支援連ニュースNO.226

丸岡修さんの@宮刑たより

 いつもニュースをおおきに! 三月号(二二三)は四/十二に交付(三/二十八受付)。
 あゆむさんの表紙の絵がええね。巻頭コラムに書かれたあゆむさんの状況は、十五年ぐらい前に中村敦夫がTVで「ホームレス特集」を取り上げた時と何も変わってへん。私の伯父の一人も美術の教師をしていたので身につまされます。神戸で震災被害を受けた親類も多いし。
 「宇賀神さんからの便り」。彼は四カ月も東拘に止められていたんやね。まずいめしのところで。人生四カ月分の損分は、それだけ長生きすることで元をとられたし。一三九信で私の「ザ・パスポート」九十五号での文章を評価してもろうて、おおきに。他に賛成表明はゆきちゃん、ST氏(旧赤軍派)の二人。一人でも反応があれば、書きがいがあります。ワープロ打たされた者も浮かばれます(生きてるちゅうねん)。
 「日本赤軍問題」について書く予定はなかったんやが、将司氏に先入観があるのと、浴田同志(以下、Eと記す)が充分に説明しとらんので書くことにしました。
 「日本赤軍問題」(四月の重信同志による解散表明と私は全く同じ立場にあるので、今後は旧日本赤軍の意で「赤」と記す)

1.弾圧状況。
 四月までに「犯人隠避」関連で7人が巻き添え逮捕され、五人が起訴(うち四人はすでに保釈)。関東ではN川氏が三/九に、M田氏が三/二十六が拘束された。N川氏の連れ合いは社民党参院選候補を辞退に追われた。M田氏は自由連合の衆院選候補でもあったとのこと。今回の弾圧の特徴は、赤系公然組織の登場の阻止だけでなく、民主的諸勢力にまで政治的ダメージを与えようとしていることにある。現職市会議員宅のガサやNGOの事務所のガサまでやられ、「赤」とは無関係の勢力にまで手を広げている(三月十五日に一五〇ほどの市民団体が、共同で無差別ガサに対して抗議声明を出した)。あるNGOでは私からの年賀状まで押収されている(還付された)。他方、検察は、司法改悪の「刑事弁護ガイドライン」の先行実施かのように、重信の弁護人に対して「懲罰提起するぞ」などと恫喝を加えて正当な弁護活動を妨害し、元メンバーを脅かして「重信関与」の調書の捏造さえやろうとした(拒否されて失敗)。山本公判でも「元関係者」の証人による「重信指示」の調書を持ち出してきたが、公判でその証人は「検事の作文」であることを明らかにした。このような無茶苦茶が堂々とやられているのである。これが治安弾圧の状況である。

2.浴田同志(E)の文章について(三月号まで)。
 将やんからの二月号での批判を三月号でEは「しっかり受けとめる」と書いている。考えに違いはあるのに、批判をすべて受け入れるかのように。「自己批判を(革命の)指導性の柱とする」私らの立場として、この間の組織的敗北を自己批判するのは当然だが、将やんの誤解と疑問を解かずに「その通り」と書くのは、逆に誠意に欠ける。将やんのは、一言で言って、「(現実)路線(化)に敗北の根拠がある」というもの。しかし、Eは「路線に誤りはない」と書く。であるならば、何を受け止め、何が違うかを書くべきだろう。二一九号で「逮捕されないことが任務である。強く勇壮なだけが革命家の勇気ではない」。文章表現としては格好良いが、前者は丸岡起草の「保安原則」やそれ以前の「赤」の規約にもあることだし(「被逮捕は敗北の一歩」と明言)、後者は事実ではない。Eの被逮捕は「強く勇壮」のためなのか。違う。レバノンの五人も重信も私も違う。我々の誰もそんな理由で逮捕されてはいない。保安の不徹底さにある。国内の態勢づくりは、二十年前からの既定方針であり、重信が「強く勇壮」のために帰国したのではない。Eも支持する「公然合法部分の登場(赤自体の合法化ではない)」に将やんは反対しているのである。なぜか。彼が「赤自体の公然合法化」ととらえ、それを「被手配者の帰国路線」と大きく誤解していることからくる。もう一つは「現実的路線」に反対だからだ。自己批判は自己批判として、まず誤解を除き、路線を得る(支持は別)ように書くべきでは。
 「日本の運動状況を把握していない」をどのような意味で使っているのかな。将やんのは「赤が帰国してもそれを受け入れる政治状況はない。日本国内の様々な運動が右傾化しているのに『現実路線』は現状追認である」である。Eの論を具体的に受け止めれば、「国内潜入をすべきではなかった」ということになる。私が昨年九月に「国内状況を正しく把握していない」と獄外同志たちを批判したのは、「自分たちが運動を担っている人々にどのように受け止められているのかを把握しているのか。国内同志や赤支持の友人たちの報告のみで判断していないか。味方内の不支持の人々の意識を知るべきだ」という点においてである。情勢的なこと、諸運動の状況等については獄中者以上には把握しているだろう。合法性を持つ者は国内にも居るのだから。Eの書く「人々の望む役割を自覚的に把握し検証され鍛えられていく在り方を我がものとする闘い」に向かうものとして私らの今の方針があるはず。
 政治亡命ではなく非公然の活動をする以上、被逮捕も死もある。問題は、不用意にパクられる私らのあり方であって、パクられること自体ではない。

