〈定期第97信〉

 春一番もとっくに吹いて、少しずつ春の暖かさが増してきているようだ。
 それにしても風邪! えらい蔓延である。すでに患者数は115万人近いとか。高熱、咳、吐気といった症状らしい。老人と子どもに死者がでている、とか、けっこう恐そうな話が新聞に載ってたりして……。なんか最近は、インフルエンザにけっこう脅かされるな。
 岐刑でもけっこう患者が発生していて大変だ。私のいる工場(35名)では半数近くがひいているようだ。先日の医務診察には沢山の人が診察を受けていた。診察を受け、入浴禁止、投薬となったのが8名もいた。
 私は、今のところ、まだひいておらず大丈夫だが、これから、どうなるかわからん。
 このところ、インフルエンザ大流行の為、風邪予防に関する処遇変更が続けて出されるようになった。すでに書いた仮眠時間の変更。2/16からは、工場出役の朝作業開始しばらくしてうがいをさせるようになったな。班ごとに、行かせられるのだが、コップ共用なので経口感染から、かえって患者が増える可能性の方が大きいように思う。
 2/19からは、さらに本入浴で早めに還房した時は、16:30まで仮眠時間にするってことになった。これは、平日の出役日のってことだが。とにかく、少しでも時間があれば仮眠して養生、養生ってことかな。
 さらに2/20に告知があり、2/21のクラブ活動、宗教教誨、総集行事ののど自慢大会は3/14に延期となった。こうなると、相当、患者が大発生しているのかな、とわかってくる。シャバの小学校なら学級閉鎖に近いってところかしらん?
 いつもは、夏期にやっている居室消毒、畳乾燥といったことをこのころやり始めたのも、インフルエンザ大流行の為なのだろうか。大変なものだなぁ。東拘の方は大丈夫だろうか?
 とにかく監獄ってところは、狭いところに多人数が集団生活しているから尚更、インフルエンザが蔓延してしまうのだろう。
 心配なのは丸ちゃんだな。とにかく、頑張ることなく、ひたすら、風邪ひかんようにしてほしい。
 ゆきちゃんは風邪の方が逃げていくだろうから、大丈夫だろう。トシと将司も、長い経験から、大丈夫だろう。芳正は、この頃は喘息もよくなってきているようだから、大丈夫か。
 あともう少しで春、そうしたら、インフルエンザも下火となっていくだろう。
 2/10 葛飾区役所区民部国民年金課保険料係より、来信。先に私が送った免除申請書の送付依頼が説明不足だった為、どうやら、私が岐阜市に居住していると誤解されたらしく、こちらで住民登録してくれ、と書いてきた。居住はしているがフツーの居住でないものな。そこで2/20に、特別発信で再度、葛飾区役所に要請。しかし、なんで私は国民年金に固執するのか。今からやっても大して支給されるわけではないしな。免除申請といったって、支払わなくていいわけでもない。あとで、まとめて支払わなくてはならん。今だって、支払ってない人が沢山おるから、自分の番になってはたしてきちんと支給されるかどうかもわからん。う〜む。ま、とにかく申請だけはしておこう……といったところ。
 2/11 岐刑製大福餅1ヶ特配。
 2/12 舎房用上衣ズボンが新品と交換。これまでに着ていたものは工場用とされる。毎年1回の交換時、シコシコとスソ上げをする私であった。
 2/14 9:00〜10:00くらい 無事故者褒賞VTR『グラマーエンジェル危機一髪』を視聴。なんちゅうかつまらんものであった。日本の1時間ドラマ並のものだったな。なかなかチャチであった。
 無事故者というのを知らない(理解できない)人がいると思うので説明すると、無事故というのは、交通事故が無かった……というわけではなく、規律違反で懲罰がなかったということ。
 1年間規律違反で懲罰がなかった場合、1年間無事故者として褒賞され肩章が貸与され、ビデオが見せられるわけです。ま、交通事故がなかった、でもええか?!
 2/15 9:00〜10:30ころくらい、2級集会 VTR『ネイビーフォーステロリスト壊滅作戦』菓子は、ガトーショコラ、か朝炊き甘納豆のどちらかで、私は甘納豆の方を選択。しかし、選択を誤った。甘すぎた。私は、ヤキトリにガバッと山盛りに七味唐辛子をかけたり、パンにわさび漬けを塗って食べる激辛党なのだ。ま、甘いも食べないわけではないが…。
 今回のビデオは前々回の集会ビデオと似たような話だったな。特殊潜航艇で、中東の某国へシールズ(米海軍特殊部隊)が特殊作戦をする、というやつで、オイ、オイ、オイという内容。国際法なんて目でない。これまでだって国際法違反の軍事行動をとってきたじゃないか、イケ、イケと映画の中で、はっきり言っているので、いささか呆れた。
 2/18 体重測定。61kgとのこと。体重は、ここ20年近くあまり変化なし。
 2/19 居室消毒。噴霧器でブアーッと居室内に吹くというもの。消毒液が直接かからないように寝具など一切を窓際へよせ、窓を閉めきっておく。はたして、どの程度の効果があるのであろうか?
