前略、お袋殿。

 道奥の兵どもの夢に馳せ
    史書を繙く古城の夏
 身を折って荒波避けて耐え続け
     耐え尽してぞ待つを知るらむ

 新聞報道によると、法務省の7月人事移動で、ダッカ事件の増井清彦検事が、東京地検検事正から仙台高検検事長に、上告審立会い検事の栗田啓二検事が公安調査庁長官から広島高検検事長に、浴田さん取調担当だった村田恒検事が横浜地検検事正から高松高検検事長に、ロッキード事件の松田昇検事が法務省矯正局長にそれぞれ昇格となるようです。
 前便で各人、電気カミソリを購入・使用することができると伝えましたが、それとの関連で、共同室・個室それぞれ、備え付けの鏡が付くようになりました。今までは、鏡で自分の顔を見れるのは、入浴場のみでしたが、これからは毎日、自分の顔を見れるということになりますね。観相学(人相学)では、他人の顔を観る前に、先ず、自分の顔を毎日観て、研究しろ、と言われています。というのも、とりわけ、体調というものは、顔に現われるからですね。それも、予兆が現われるということですね。つまり、毎日、自分の顔を観ていてこそ、変化を変化として感取し得るということです。顔を観て体調を知り、そこからさらに一歩進んで、運勢の上向き下向きを見抜ける眼力がついてくるわけです。
 自分の顔をしげしげと観て、感じるのは、気では若い若いと思っているのに、私も、相当の、「オジサン顔」になってしまったものだなあ、という感慨です。逆説的に言えば、「若い気でいるためには、自分の顔は一切見ないこと」といえるかもしれません。「自分の顔を一切見なければ年はとらない」
 ともあれ、気楽に毎日がんばっております。
        1993,6,6
            芳正拝


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