〈定期第98信〉

 岐阜では、暖かさが日毎に増していくようだ。関東の方では寒の揺り戻しがあるようで、3月に入ってからも東京では大雪で大変だったようだな。また負傷者が続出だったそうだが。そんな気温の変化が激しいと人の体調も崩れやすくなるみたいだ。
 3/5に母さんより便りがあって父さんが急に入院することになってしまい、3/9に来ることになっていた面会には行けなくなったと書いてきた。
 今回の入院は検査の為だとか書いてあったけれど、さて、何の検査なのだろうかといささか気になるところである。そのうち、また便りがあって事情はわかると思うけれどね。
 私の方は、あいかわらずマイペースで元気でやっている。
★ 2/3にまた転房。わずか半年間ほどに4回も転房した。新記録といったところだね。転房する度に室内の掃除をしなければならないのが、せわしなくて困る。室内改装しながら、拘置所からの引越しの為の異動もあるので、そうなってしまうのだろうか。しかし、もうしばらくは転房はないであろうと祈りたい。
 領置品規制についてのアンケートがやっと送れた。3/25か3/26には届いたことだろう。
 2/26に工場用サンダル交換。葛飾区役所国民年金課保険料係よりの来信。
「二度目のお葉書をいただき免除申請書の送付依頼との事ですが、確認しましたところ平成8年10月9日職権消除により住民登録が消されている状態になっていました。職権消除とは住んでいないことが確認されますと住民票を区役所で消すことです。したがってまず住民登録をしていただいてから、国民年金の免除申請手続をお願いいたします。住民登録には転出証明書が必要になります葛飾区役所南綾瀬出張所が管轄になりますので、そちらに請求をして下さい。なお、転出証明書は、郵送で取り寄せることができます。その上で現在、お住まいのところかご家族のところで住民登録して下さい。住民票に関するお問い合わせは南綾瀬出張所へお願いいたします。」
とあった。
 なんと、いつのまにか私の住民登録は職権消除(住民基本台帳法第8条)されてしまっていたのであった。ま、実際に住んでいないじゃないか、と言われれば、そうなのだけれど。しかし、これまでは、それでもちゃんと免除申請書は送られてきて、私もその度、ちゃんと記入して送ってきて問題がなかったのになー。なんで今になって…と思う。国会では住民基本台帳法「改正」案が上程されようとしているが、そのことも影響しているのかしらん?
 刑務所に入っていて住民登録してある所に実際、住んでられない人は、やっぱ職権消除されるってことになるのだろうか? いやはやたまらんなー。それでは、刑務所に住んでいるから、そこに住民登録しなければならんのだろうか。ま、私の場合、東京拘置所に住民登録していたから、べつに岐阜刑務所に住民登録したってかまわんけれど…。でも、職権消除なんて、連絡もなしにされてなんかもうひとつすっきりせんなー。
 2/27 18:00〜 無災害工場褒賞VTR『スピード2』
 3/1  8:50〜 報道教養VTR『堂々日本史 ニッポン大航海時代』
 3/3 3/2に出願した現在検閲中の『死刑確定中 大道寺将司』についての教育統括面接と住民登録についての庶務課長面接をした。
 住民登録については要するに区役所の方に尋ねてくれ、ということだった。こういったことについては刑務所はわからんのかしらん。そういうことだと、ちょっと不安だな。被収容者の質問に応えられるようでないと社会復帰の促進も充分に成しえないのでは?
 『死刑確定中 大道寺将司』の方は、このかん「キタコブシ」に載っていて閲読できていたものがほとんどなので、どーして長い時間かけて検閲するのかわからんなー。大体、一部抹消ですむようなものでも閲読不許可にしてしまうことが多いので困る。今回のも閲読不許可で丸ごと読めなくなったらたまらんからなー。部分抹消するってのがメンドーくさいのかしらん? せっかくの将司の本が読めないのではつまらんからなー。そうならんようにしたいものだ。とは言え、これまでに読んだものをまとめたものだから、目新しい内容ってわけではないけれど。
 3/4に、風邪をひいている人がまだ多い為ということで、ショガ湯給与が3/7、3/14、3/21の3回、さらに増やされた。
 3/7 8:45〜9:00ころ、医務課VTR『高血圧と成人病予防』。私は、98-148以下なのでまあ、大丈夫といったところだな。
 3/8 9:00〜 一年以上無事故者褒賞VTR『リベンジコップ地獄の追跡者(The sweeper)』。
★ さて、刑務所でのお勉強について…。閉じこめられているのであるから、どうしたってやれることは限られている。やれることはやる。時間がもったいない。クラブに入って俳句、短歌、川柳、詩吟、書道といったことで磨きをかけてもよい。通信教育というのもある。また、中卒の資格を取得したい人は松本少刑での1年間の「留学」もできる。但し、いろいろ条件があるようだが…。さて岐刑における通信教育について話すと、けっこう種類(科目など)は豊富なように思う。私費と官費のものがそれぞれ年1回くらい募集される。官費だと3、4科ぐらい。例えばペン習字、簿記等。私費であれば、高校の通信教育、NHKの通信教育、日本通信教育学園のものがある。科目数が一番多いのはNHKのもの。その次に多いのは日本通信教育学園。しかし、費用はわりと高い。大体2万円前後か(それ以上もある)。それに比べると高校の通信教育は8千円前後でかなり安い。これは、近くの単位制の高校の通信教育であり、なかなか良い。私はこれにはお世話になった。やったのは、地学と地理。簿記も応募したことがあるが女性教師が担当しているということで不許可となった。男性教師のしかやらせてくれないそうだ。年2回教師が刑務所まで講義に来てくれ、実際にあれこれ教えてくれるのでなかなかおもしろかった。通常、1科目しか申し込めない。地学では、顕微鏡を持ってきてくれ、それを使って鉱石などの標本を観察したりして、単調な生活の中にあっては、大変刺激的であった。ちゃんと期末試験もあって、修了した時には、単位も与えられる。この単位については、まじめに蓄えていけば高卒の資格もとれるのだ。岐刑だけでとろうと思うと、かなり長い刑期が必要かしらん? もし、出獄してからも続けたいと思えば単位制の高校ってのはけっこうあるから、そうしたところで貫徹してゆけばよい。私の場合、高校はかなり前に経験しているのだがどうして、どうして昔のことなど忘れているので、勉強していると新鮮なことばかりであった。
 昔このくらい勉強をおもしろく感じられたら、ちょっとちがっただろうに! 教科はほとんどのものがあるが、美術、体育、保健体育、音楽などはない。NHKや日本通信教育学園の通信教育にもそれらはないな。刑務所の外の場合、それらの科目は存在しているようだが。
 しゃみせんとか尺八なんてのもわりとおもしろそうでやりたいけどな。どこかの刑務所では音楽のクラブもあったりしているんだがな。絵画クラブにしてもあるところはけっこうあるのに。
 どうも囚人というのは拘禁されているだけでなく、いろいろな自由を制限されるのは当然ということなのだろうか。拘禁されているだけで充分自由刑しているんじゃないのかなぁ。
 ともあれ、あまりにも制限多き中だけど、やれるところまで目一杯楽しんで生きていきたいと思っている。
★『別冊宝島 共産党宣言』を読む。期待していたほどのおもしろさはなかったが、共産党に対する、マスコミの今のもちあげ方に?と考えさせてくれた。やはり、あまり共産党に期待感をもってもしようがあるまいということかな。共闘共闘なんてことは考えずにとにかく地域にしっかり根をはってやってゆくようにってことなのだろうね。それにしても、なんでこう共産党がもてはやされるのだろうか。いやはや、そうそう宝島の本になぜ某党派の集会ばかり写真載ってたのだろうか??

