支援連ニュースNo.277

まわりが死刑確定の人だらけになってます

2005・11・5 和光晴生(東拘囚人)

 またかとお思いでしょうが、前号につづき、お邪魔します。
 私は東拘新棟に拘留されています。将司さんとは同階別棟になります。以前から確定死刑囚の人たちが多い階でした。旧棟から階丸ごと移動してきたのですが、顔ぶれが少しだけ変わりました。私のいた旧棟の階は75の独房が廊下の両側にズラリ並んでいたのですが。新棟は廊下が少し短くなって、66房しかないからです。
 拘置所である以上、顔ぶれはどんどん変わります。検察特捜部関係の容疑者の人なんかは、汚職とかの件が多いのですが、留置場の代用監獄に入れられるのは一晩か二晩だけで、すぐ拘置所移監となり、起訴が決まると同時に保釈、なんて例が目につきます。そんな中で変わらない顔ぶれとなると、私のような長期の裁判の被告か、そうでなければ確定死刑囚の人ということになります。被告の人は、月に一、二回、朝一番で手錠・腰縄を手にした看守が迎えに来て裁判所へ出廷していきます。長い裁判なら、一審や二審の求刑とか判決の節目に新聞記事になったりしますから、きのう出廷した人が何の件で起訴されていたのかとか分かることになります。
 確定死刑囚の人たちは、月に三回、房内に運び込まれたビデオ再生機内蔵型テレビで、映画とかを観ることが保障されています。私が風呂、運動所、面会所なんかへ行く時に、房内へ電気コードが引き込まれている扉があれば、そこは確定囚の人と認識できます。
 私が行かされる運動所は、陽があたらない屋内にあります。2メートル×6メートルほどの家畜小屋みたいなところです。だからもう何年も日の目を見てません。あゝ日陰者。
 確定囚の人たちは月に二回、屋上の運動所に行けるようです。エレベーターのある方から、廊下を汗だらけで戻って来る人がいたら、その人は確定囚です。
 他に、拘置所だというのに房内で袋貼りをしている人たちが私のまわりに数人いるのですが、これは確定囚の人たちが特に希望して「請願作業」ということで一日六時間作業しているのだそうです。日給は百円前後にしかならないみたいです。東拘で買えるインスタントコーヒーは二杯セットで一二二円なりです。一日袋貼りして買えるかどうか。
 以上の次第で、まわりの誰が確定死刑囚であるのかは、ひと月も拘置所にいれば認識できることになります。その確定囚の人たちが、このところ私のまわりに随分と増えているのです。日本全国には今年の十月の時点で、七七人の死刑確定者がいるそうです。四、五年前には五十数人でした。死刑判決となったら最高裁まで争うことになりますから、東拘に集中して来ることになります。七七人中半数以上は東拘在監でしょう。そのまた半数以上の二十数人の確定囚の人たちが、私の御近所さんということになります。
 大道寺将司さんが「キタコブシ」に何度か書いていましたが、彼の棟から私の棟へ、今年になってかなりの確定囚の人が移されたみたいなのです。これは「大道寺幸子さん基金」による死刑廃絶及び死刑確定者支援の活動が活発に展開されていることから、その影響の拡大を恐れた法務省及び東拘当局が、将司さんから他の確定死刑囚の人たちを遠ざけようとしているものとみなさざるを得ません。その上で、将司さんの房にはやたらと「捜検」というガサ入れが加えられたりの嫌がらせもなされています。これで「心情の安定」が図られるというのが、何とも理不尽です。
 それでもって思うのですが、では、私めは死刑確定囚の方々の精神状態を動揺させることのない無害な人間ということになるのでありましょうか? だったら「無期懲役」なんて一審判決にすんなっつうの!
 それから、これだけ確定死刑囚の人たちが集中しているところに、十六歳の少年を拘留しているのもどうかと思わざるを得ないのです。少年法改悪後、家裁から検察への「逆送」のケースが増えていますが、やはり問題多い事態が生じています。

 前号で、宮城刑務所での不当な八つ当たり、腹いせによる受刑者への締めつけ強化について述べましたが、事態は更に悪化しています。所長が警備隊と一緒に所内を走りまわって受刑者を連行したりしていることとか、外部へレポートしたり、刑事告発の声を上げたりした受刑者には、懲役労働の作業中に、まわりに警備隊が張りついて、よそ見するな、とかの嫌がらせの声をかけまくるとか、これまで七冊認められていた房内書籍を五冊に減らされたとかの事例が、鎌田俊彦さん支援のパンフ「そうぼう」で報告されています。
 一方で四年前の名古屋刑務所で起きた看守による受刑者へのリンチ殺人事件に、名古屋地裁の柴田秀樹裁判長は執行猶予つきの判決を下しています。ふざけてます。死者が出ているのに「執行猶予」ですと! 私の関わった「ハーグ」「クアラルンプール」では死者は一人も出してません。それで「無期懲役」の一審判決です。私の二審は柴田秀樹裁判長を指名したいところです。
 こうなると、いよいよもって宮城刑務所の看守のハネ上がり者なんかが受刑者にひどいことをやりかねません。宮刑では、最近、布団の中でのどにチリ紙をつまらせて死んだ受刑者がいました。自殺扱いにされてましたが、この件については、やっと、「証拠保全」が執行されたようです。
 これ以上、宮刑がひどいことにならないよう、できる限り多くの方々が宮刑について糾弾の声をあげることが必要です。おおいに吹聴しまくるべきです。「第二の名古屋刑、宮刑」「所長が警備隊と一緒に走りまわる宮刑」「房内書籍を七冊から五冊に減らした宮刑」「囚人がチリ紙をのどに詰めこんで死ぬ宮刑」「起床前読書まで禁止した宮刑」「この数年、食事がどんどん劣悪になった宮刑」「娯楽行事が減らされた宮刑」「まだまだ悪くなる地獄の宮刑」「平川輝忠が所長の宮刑」!!


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