シャコのリハビリ日記(その39)

 このところウツ状態が続いている。ウツになると全てのことが後ろ向きにしか考えられなくなる。だから積極的に物事に関われなくなってしまう。困ったものである。
ウツ状態が長くなってきたからなのか?元からあった性格がさらに歪んできてしまったようだ。(…というよりは、地の性格が顕になってきたということかな。)更に、気持に余裕がなくなってきてしまって、他者との付き合いがうっとおしく感じられ、対し方がピリピリ状態になってきてしまっている。それで、ますます泥沼にはまっていくのだった。悪循環っていうヤツだね。再評価カウンセリングのセッションを何回もやっているのだが、このところ、ますます内的混乱がひどくなってきているようだ。
これは、いわゆる「好転反応」というやつかもしれない、などと希望的に考えてみたりしているが、さて、どんなものだろうか。この状態から、私はいつ這い上がれるだろうか?今は、総ウツ状態の時代なのだろうか?確かに、騒がしく、賑やかな風潮ではあるが、その根底にあるのはたくさんの「ウツ」ではないのか?子どもの時には、「ウツ」なんてものは、あまり関係なかったのになぁ。大人になる中で、いろんなしがらみが纏い付いてきて、それが今のウジウジした私を形成してきたようだ。
 母との生活は、母の病状がまだ認知症の初期であるので、それほど大変なことはない。とにかく、良く動く母である。最近では、朝5時おきということはなくなってきたが、朝6時過ぎには起きて、まずは洗濯を始め、洗濯物を干す。その次には、朝食作りだ。相変わらず鍋を何度も焦がしている。朝食後には、掃除を始める。
いやはや良く動くものである。何十年となく続けてきたことだから、その動きが身に染み付いてしまっているのだろう。足が痛い、体中が痛い、と言いながら動いしまっているのは、業なのか?アリセプトなどのクスリを飲むように、出して促すのは私の役目だ。飲むのを忘れてしまうこともあるので、母に任せることはできない。クスリを飲んでもらうのにもケンカになってしまうこともある。朝早く、私が仕事に行く時などには、「食べたあとで飲むクスリ」と書いた大きなメモ用紙の上にクスリをのせて置いて出て行く。それでも飲むのを忘れられてしまうこともある。
また母を医者に定期診察のために連れて行く時に、良くケンカしてしまうこともある。「私は、丈夫だよ。」などと言って、医者へ行くのを拒否したりする。そう言っているくせに、足が痛いとか、身体中が痛いとか訴えたりしてくるのだ。それでやっとのことで、医者へ連れて行っての診察後、相性の良い医者なのだろうか。医者と話した後はケッコウ上機嫌となっていたりする。連れて行くまでが大変なのだ。
最近は、短期記憶力の低下が目立つぐらいか。相変わらず鍋は時々焦がしている。冷蔵庫の中を良く見ることができなくなっているようだ。冷蔵庫に入れたものを忘れてしまい、腐らせることが目立つようになった。周辺症状としての物盗られ妄想は、一時期ほどのひどさは、今はあまりない。母に同じことを何度も聞かれることには、私も「さっきも聞いたでしょう。いいかげんにしてよ!」とつい感情的な対応をしてしまう。なんでもっとやさしく対応してやれないのだろうかと、私は、それが起因となって、また「ウツ」のドロ沼に足をとられていくのだった。
テレビを見ていたら、認知症の人との付き合い方をテーマにした番組が多くなった。それだけ「認知症」が社会問題化しているということだろうか。そんな番組を時々見たりしている。介護する人の対応段階が4段階あるそうだ。「驚き」→「怒り」→「ウツ」→「受けとめる」だったかな?私なんかは、今3段階目かな?もう少ししたら、母の状態をあるがままに受けとめて、やさしく対応していけるようになるのだろうか?ナンカ難しそうである。
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