[差入れ][2/24]支援連ニュースNo.186、2月20日はTシャツ裁判ダブル公判へ、反撃、ビデオドキュメント、シャコ通信No.4〈東武央〉 模索舎月報2月号〈模索舎〉 救援346号〈QRC〉 新生508号〈立志社〉[2/27]住民異動届〈葛飾区役所〉[3/4]ゆうき凛々30号、六月の炎、しるし如月号〈永井迅〉 人民新聞2/5号〈日角八十治〉 新生509号〈立志社〉 死刑と人権壱百号、チラシ死刑確定中〈かたつむりの会〉 風24号、チラシ死刑確定中〈水田ふう〉以上。
 いつも差入れ、とうもありがとう!
「CPR News letter No.17」はけっこう抹消があった。1頁の点線の枠内が全抹消。2頁の左側の上から16行目から29行目まで抹消。4頁と5頁は全部抹消。いやはや、あいかわらずよくやっているものである。府中刑のイラン人受刑者が処遇について提訴するって記事は、そんなに見せられんものなのかしらん。どうってことないと思うけれどなー。
★あいかわらず朝のうがいが行われているけれど、やっと共用のコップがやめられて、個別のコップが用いられるようになった。これで経口感染の心配はしなくてすむ。インフルエンザというのは経口感染でしつこいやつだからな。私は、とうとうひどい症状にならずに冬をのりこえられたようだ。検身所の温風ってのはマチガイだったようだ。温風なんて、ちっとも吹いてこなかった。
 今日はこのへんでおしまい。 では元気で!また!  1998.3.8 寿一記


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