支援連ニュース No.232
★9・11以降、アフガニスタンとイスラム「原理主義」
に関する本を何冊か読みましたが、その中で、印象深く、 考えさせられたのは、『アフガニスタンの仏像は破壊さ れたのではない 恥辱のあまり崩れ落ちたのだ』(モフ セン・マフマルバフ著・現代企画室)、です。 本書の標題になったマフマルバフの発言は、朝日新聞 の「天声人語」で二度にわたり取り上げられたのでご存 知の方も多いことでしょう。“仏像は世界に、このすべ ての貧困、無知、抑圧、大量死を伝えるために崩れ落ち た。しかし、怠惰な人類は仏像が崩れ落ちたということ しか耳に入らない。……誰も崩れ落ちた仏像が指さして いた、死に瀕している国民を見なかった。”と。 確かに、世界は、二〇〇〇万人のアフガン民衆が飢え、 この冬には一〇〇万人が餓死するかもしれないというの に、そのことには無関心のまま、パーミヤンの仏像を哀 悼し、それを破壊したタリバンを非難した。スターリン の言ったように、「人一人の死は悲劇だが、一〇〇万人 の死は単なる統計に過ぎない」とでも言う如くに。 マフマルバフは、日本では殆んど情報のないイラン側 のアフガン難民の悲惨な状況にも触れています。多くの 人に本書の一読を勧めます。 石仏の崩壊、そして、9・11自爆行動は、この二〇年 間で人口の一〇%にあたる二五〇万人が餓死あるいは 戦死し、人口の三〇%にあたる六五〇万人が難民とな ったアフガンに世界の目を向けさせようとしたものだっ たのかもしれません。しかし、世界は、米国を筆頭にア フガン民衆への無差別的爆撃で応えたのです。その上、 米国に荷担する日本政府は、難民申請したわずか数名の アフガン難民を強制収容し、国外追放せんとしています。 これが人道支援の内実です。今後、何体の仏像が崩壊し、 どれだけ餓死することを世界は必要とするのでしょうか。 ★丸ちゃんが旧赤の海外組の諸氏に言及していますが、 彼らは雪隠詰めの状態に置かれているのだろうか? 解 散についての彼らの声明は、覇気も主体性も感じられず 失望しましたが、でも彼らを支持した者として、むざむ ざパクられることのないよう強く念じています。獄中か ら、丸ちゃんやゆきちゃんが彼らに発破をかけることは できないものなのかな? なお、死刑廃止と帰国問題を 机上の理論で絡めない方がいいと思うのですが。 ★伊藤さんの訪韓記は心強い。韓国、そして、台湾の死 刑廃止を実現させたいですね。そうなれば、案外中国の 方が日本より先に死刑を廃止してしまうかもしれません。 2001・11・29 大道寺将司 |