 2/20 18:00〜19:30くらい 諸動作優良工場褒賞VTR『ディスクロージャー』主演マイケル・ダグラス、デミ・ムーア他。コンピューターソフト業界を舞台としたセクハラ問題もの? テロリスト撲滅作戦ものよりはぐんとおもしろい。
 この日は屋内運動となり、講堂へ行ったら、収容者美術作品コンクールの入選作が展示してあった。書道と絵画のみだが。三賞作品だけ6点り。例年は、佳作まで含めて展示してあったのだけれど今年は、どーゆうわけか、三賞だけ。私は自分の作品を改めて見ようとたのしみにしておいたのに、どうも見ることはできないようだ。まさか、私の作品を展示したくないってんで展示方針を変えたわけではなかろうが。ま、ええわさ。私は描ければそれだけでええから。ひとに見せるほどのものではないしな。今回の展示作品と比べても、やはり、私のは下手だなー、とつくづく思ってしまった。だれも云ってたな「ヘタも絵のうち」とか、ま、それでいこー。
[差入れ][2/9] 日雇全協ニュース88号〈日雇全協〉 [2/16] ザ・パスポート68〈帰国者の裁判を考える会〉 人民新聞1/15号、同1/25号〈日角八十治〉 監獄人権センター通信No.17〈CPR〉 [2/19] 草の根通信303号、『中国辺境をゆく』〈平山まゆみ〉 以上。
 いつも差入れ、どうもありがとう!
 「わたげNo.29」には、抹消がけっこうあったなー。A頁の「裁判の経過」の項の次の項が「コメント〜事件についての私見」の項の前まで小見出しとも全て抹消されている。それとC頁の上から16行目から21行目まで抹消。山崎君、なかなか元気そうな姿だったね。
 「支援連ニュースNo.185」では、吉村さんの第一声があってよかったね。Q援やザ・パスポートにものってたが、とにかく嬉しいことだ。丸ちゃんからの誕生日祝いありがとう。まちがってはなかったな。さすが。他の人の誕生日、沢山記憶しているのだろうか、えらいこっちゃ。私なんか教えられてもすぐ忘れてしまうがな。
 「ザ・パスポート67」のアジア国際通信の転載記事はなかなかおもしろく、現地の様子がよくわかってよかった。5人もけっこう元気そうだしね。なんかのびのびやつているようでうらやましい。
 「ごましお通信44号」 ひろあき画伯の年賀状は、なんかグサッとくるなー。ま、私のことを言っているわけでなくて、トシのことを言ってるのだから、そうグサッとくることもないか……と。「領置規制に関する一考察」はトシらしくきっちりしてるな。当局はとにかく、一律化ってカンジでやるから困るんだな。
 仮舎房のイラスト見たら、構造は、岐刑の独居と同じだな。マジックミラーってのはないな。透明なアクリルボードがはめてあるけど。食器口のアクリルボード(?)には5cm間隔で縦に鉄線が1本づつ入っているが、金網ではない。窓は、片側だけしか開閉できず、開閉できる方には防虫網が年中はめられているので手足は出せない。本棚は、洗面台の上のやや扉寄りに付けられている。ラジオのスイッチは、居室の外に付けられているので、職員にやってもらうことになる。東拘から岐刑に移監した当時は、明るくていいなーと思ったものだ。これから、全てこういう構造となるのだろうな。
 「死刑と人権No99」の池田浩士さんの講演録「日陰の日本史百姓一揆」は、よみやすくておもしろかった。今の住民投票の動きなどを併せて考えると、けっこうイメージがふくらんでくる内容だったな。そして、さらに最悪の政治状況になったとしても、どこかに抜け道があり、そこを使って道をさらに大きく切り拓いていける知恵が出てくる筈だ、という希望が持てる。名護市の市長選挙は残念だったが、地域の経済をどう活性化させていくのか、ということを反対派がもう少し提示できていたら、よかったのだろうな。基地に依存しない地域経済の活性化ということは矛盾することではないし、必ず道は拓ける筈だ。自由貿易地帯構想なんてのもあるらしいが…。まあ、いろいろ出てくるだろう。そうした問題意識は、すでに広く存在してきているだろうから、少しずつ沖縄の自立化が進んでいくのじゃなかろうか。私の中に高校2年のときに行った沖縄が今も鮮やかに残っているし、それが私の運動の起点だから、沖縄にはひかれるものがある。
 「もののけ姫」「ロストワールド」の映画バンフレット、おもしろかった。映画パンフというのはそうそうすぐに映画を見られない(話題作はなかなか見られない?)私らにとっては、たのしみなものである。『ジュラシックパーク』は見たっけ。宮崎アニメでは、『思い出ボロボロ』も見たっけ。わりと見られるかしらん?!
★領置品規制に関するアンケートは、記入して2/12に特別出願しておいたけれど、まだ許可となっておらん。もうしばらくかかりそう。ま、1/25の期限は、とっくにすぎているから、べつに急ぐことも今さらないしな。のんびりいこかー…と。
★作業賞与金 '98-1月分 1等工 7割増(時間 34円60銭)9,730円。
 春がそこに来ている。インフルエンザに負けることなく頑張ろう。 1998.2.22 寿一記


SHACO
inserted by FC2 system