〈定期第85信〉

 このとこちょいと蒸し暑い日が続いているな。気温は昨年より低いというのになぜかより暑苦しいカンジがする。34℃だからそれほどでもないのになぁ。しばらく涼しい日が続いたあとだから、そう感じてしまうのかな。
 しかし、体調の方は良好だからいいか。昨夏だと、今頃はバテ気味だったものな。今夏は風邪もひかずに秋を迎えそうでよかった。
 盆休み、こちらでは、アッという間に過ぎてしまった。
 8/13〜17の5連休。長いようで短かったのはTVと読書でたいくつせずにいたからかもしれない。
 2級だったので、8/13〜17の12:15〜20:55(内、夕食と室内体操で1時間15分除)は、TVが自由視聴となった。単独室の3,4級者は14.15日(13日もだったかな?)は17:00〜(18:00〜だったか?)ということで、共同室(雑居のこと)の3,4級者は、5日間、10:00〜20:55だったかな? どうもよく覚えておらんけど、通常の日より長時間視聴できたように思う。
 このほかに、8/13、14、15、16の10:00〜、8/15 13:30〜に特別VTRとして、NHKTVでやっていた『大地の子』が全編視聴できた。8/23と8/24にも視聴できたので、全7部ということか。これは自由視聴ということで見ても見なくとも勝手ということであったが、私は全編見ることにした。なかなかおもしろかった。
 こういう大長編を見せてくれるとは思わなんだ。大出血サーヴィスというところか?!
 この特別VTRについては、けっこうみんなみているようで(ま、中には見ていない人もいたが)、なかなか評判はよかったようだ。
 私もいろいろ考えさせられることがあった。ある場面を見ていたら、学生時代の大衆団交の時のことがふと思い出されてきたりし……とか。
 8/15の総入浴で汗を流してサッパリした。夏は毎日入浴したいくらいだね。
 監獄の場合、入浴日が多くなると運動日がその分減らされてしまうのが難だが。
 8/15と8/17にアイス棒が出てきたので、それを噛ってしばしの涼を得る。
 といったところが盆休みであった。
 官本はさすがに読みきれなかったなー。私本の方は『チョコレート革命』と『男はつらいよシナリオコレクション(リリー編)』というのを読んでのんびりした。この2冊は相乗効果を生み出してしまうのかしらん。
 TVがけっこう見れたが平日の昼すぎはおもしろい番組もなかったので昼寝と読書の時間となっていたな。
★8/7、8頃、下痢症状をみる者が何人か出たとのことで、現在、保健所で検便中との告知が8/11にあったっけ。で、8/12にまた告知があって、検便した結果、なんらの病原菌も見つからなかったということであった。さて、どうして下痢となったのだろうか。寝冷えということかな? 吐き気がなかったなら、その可能性が大きいな。私も寝冷えで下痢気味となることはあるからなー。ともあれ、こうして、ちゃんと告知してくれることは良いことである。新潟刑のポックリ事件をそれなりに教訓化しているのかしらん。その時々の状況にあった適切な告知をしていれば不必要な不安感を獄中者に与えてしまうことは避けられるからね。
 例年、納豆は、10月頃から4月頃までしか出されることはなかったのだが、今年は夏になっても出てくるようになった。どうしてなのだろう? と思っていたのだが、どうやらこれも食中毒予防のひとつみたい。新聞にO−157に納豆が効く、というような記事が載っておった。ふーむ、わりと注意して食事も作ってくれているんだなーと感心してしまうな。なら、ビフィズス菌の入ったヨーグルトもいいんじゃないの。東拘では以前から、1年中納豆出していたっけ? 納豆ってのは消化しやすく、栄養価も高いので、最良のおかずではあるけれどね。私は好きだから、毎日食べてもあきないど。
★「CPR News Letter No.15」がえらく抹消されて仮下げされてきたよ。
 抹消個所は1頁の右側の最下段の8行、小見出し含めて全抹消。「た(14ページ〜)。」という部分だけ抹消されてなかったが、これじゃ、わからんよな。次は2頁の右側の「3、部会の活動」の頁の「非常に神経質になっているので詳しい中味は明かすことはできませんが、」からこの「3」項の終わりまで、全抹消(11行)。そして、14頁と15頁は、字もなにも全抹消。白い空白がまだらに残っているのみ。頁数の14と15が残っているだけ。ヒェ〜、これは一体何じゃー。何が書いてあったのかも、全くわからん。さらに16頁の「CPRへ更新会者・カンパをよろしくお願いします。(続いてお知らせ)」の下の「1PWの97年版報告書刊行」の上まで抹消(左側の「お知らせ」は全項抹消され、右側も1項抹消されたということ)。
 なんか相当神経質になってきているってのかな、コレは。別に読んだってどうってこともない内容だろうと推測するけれどね。獄中15年生の私が知らないこと載っているってわけではなかろうからな。まさかまた永井君の書評でも載ってたのかしらん?
