大道寺将司くんの今日このごろ

支援連ニュース No.219


★この間たて続けにオウム真理教に関する本を読んでい
ました。といっても急にカルトづいたということではあ
りません。オウムについての単行本が最近文庫になった
からというつまらない理由です。
 それはともかく、そうしてオウム関連本を読み、従来
知らなかったことに気付いたり、考えさせられることが
いくつかありました。
 オウムの目指していたのはシャンバラ帝国の建国です
から、彼らのやろうとしていたのは「革命」だったとい
うことができます。彼らはそれを武力クーデターでやろ
うと考えたので、小銃やサリンなどの化学兵器の製造を
進めたのでしょう。そしてまた、彼らに敵対する警察な
どを排除し、捜査を攪乱するためサリンを撒布したと考
えられます。部外の者には意味不明の一連の事件が、彼
らには論理的なものであったのです(同意はしませんが)。
 ところで、当時のオウムの信者は、出家、在家会わせ
て約五千人だったようですが、そのすべてが初めからオ
ウムの教義を信じて信者になったわけではありません。
身体が弱いので健康のためヨガ道場に通ったらそこがオ
ウムの施設だったためオルグされたという者たちが少な
くないようです。ヨガをやるのですから西洋近代文明に
懐疑的なニューエイジ思想に惹かれる素地があったので
しょうが、それが即カルト信仰に結びつくわけではあり
ません。結局、彼らはオウムの説く「革命」に惹かれて
いったと考える他ありません。
 そこで考えるのは、現状に不満を抱いている若者たち
が左翼革命諸派ではなく、カルト組織に掠めとられてし
まうことについてです。若者たちは大学などで革命諸派
と接点があるはずですが、その理論も行動も彼らの琴線
に触れないのでしょう。それがなぜなのかを考える必要
があると思います。
 なお、ぼくが厖大な新聞報道に接しながらオウムが何
をしようとしていたのかをはっきり把めなかったのは、
カルトへの敬遠があったからです。また例えば、上九一
色村の居住棟や修業棟の並ぶ中にサリンの原材料を運ん
だり、外部からでもそれと分る工場を建て、そこで製造
するという彼らの無造作すぎる感覚が理解できなかった
からです。合法活動と非合法、非公然のそれとの曖昧さ
がひどい、と。しかし、彼らは何年も先にではなく、一
年以内にクーデターを起こそうとしていたのです。だか
らあんなに大胆だったのでしょう。
 警察との攻防にも知るべき点は多々あります。
             2000・10・30 大道寺将司


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