以下は司法記者クラブの記者の方々への要請ビラです。

●死刑確定囚への証人尋問を密室で行わせないために
報道関係者の協力をお願いします

2月10日午前10時から東京拘置所で行われる
東アジア連続企業爆破事件被告 浴田由紀子さんの裁判での
死刑確定囚大道寺将司さん、益永(旧姓・片岡)利明さんへの
証人尋問への取材を要請します。
一九七四年八月の三菱重工本社爆破事件から翌年五月に一斉逮捕されるまで続いた連続
企業爆破事件は、日本の侵略戦争の反省を怠り、新たな経済侵略を開始していたこの国
の姿に、大きく問題を突きつけたものでした。この事件をおこした「東アジア反日武装
戦線」青年たちは、当時みんな二〇代でした。彼等が何を憂い、どのように決断してこ
うした行為に取り組んでいったのかは、松下竜一氏の作品『狼煙を見よ』に詳細に描か
れています。
逮捕後、浴田由紀子さんら数名が日本赤軍によるハイジャックにより「超法規的措置」
として身柄を解放されましたが、大道寺将司さん、益永利明さんらの裁判は続けられ、
一九八七年最高裁で二人への死刑判決が確定しました。現在、三菱重工爆破事件に殺意
はなかったとして再審請求がなされていますが、死刑確定囚として、二人は東京拘置所
の中で、ごく限られた親族と再審の弁護人以外誰とも面会、文通ができない状態でこの
一〇年以上を過ごしています。

さて、浴田さんの裁判では死刑確定囚への証人尋問を東京拘置所内で行うとの決定が出
されましたが、弁護団は、別記のように6項目の要望を裁判所に伝えていました。これ
にたいし、検察官は一月一四日付で最後の項目以外、認められないとの意見書を出し、
裁判所もまた、最後の項目を除き「職権を発動しない」との回答を一月二六日弁護団に
伝えてきました。
検察官は要望を認めない理由を多々あげつらっていますが、つまるところ、死刑確定囚
と一般の社会を触れさせたくない、ということだと私たちは判断します。こうした完全
隔離の処遇方針、処遇実態こそが、昨秋、国連の規約人権委員会でも「死刑囚の収容状
況を人道的なものにするよう勧告する」と批判されているのです。
浴田裁判における死刑確定囚への証人尋問を少しでもオープンな形で行わせることは、
こうした状況へ文字どおりの風穴を穿つものです。このような機会は前例もなければ今
後もないことでしょう。
弁護人が訴えるように、東京拘置所で行われるとしても、例えば報道関係者の傍聴だけ
でも認めることは何ら問題にはならないはずです。また、こうした裁判を取材すること
こそ報道に求められていることではないかとも思います。

証人尋問は何回も続きます。
私たちはあくまで公開裁判を要求し続けます。
問題の重要性を理解いただき、報道関係者の方々も、裁判所に対して、傍聴を認めるよ
う働きかけてくださるよう訴えます。
ゆきQ(浴田由紀子さんを救援する会)


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