★8/13中日新聞朝刊の2頁に「死刑執行」についてのBBC特派員の主張が載っていた。なかなかいい内容だったように思う。永山さんたちの執行が強行されて以降、死刑廃止への動きがかえって強くなってきたようだ。彼らの死をムダにすることなく、死刑廃止の動きを広げていくようにしたいものだ。法務省の今回の暴挙が彼らにとって誤算となるような気がする。どうも日本の官僚の政策、考えというのは、主観主義的で、場当たり的で、という傾向が強すぎるようだ。
★私のいる金属工場に「騒音管理区分U」なんて表示札が付けられるようになった。それとともに、全員に耳栓を貸与された。これは、岐刑だけのことではなく、全国的なことかもしれないな。矯正局の作業課あたりから下りてきたってところかしらん? たしかに金属工場というのは換気扇はゴォーゴォーしてるわ、鉄板をガァンガァン叩いてるわ、機械の音はするわで、騒音がひどいことはひどいものな。今のところ夏で窓は全て開け放してあるので少しはマシだが寒くなると窓閉るから音がこもって、少々、ひどい。
 以前、私は耳の調子が少しおかしくなったので、耳栓をもらって付けていた。
 最近、焼却炉のダイオキシン汚染のことが社会問題化してきているが、ここの焼却炉も考えなくてはいけないのかもしれないな。なにせ塩ビ製のものでもなんでも一緒に焼却しているので、多分ダイオキシンに汚染されていると思う。岐刑としてもそれなりに考えているらしいが、ゴミの分別などいろいろめんどうなことがあるので、すぐに改善しえないでいるってところかもしれないな。中日新聞7/25朝刊の経済面には石炭火力発電の廃棄物のハイドロソーダライトを使えばダイオキシンの発生を防げるようなこと書いてあったが、その記事以降、その方法について出てこないなー。実用化のメドがつかんかったのかしらん。
 それにしてもダイオキシン汚染というのは日本国中至るところであるようだ。ドイツでは政府がきちんと規制してゴミの分別もよくされているそうだが、日本の場合あかんなー。
 政府自体があまりやる気なさそうだし、それに民度の低さということもあるのかもしれんな。
★ワープロクラブの2回目に出てやってきた。キーを押すとどんどん印字されて文章が作られてゆくのがほんとおもしろい。これは、おもちゃを与えられた子どもの気持ちに近いかもしれないな。漢字を忘れてしまう危険(?)はあるが、こりゃクセになるわい。
 もう少し早くキーを押せるようになると、短い時間に長い文章が印字できるようになるのだが、今のところちょっとした「お知らせ」文(5、6行)で1時間位、あっという間に終わってしまってつまらんな。桜庭さんがこういうものを使えたら、そりゃあ便利でよかったろうと思うよ。私はシャバに出たらワープロどんどん使ってやろうか。
★8/24 8:45〜9:35 報道教養VTR『世界わが心の旅 アボリジニ 精霊の赤い大地』
8/23 20:00〜 NHK教育で「未来潮流―生老病死の現在@」という番組をやっていたので見たら、なかなかおもしろかったよ。しかし、途中までしか見られんかったのでちょっと残念だった。科学の中立性とか「優生保護」の問題なんかのこと話していて勉強になった。どちらも「ごましお通信」の中で以前問題として上げられていたことだったから、その時のことを考えながら、対談している人たちの話を聞いていた。科学は中立ではないというようなこと言っていたので、そうだと思ったな。私なりに握んだことは、予測可能性、計画性に楽しさはないだろう、ということか。
★7月からずっと毎週火曜日夜のNHK教育TV『みんなの手話』を見て勉強している。すでに8回目。まだまだだけれど、それなりにできるようになってきたな。これなら出所するまでには、かなりのところいけるだろう。しかし、実際に対話していないとだめだな、やっぱり。ま、しようがないので、ひとりでやっているが、ひとりごとってところかな。
 この『みんなの手話』と毎週日曜夜放送される『新日曜美術館』がたのしみといったところ。
 あとは『毛利元就』を土曜昼に『中学生日記』を日曜昼『ザ・スクープ』、『報道特集』とニュースくらいかな、よく見ているのは。『たけしの万物創世記』も時々見るか。まず絶対見ないのはゴルフ、野球など、スポーツは自分でやるものだと思っとるからな。
★作業賞与金 97-7月分、1等工(34円60銭)6割増 10,650円
 もう暑さも峠を越えたのか風が涼しく感じられてきた。ではまた! 1997.8.24 寿一記


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