〈定期第110信〉

 私の方は、あいかわらず元気でやっている。今冬は寒さが厳しい、とか長期予報があったのだが、どうなってんの? というところだな。しかし、おかげで霜焼けにもそう悩まされずにすんでいるので助かるが。いよいよ温暖化は危機的状況に入りつつある?!
 11/24 私は勿論出なかったが、わが工場と他の工場との軟式テニス試合があった。各工場かから代表選手が6名づつ出て、2人1組でやるもの。いろいろ珍プレーも出たりして観戦しているだけでもおもしろい。例年は7月か8月頃やられるのだが、今夏は天候不順の為、遅れに遅れて晩秋にやることになってしまった。それで、テニスの次にやる筈だったソフトボール試合は、予定では12/14からだったが、練習中、捕球時に2名が指骨折したということで中止となった。寒い時期のソフトボールは全面禁止となり、野球道具も全て引上げられてしまった。今年はほんと、異常気象によっていろいろ影響が出てきたなぁ。さて、テニス試合の方は、この日はわが工場が勝ったが次の日は他工場に敗退。
 11/27、10/26に公費通信教育(書道基礎講座)、応募していたのだが、その受講が許可された。
 公費教育の科目はこの他にもペン習字とか簿記2級、3級など幾つかあったな。今回はいつもより科目数は多かった。私は、字が下手なので、なんとか上手になろうかいと一念発起したわけだ。書道ってのは、けっこうおもしろそうだしね。トシも書道を勉強したい、なんて以前書いていたっけ。しかし、テキストや封筒などはもらえたが、書道道具は自弁というのはちょっと痛い。ま、その分、しっかりと勉強してやろうかい。
 18:00〜 諸動作優良工場褒賞VTR ウーピーゴールデンバーグ『チャンス!』
 11/29 9:00〜2・3級集会 VTR『サイバージャック』
 11/30 11/10に自所木工塗装(うるし塗り)職業訓練生募集に応募していたのだが、またもや不許可告知されてしまった。今回は他刑務所へ行っての訓練ではないので、私でも支障ないから大丈夫だろうと期待していたのだが、またもやってところ。仕事は、椀など小さな器にうるし塗りをする、という、一応伝統工芸的なものなので、やりたいなぁと思っていたのだが。
 12/1 名古屋矯正管区の文芸誌『わらく』の川柳部門で銅賞(優良)を受賞。図書券500円。被収容者美術文芸作品コンクールに出品したもの。昨年は銀賞であったが今回は落下。しかし、水彩画、短歌、俳句も出したんだけれどなー。それらは、ダメだったみたい。やっぱヘボなのであろうか?! しかし、川柳は、どうもキレがなくてなぁ、私のものは。
 12/4〜 仮就寝時間を現行の18:30〜を18:00〜へと繰上げるとの告知(カゼ予防)
 12/5〜2/27までの毎土曜日夕食時、ショウガ湯とレモン湯を交互に給与していくとのこと。私としてはレモン湯よりもショウガ湯だけとしてほしかった。
 12/6 医務課VTR『エイズを正しく知ろう』(厚生省製作)。年2回は見せられているのかな。
 12/7 総転房。あいかわらずの部屋であるが、今回は畳がマシであった。毎年この総転房があると、いよいよ年の暮れだな、という思いになる。
 12/10 11/11に出願しておいた、エスペラント通信教育を受講できるよう取計らってほしい旨の教育統括面接願の回答が行われた。文部省が認定している通信教育でないので許可基準に当てはまらないので不許可というようなことであった。しかし、文部省認定でないから受講できないってのは困るよな。せっかく、出所後もずっと続けていく生涯教育のつもりでやろうと思っているのに。憲法でも唱われている学習権を尊重してくれるといいのだがね。学習意欲があるのに制限が多いと困ってしまう。でもエスペラント通信教育って認定されてなかったの?
 12/13 山口刑務所職業訓練生募集に「総合営繕科」で応募する。この他に「数値制御科」「左官科」もあった。いずれも全国で2〜3名。私もしつこいよなぁ。どうせダメだとわかっていながら応募するのだから。「総合営繕科」というのはナンデモ屋さんといったところか、アーク溶接から畳までやるそうだ。私は畳張りをやるというので、それに興味があったので応募。職人さんみたいな仕事がおもしろそうだと思っているからね。
 12/19 9:00〜10:00 ワープロクラブ。最後のワープロクラブであった。6ヵ月6回のクラブ活動ではあまり進歩しないなー。キーボードに毎日触っていればそれなりに上達してくるだろうけれど。1ヵ月に1度しか触れないのでは、忘れてしまうものなー。出獄したらパソコンを使ってきつちりやってやろう。パソコン使えないと中高年は職さがしも大変なようだから。
 10:30〜11:30 クリスマス会。内容は例年、変化なし。賛美歌→大正ごと演奏→牧師さんの話→賛美歌と。変化と云えば背におんぶされていた赤ちゃんがヨチヨチ歩き始め、とうとう今年は元気に歩き回っていたことか。子どもの成長を見るのは楽しい。
 12/22 敷布、枕カバー、毛布のえりあてカバー、雑巾3枚、ふきん、クリペット(浄水器)の交換。新年を迎えるにあたって新品に交換といったところ。雑巾は、今回はタオル地のものとなった。