3.将司氏の意見について。
 二二〇号「彼女は逮捕されることを覚悟して帰国したのか」と書かれている。私らは被逮捕や死は常に覚悟しているが、逮捕されるために帰国することはない(脱党者は別)。あくまで日本での革命準備のための「帰国」である。パクられたから開き直って「公然性を得た」と表現している。私の時もEの時もそう宣言している。「転んでもタダでは起きない」精神で。敵は「負け惜しみ」と言う(笑)。合法性を得るために逮捕されるのは本末転倒であり、そのような路線はとらない。ただし、政治分野の指導者(重刑でないことが前提)や微罪(執行猶予が可)の者は、合法性獲得のために準備の上で堂々と帰国する方が攻撃的ではある。重信の言う「来春に司法に身を委ねて」(二〇〇〇・十一)云々はそういうことであり、国外で日本赤軍の解散を宣言して堂々と帰国する計画であったのだろう。途上でやられたのである。残るは松田同志だけではあるが、自ら出頭することはないし、他の五人(後述四人+仁平同志)にも絶対ない。
 同号の「狼の同志でなくてよかった」という書き方は将やんらしくもない。気持ちはよく分かるが、他のメンバーなら良いということではないはず。旧「連赤」の坂東同志も、「ナポリ事件」をデッチアゲられた奥平(弟)同志も日本か米国に送られれば(伊では「無期禁固」の欠席裁判判決)、極刑である。あや子同志、規夫同志も入れての四人は「死刑何するものぞ」という態度ではあるので(それ自体はまちがいではないが)、私はE拘束後のパンフに何度か「捕まらないことも闘いである」と書いてきた。本人たちのためにも確定者のためにも。
 「里心も敗北主義も」私らにはない。誤解があるようだが、公然合法性の獲得は、被手配者が逮捕されて公然化するということではなく(結果としてそれもある)、公然合法部門を登場させるということである。IRAにも中核派にもあるように。E救援の中から出た批判「赤は赤の者の救援に関わろうとしない」に応じるためには、今までのように非公然に徹するだけではできない。そういうことも含めて裏方では認められないのだから、表に出たらどうか、と九十五年から私は言ってきた。
 「路線転換でタガがはずれた」について。路線と敗北主義の因は別問題。外因は敵との力関係の変化(旅券一つとっても、今の日本の旅券の偽造には紙幣以上の技術が必要)による「解放区」の縮少。内因は地下活動技術の我々の稚拙さと敵の過少評価と拙速にある。「路線転換」と言うが、少ない情報量にも拘わらず宮城在のK田T氏は、「草の根通信」一月号で的確に指摘されている。「…今日の事態は、アラブ赤軍から日本赤軍に名称を変更した当時(丸岡注・七十四年)から予想されたわけで、その意味では(革命の)宿命であるといえる」。更に、マスコミが「他の活動家と違って重信は尾行がないか後を振り返らない」と書いたことに対して、氏は、指名手配をされている者にとってそのような警戒は逆に不審感を抱かせるし、尾行がついたらそれでおしまいなのだから無駄な行為はしない、と書かれている。その通りである。第一、彼女には旧赤軍派時代の経験もあるし、東アの教訓も聞いている(尾行点検が尾行者に確信を与えた)。私の時は逆に、警察発表は「キョロキョロ尾行を点検していた」である。そんなことを私はしていないのだ。
 私ももちろん上記四名の拘束が無いことを強く望んでいるが、状況は極めて不利である。「冷戦」の終わりは、米国中心の「新世界秩序」の下にあり、「赤」だけでなく、世界の革命運動、民族解放運動は後退を余儀なくされている。日本では左翼も反ソだから「ソ連・東欧崩壊」が世界の革命に及ぼした影響を過少評価しているが、国際革命運動においてソ連の果たした役割は大きい。反帝であった非同盟諸国会議の崩壊もソ連圏の崩壊の結果だ。PLO(パレスチナ)、サンディニスタ(ニカラグア)、NPA(フィリピン)、RAF(ドイツ赤軍派)、PKK(クルディスタン労働者党)等々、それぞれに個別化、路線転換を余儀なくされた。PKKのオジャラン議長でさえ、ヨーロッパのどこの国にも政治亡命できなかったのである。十年前にはありえなかった。「赤」のレバノンでの拘束もありえなかった。日本の左翼の想像以上に、国際革命運動は連関していた。後退局面で、攻勢期の路線をとることはできない。

4.利明氏の意見(三月号)について。
 予想通りの利やんの意見である。ゆきちゃんは四月号にそれに対しても「全くその通り」と書いているだろう(笑)。将やんは「出頭などとんでもない」と書いてはるやろう。
 小泉の支持率が八十%にもなるような政治状況で、共産党ですら大変なのに、人々に認知されることが困難なのは承知。しかし、非公然非合法に甘んじていては、何も変わらない。「被手配者を抱えていてどうするのか」。日本の革共同中核派にしろ、IRAにしろ、公然合法と非公然非合法を持っている。IRAにはシンフェイン党があり北アイルランド議会に議員を出している。中核派も一方に「中央軍」があり、一方では区議や前都議もいる。それに何よりも私らだけで革命ができるなどとは全く思っていない。全体の一部分を占めるにすぎない。その上で、必要な役割を果たすだけである。十年後に、蒔いた種が花開くか立ち枯れているか、Eらの頑張りにかかっていると書いておこう(笑)。

5.「タカ派首相舞い上がりて春に闇」
 暗すぎる俳句もどき。まぁ現実は現実。それだけ現状に不満を持つ人々が多い証拠。
 皆さま、ご健勝! 辞書から「悲観」の語を削った男より。

(家族あて手紙・5月分より)

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