被告人 浴 田 由 紀 子
右の者に対する爆発物取締罰則違反等被告事件に関し、左記のとおり所在尋問期日の
実施方法に関する意見を述べる。
一九九八年一二月二四日
右弁護人 川村 理
同 内田雅敏
同 藤田正人
東京地方裁判所刑事五部 御中
弁護人としては、本件所在尋問が、裁判公開原則等を出来る限り損ねないために、当
裁判所に対し、以下の措置を御検討願いたい。
一 要望の一
本件については、大道寺、益永の証人尋問を東京拘置所においてなすことに決定した
が、所在尋問の場合について、一般の傍聴を禁じた明文はない。
よって、拘置所内での一般傍聴についてこれを可能とする措置を検討していただきた
い。
二 要望の二
右が不可能な場合は、報道機関の傍聴に限り、これを可能とする処置を検討していた
だきたい。
なお、これが可能であったことは、かつてオウム真理教の破防法の教祖弁明手続が、
東京拘置所内で実施され、報道機関がこれを傍聴した実例から明らかである。
三 要望の三
右が不可能な場合には、証人尋問の様子をテレビ中継し、一般傍聴可能な場所でこれ
を同時放映していただきたい。
新民訴法は、いわゆるテレビ会議システムによる尋問を規定した(民訴法二〇四条)
が、このシステムを応用すれば、同時中継が可能である。
四 要望の四
右が不可能な場合には、証人尋問の様子を録画録音し、後の公判期日でこれを再生し
ていただきたい。なお、この場合には、公判調書の取調は、ごく簡単な要旨の告知にと
どめる。
さらに、併せて刑訴規則二一四条に基づき、弁護人が証人尋問の状況を録音すること
の許可を申し立てる。
五 要望の五
なお、証人らの外部交通の制限により、被告人は、証人テストが全く出来ない状態に
ある。従って、証人尋問に先立って、約一〇分間、弁護人、被告人と証人との打ち合わ
せ時間を設定していただきたい(かつての連合赤軍事件統一公判組では、弁護側証人で
ある受刑者の出廷の際、同様の措置が取られた実例がある)。
六 要望の六
証人らは、全日の法廷で証言し続けることに不安感を表明している。これは、証人ら
の外部交通が閉ざされた結果、ここ約一〇年にわたり、証人らが三〇分以上の会話を経
験していないのだから当然である。
よって、証人らの消耗が明らかに認められる場合には、適宜尋問を中止、休止するな
どしていただきたい。
また、証人らは、ここ約一〇年にわたり、接見室での会話しか経験していない結果、
大きな声を出し続けることにも不安感を表明している。よって、証言台に、飲み水やマ
イクを設置するなどして負担を軽減していただきたい。
以 上