[差入れ][11/24]『修羅に生きる』、草の根通信312号〈平山まゆみ〉[11/27]新生529号〈立志社〉 人民新聞号外、同11/5号〈日角八十治〉 [12/3]人民新聞11/15号〈日角八十治〉 [12/9]現金5000円、『ライン村上龍』、ぎ・お・ん・ま・ちだよりNo3〈平山まゆみ〉 [12/10]新生350号同351号〈立志社〉 [12/15]ザ・パスポート78、意見書、アラブパレスチナの人々と〜〈帰国者の裁判を考える会〉日雇全協ニュース93号〈日雇全協〉 [12/17]支援連ニュースNo.196〈東武央〉 救援356号〈QRC〉 模索舎月報12月〈模索舎〉 人民新聞11/25号、同12/5号、同号外、年末カンパにご協力を〈日角八十治〉 以上。いつも差入れどうもありがとうございます!
 「支援連ニュースNo.195」珍しく抹消なし。さて12/24の公判はどうなるのか? たしか11/24の決定は非公開とされたと中日新聞に載っていたが。丸ちゃんの判決は来春になってからとちがうのかな。刑務所のゴタつく異動期の前に移監させないのじゃなかろうか? そして判決後2ヵ月前後は東拘に止められるかもね。
 「ザ・パスポート77」はP19の下から2行目の特定の個人名が1名分抹消。丸ちゃん、あいかわらず、書きまくってるなぁ。誕生日おめでとう!と。しっかりと教えてもらった、毎年! ゆきちゃんもおめでとう!
 まゆみちゃんからの現金しっかりと受け取った。12/7に呼び出しがあったので行ってみたら、職員3名立会いのもと、そこで書留の封筒を開封し、中身を確認した。今回初めてだったな、こんなにしっかりした手続きは。これまでは、差入れ伝票が示され指印するだけだったものな。この間職員による不祥事があったので、今回のようになったのかもしれない。名古屋矯正管区では2件の不祥事があったのは新聞TVなどで知っているかと思うが。福岡管区だけが突出して職員を告訴してるかと思ってたが、どうやら全国的に指示が上から出されている、と考えた方がいいみたい。法務省としては職員にもきつくなったということかな。
 「CPR News Letter No20」は16頁の左側から5行目〜6行目(「人権救済申立について」〜「勧告を出した」の間)15字ほどが抹消されたのみ。鎌田慧さんがちょっと書いてたが、刑務所にいても手に職がつけられない、というか、そのへん困ってしまうよな。この頃つくづくそう思うよ。
 私の今やっている仕事なんか、社会復帰したって使えるものではないものなぁ。毎年募集されている職業訓練だって、各3〜4名前後だから、たいしたものでない。ほとんどの人は、なんの技術も身につけられずに出獄せざるをえないのだから結果は目に見える。再犯者がほんと多いと思うものなぁ。職業訓練という面をもっと充実していくように考えてもらいたいものだ。
 国庫を富ますために刑務所が存在しているわけではなく、タテマエとしてであれ教育刑のそれなのだから。又、通信教育ってもので技術技能を身につけるという手もあるが、それだってけっこう制限があって、大変だものね。因みに12/10に私費通信教育受講生募集が告知されて、その科目を見たら、危険物取扱い、とか家庭園芸、旅行取扱い業、宅建などのもあったが。社会復帰へ向けて役立ててほしいという配慮もあって科目を増やしてきたのかしらん? 将来、放送大学が許可されるといいがね。獄中というのは、けっこう勉強しやすい(?)から、いいかも。
★作業賞与金98年11月分 1等工9割増 基本給5,118円50銭、9,725円。
 今年もアタフタとしながら来てしまったが、ふり返ってみると、あっという間。もう10年近く刑務所にいたとは思えないが、姿は中高年のそれらしくなってきてしまった。新たなる年、いろいろあるだろうがマイペースで牛の如く歩みたい。元気でまた! 1998.12.23 Shaco記


SHACO
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