シャコのリハビリ日記(その29)

旅って、いいよなぁ。フーテンの寅さんの旅に憧れているんだよねぇ。その旅、旅での出会いの面白さ。いいよなぁ。私も、昔、そういう旅をしたことがあった。全国指名手配中の逃亡者としての旅。その時に、染み付いた旅人根性が抜けきらない。抜けきるもんじゃないよな。 私が、定職につかないのもフーテンの寅さんと同じようなもんか な。旅しながらの仕事ってのは、ないのかね?
只今は、海と山がすぐ近くにある所で出稼ぎ仕事をしている。ここは、風光明媚な所なので、毎日、目を楽しませて貰っている。なんたって、そこらを美女がウヨウヨ歩いているんだから、たまらんなぁ。な〜んてことを書くと、またまた顰蹙を買いそうだ。しかし、何でここには美女が多いんだ?私は、海をボケ〜ッと見ているのが好きだな。いや、もちろん、美女をじっくりと見ているのも好きだよ。けっこうジョッキングしたり、ウォーキングしたりしている人がいる。健康ブームなんだろうな。
岸壁では、釣りをしている人がたくさんいる。この辺で釣っているのは、近所の人だけではなく、チョッと離れたところからも来ている人もいるようだ。しかしなぁ、釣っている魚がタナゴみたいなやつなんだ。それを長いリッパな竿で釣っているんだからなぁ。今夜のおかずにでもしようっていうのかな。
さて、山を見ると、まだまだ初春ってカンジか。食事の下準備で、よく買物に出かける。近くには、八百屋がけっこうあるんだが、ひとつ馴染みの店も作った。そこのオッちゃんがなかなか人の良さそうなカンジなので、よく通うようになった。少しおまけしてくれたりもする。よく行くスーパーのオネエチャンは、なんかツンツンしているけれど ね。しかし、毎日の献立を考えるというのも大変な仕事である。私は、主夫希望なのだが、いささか考えているところだ。まあ、主夫希望と言っても、シングルではなれないわけでして、そこらあたりも追求したいところだ。何が「そこらあたり」かは、省略。
 先日、豆腐作りに挑戦してみた。大豆を一晩水につけてからミキサーにかけたまでは良かったと思う。絞った豆乳を煮たのもよかったと思うのだが、ニガリを入れてもいっこうに凝固が始まらなかったな。どこがいけなかったのか?せっかく、辺鄙なところで、大豆を手に入れたというのに…。それにしても、豆腐作りというのは大変なものであ る。松下センセって、えらいなぁ。美味しい豆腐を作れたんだから、ホント、えらいもんだ、と改めて思った。その前に作った、納豆はうまくいったんだよなぁ。まあ、アレ は、買っておいた納豆をタネにして、煮た大豆に混ぜ込んで増殖させただけだから、大して難しいものではない。おかげで納豆をたくさん食べることができた。しかし、そう納豆ばかり食べてもいられない。豆腐作りの方をナントかマスターしなければならない。早く豆腐を食べたいもんね。料理を作っていて思うのは、味噌と醤油がないと、日本料理というのは物足りなさを感じてしまうな。まあ、少しづつ料理の仕方も分かってきたので、私にとって今回の仕事は、大変為になった。
知らない土地に来て、2ヶ月も生活すると、いろいろ身についてくることもある。これまでの私は、チョッと世間知らずだったというところ大いにあり、だった。そりゃ、そうさ。獄中21年間というのは、人生の半分だったから、世間とのズレが出るのは当然だ。私が逮捕される前には、テレホンカードなんてなかったもんな。ワープロだって、どでかいものだった。パソコンだって、そうだ。とにかく、雑多な物がゴッチャと目の前に積まれたってカンジ。
あと少しで、出獄して丸3年経つな。なんかもっと経ったような気もするが。
    

SHACO
inserted by FC2 system