大道寺将司くんの今日このごろ

支援連ニュース No.244


★年末に死刑が執行されるのではと懸念しましたが、阻
止できました。しかし、森山法相は執行を公言していま
す。今年こそ執行停止を実現したいものです。ご協力を
よろしくお願いします。
★『マルコス ここは世界の片隅なのか グローバリゼ
ーションをめぐる対話』(イグナシオ・ラモネ著・湯川
順夫訳・現代企画室)を紹介します。
 一九九四年一月一日、北米自由貿易協定の発効に反対
して、メキシコのチアパス州で、先住民のEZLN(サ
パティスタ民族解放軍)が武装蜂起しました。本書は、
そのEZLNのマルコス副司令官(目出し帽にパイプ姿
の非先住民出身のスポークスパーソン)に、『ル・モン
ド・ディプロマティーク』論説委員で、反グローバリゼ
ーション運動のATTACの創設者の一人であるイグナ
シオ・ラモネが行ったインタヴューです。
 マルコスが語るEZLNの主張は、先住民に伝承され
た民話がちりばめられ、それらについての知識がない者
には、寓話なのか、詩なのか、言葉どおりのメッセージ
なのか判断できかねる晦渋なものでした。しかし、本書
では外国人に向けて語っているものであるため、EZL
Nの目指すところも、グローバリゼーションへの対抗を
めぐる見解も平易な解説になっています。
 印象深いのは暴力についての主張です。「EZLNが
闘いを通じて目指しているのは民主主義と正義と自由を
要求するためにもはや地下にもぐったり武装したりする
必要がなくなるような事態なのです。われわれは消滅す
るために闘っているのだと言っているのはこうした理由
からです。武器によって権力を握った者はけっして統治
してはならないとわれわれは考えています。」・「われ
われはいつの日か兵士がもはや必要でなくなるようにす
るために兵士になった戦闘員なのです。われわれはもう
兵士がいなくなるようにするための兵士なのです。」
 アメリカ帝国とグローバリゼーションの跳梁に歯噛み
しながら、それに対抗する原理主義に基いた宗教的、あ
るいは民族的な闘いには同情を覚えつつも、その暴力的
不寛容性には展望を見出し得ない者に、EZLNは別の
道があることを示してくれています。日本で闘う者にも
多くの示唆を与えてくれるでしょう。
 なお、本書には、二〇〇一年二月から三月にかけてE
ZLNが行った首都への行進の際に発表された声明など
が資料として載せられているのですが、女性司令官エス
テルが国会で行った演説は実に感動的です。これだけで
も多くの人に読んでもらいたいと思うほど。
              2003・1・1 大道寺将司





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