電池2本でモーターを回して走る自動車(4輪駆動)のおもちやであり、コースを走らせ速さを競うものだ。子供たちは、500〜1000円で買った「ミニ四駆」を速く走らせるために、ギヤーやタイヤを換えたり、ボディーに穴を開け(軽量化)たり様々な工夫をしていた。このとき、子供たちの意識は、「買った物は不完全であり、自分が手を加えることによって性能が上がる」というものであっただろう。ところで、大人の世界では商品は完全であるべきだという考えが支配的であり、買った物の中身がどうなっているかを知ろうとする人はほとんどいない。
 「ミニ四駆」を発売した企業は、子供たちが、このように改造することは考えていなかっただろう。しかし、子供たちの「改造」の動きを知ると企業は、「これをつければ速くなる」という部品を売りだした。その結果、「ミニ四駆」の流行は下火になり、子供たちはテレビゲームの世界に……。
 「ミニ四駆」には、必ず小型モーターが1個入っている。その小型モーターのすべてが、いまは台湾(高雄)、中国(大連)て、作られているマプチモーターである。マブチモーター株式会社は、海外生産率100%に最近なった企業であり、モーターの精密部品(シャフト)だけを日本で加工し、部品を台湾、中国の子会社(100%出資)に与え生産(組立)を行っている。台湾、中国の工場でモーターの組立作業をしているのは、ほとんどが女子労働者である。彼女たちの賃金は1日350円(中国の場合)ぐらいである。
 台湾の子供たちの間ではテレビゲームが流行っていると伝えられている。では中国の子供たちが、「ミニ四駆」を手にするときは来るだろうか?
 小型モーターはおもちや以外にも様々な製品の中に使われている。ビデオ、CDブレーヤー、ラジカセ、ヘヤードライヤー、シェーバー、カメラ等。また自動車では、カーミラー、ドアロック、ウインドウなど自動的に動くところに使われている。これらの製品を手に入れることができる日本人は、手を使うことがボタンを押すこと以外でなくなってきている。


ものを見る目(1)

「ごみが転じて武器になる。」
                塵 捨志
 日本では、どこへいっても自動販売機がある.それで、売られているものに缶コーヒーや缶ビールがある。それらの缶には、少なからずアルミニウムが使われている。あの白っぼくて、軽い金属のことだ。
 いま、日本の道路、空地、公園などは、空かんやブルタブが転がっていない所はない。この国日本は、死にきれずにいるアルミニウムの生き墓場である。
 アルミニウムの原料は、ポーキサイトであり、乾期、雨期が交替にくる熱帯性気候の地域の地表近くに大量に存在する。インドネシア、マレーシア、オーストラリア、ブラジル等である。数年前までは、日本の軽金属業界は、それらの国からポーキサイトを輸入し、アルミの精練をやっていたが今ではブラジルやインドネシアの日系企業等から精練されたアルミを買っている。日本でやっていることは、アルミの精製(高純度アルミニウムの製造―テレビやビデオに使われる電解コンデンサーの原料)だけになった。
 なぜ、こうなったのかと言えぱ、アルミの精錬は、アルミナ溶融塩電解法というやり方で、それには非常に多量の電力を必要とするからである。日本の電カコストは、ブラジルのアマゾンやインドネシアの水力による低電カコストにはかなわないからである。ただし、水力発電の発電機は日本製であるはずだ。また、アルミの精錬には炭素電極を大量に消費する.それは、熱帯雨林を乾留(炭やき)してまかなわれる。
 これらのことを考えると、道ばたに落ちているアルミ缶やプルタプの中には、熱帯地方の「土」、「水」、「木」が凝縮されている.そして、その土地で生きてきた人々の「血」が。
 金属のアルミは、精練の時つぎ込まれた電力エネルギーを失わずにもっている。そういう意味で、白く光るアルミは生きているのである.つぎ込まれたエネルギーを発散させ、アルミを自然に帰うそう!……どうやって……
 拾ってきたアルミをやすりで粉にし、使用済み「使い捨てカイロ」の茶色い粉とまぜる。
 花火で点火する。

 ごみが出会うと「すごい」ことがおこる。この混合された粉は、点火すると鉄板を溶かして穴を開けるぐらいの高温・高熱を発生する。やってみようという人は十分注意して、高校の化学の教科の「テルミット」の所を必ず読んでから。
 新聞によると、ある党派は、この「テルミツト」すなわち「金属溶融剤」を非公然闘争の「武器」として用いたと報道されている。


塵の部屋
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